スラムの彼等
スラム街の一角、音がしない区画の一つの廃屋にゲンゾーは向かう。
その廃屋に入ると二人の男女がいた。
一人は燃え盛る様な赤い毛に獅子の様な耳の逞しい青年、一人はブロンドの華奢な少女だ。
「エリル、チコ、帰ったぞ」
「うおぉう!?」
エリルと呼ばれた赤毛の獣人族の青年は急に話しかけられたのに驚き、ブロンドの少女、ゲンゾーの妹チコは表情を明るくする。
「兄さま、お帰りなさい」
「うむ、大事無いな」
そして肩に担いでいた木箱を置き、閑散とはしていても小綺麗ではある廃屋に腰を下ろす。
「たくよぉゲンゾー、急に話しかけるのやめてくれよ。一応獣人族なんだぜ俺?気配が読めねーなんてプライドが傷付くぜ」
「呵々、修行が足りぬ証拠よ。また稽古つけてやろうか、エリル?」
「もう勘弁願うね」
エリルはそう返し、木箱を開ける。
中には汚くとも幾らかの食糧が入っていた。
「取引は上手くいったみたいだな」
「応さ。彼奴めあの盗まれた荷物が余程必要だったらしい、多少色をつけてくれたぞ」
「付けさせた、じゃねーの?」
「人聞きの悪い。需要と供給のバランスを取ったまでの事よ」
ゲンゾーと楽しげに話すエリル、彼もまたガルガダス事変によって故郷を追われた身だ。
歳もゲンゾーと同じとあって紆余曲折の後に共に行動するようになった仲だ。
チコはあの後傷だらけで帰って来たゲンゾーを迎え、ゲンゾーを頼りながら生きてきた。
それ故チコにとってゲンゾーの言葉は絶対となり、ゲンゾーこそが生きる上での必要不可欠な人間となった。
「しかしなチコや」
「はい、兄さま?」
と、ゲンゾーは怪訝な表情でチコと話す。
「儂を童扱いするでない。飯ぐらい自身で食わせよ」
「そうは参りません。兄さまは私の為に今日も危険な目に遭われて来たのですもの。ここに居る間は私がお世話致します」
(おや?『私』?)
ナチュラルに自分を除外されている事にエリルは軽くショックを受け、ゲンゾーは隣で甲斐甲斐しく世話をするチコに話す。
(やれやれ、老人介護が情けなく感じるから己一人で生きる術を身に付けていたのにな。まぁ飯事の延長線上か、チコの場合)
喋り方もゲンゾーの影響かやや古風な感じになり、それも少しだけ悩みの種だ。
しかしゲンゾーはこの喋り方以外よく知らない。
(ふむ、儂もチョベリバ〜とかミーハーな事言いながら生きておれば………古いか)
自分の頭の中で言って自分で気持ち悪くなりげんなりするゲンゾー。
穏やかにスラムの日は暮れて行く。
ステータス更新
NAME・エリル
レベル・15
クラス・不明
筋力・C(EX〜H)
耐久・C
敏捷・D
魔力・H
対魔力・H
属性・不明
保有スキル
聴覚強化・C
暗視・C
固有スキル
獣人族・D
NAME・チコ
レベル・1
クラス・不明
筋力・H(EX〜H)
耐久・H
敏捷・H
魔力・E
対魔力・D
属性・不明
保有スキル
無し
固有スキル
妄信・A




