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3人と1柱の異世界旅  作者: pigro
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条件に当てはまる人物


「今日は、どうやら面白いお客さんが来たみたいだよ」


喫茶店「ハピネス」のマスターは椅子に座り、豆を挽きながらカウンターの奥のほうに置いてある写真に話しかける。

三年程前に亡くなった妻の写真だ。


「まったく見えないんだが 、確かに誰かがいる…君の好きそうな面白い話しだろ?」


まるでそこで妻が聞いているかのように話すマスター。


「拓夢くん達の表情を見る限りいい人なんだろうね~驚いたり、テンションを上げたり…フフ」


豆が挽き終わり立ち上がるマスター 、腰が痛むのか何度か背中を叩く、お店に誰かが来たようで一気ににぎやかになる。


「それじゃ、仕事に戻るとするよ、事の真相はまた今度上手に拓夢くん達から聞き出すよ 、また報告するから楽しみにしててくれ」


そう呟いた後、再び仕事に戻っていくマスター、拓夢くん達から追加の注文がくる。


「フフ、少しサービスしてあげようかな」


小さく呟き、注文されたものを作っていく、その不思議なお客様にも 妻が愛してくれたこの喫茶店を気に入って貰えるように。



~~~~~~~~~~~~~~




落ち着いた雰囲気の喫茶店、その奥のほうの席では今、そこにふさわしくない、変な空気が流れていた。


「あの~その 戦い慣れしてる人 の条件に当てはまる人物、私知ってるかもです…」


ゆっくりと手を上げて発言する花、僕も知ってると頷く拓夢…


「…どこにおるというのじゃ?」


そう簡単には、 見つからないそんな雰囲気で質問を返すひめ


「そこ」


花は、メロンクリームソーダを丁度食べ終わった陸を指差す。


指を差された本人も 戦い慣れしている人 の自覚があるのか頷いている。


「無理しなくてもよいのじゃ…見るにお主ら皆学生という役職であろう…うちもまだこの世界に来たばかりじゃ、探せば うちの事を見ることが出来る軍人や兵士などの戦い慣れてる人がおると思うのじゃ」


そう言って、花の発言に回答する。


確かに、学生という一括りにされてしまうと戦いに無関係な存在のような気がしてしまう、特に陸の暴れっぷりを知らないひめはそう思っただろう。


「リックンならいけると思うんだけどな~…」




ガラン!ゴロン!

いつもは心地よい音色を鳴らす扉に付いた鐘が激しい音を鳴らす、急いだようすで入って来たのは如何にも不良ですという格好した3人組、店を見回し陸を確認するとすぐに近づいてくる。


「オイ、お前らこの店では静にしろって言っただろうが あ゛」


陸が入って来た3人組に説教しだす。


「すいやせん陸さん、急ぎ報告しないといけない事があったもんで…」


3人組の真ん中にいる、セットにどんだけ時間かかるのか聞きたくなるような立派なリーゼントをした男が頭を下げる。


「ヤッホ~♪リーゼントくん急いでどうしたの?」


彼らは陸の舎弟で花や拓夢とも顔馴染みだったりする。


「それが町の巡回中に他校の奴らがうちの学校の女子生徒を無理矢理誘おうとしていて、それをコウスケとシュンが助けに行ったそうなんですが、そのナンパ自体が罠だったようで裏のほうから大人数出てきてボコられて連れて行かれたそうなんです」


「その時お前らは?」


何をしてたのか?と三井翔(リーゼント)とほか二人を睨む


「別のところの巡回を… 助けてもらったという女子生徒に会って事情を聞き初めてしりやした、あと数分早かったら二人と合流できてたんですが…」


一緒にいたら何とかなったかも知れないと悔しいそうに拳を握る。


「この前にケンカした相手からの仕返しじゃ ないのか?」


陸を見る拓夢、心当たりありその目線を反らす陸


「はい、その可能性もありやす」


陸の代わりに三井(リーゼント)が答え、話しを続ける


「今、居場所を「乱怒」のメンバー全員で調べているところです、では、俺達も捜索を開始してきやす、見つけたらすぐに連絡入れやすので、 行くぞ…」


陸とマスターに一礼入れてから二人を引き連れて出ていく、まるで嵐が通り過ぎたように喫茶店が静けさを取り戻す。


その静けさの中、陸がゆっくりと立ち上がり座っている3人に手を合わせ謝る。


「すまん…ちょっと用事が出来た、行ってくるわ 、あとよろしく」


ひめに目線を送ったあと花と拓夢を見る。


「了解~♪いってらっしゃ~い」


「程々にしときなよ…」


コンビニに行く人を見送るくらいの雰囲気で二人は軽く手を振る。


「じゃ~行ってくるわ」


そう言って陸は、店の外へ出ていった。


「大丈夫なのかの?」


陸のことをよく知らないひめは心配そうに陸の出ていった扉を見つめる。


「「いつものことだから」」


2人の声がシンクロして発せられる

このような抗争?ケンカは日常茶飯事なことである。


急に花が何かを閃いたように胸の前で手を鳴らす。


「そ~だ♪、ひめちゃん、陸の戦いっぷり見てきたら?条件に合う人探すのって大変なんでしょ?」


その発言に拓夢も続ける。


「僕も見てきたほうがいいと思いますよ」


その言葉を聞いたひめは腕を組み考える。


「2人がそこまで言うなら見てくるのじゃ」


そう言って立ち上がり扉のほうへ行き…帰って来た…


「もったいないからの、 あむっ 」


そう言って、食べかけだったクレープを食べ始める。


「ひめちゃん、陸が合格かどうかは僕達に教えてくれますか、異世界に陸が行くとしても 見送りくらいはしたいですから」


クレープを食べるひめを見ながら拓夢はお願いする、


「もちろんなのじゃ、もし連れて行くことになったら友人であるお主らにもちゃんと伝えんといかんし、それにまだ本人の了承も取っとらんしの」


「そう、ならよかったです。それより陸の実力を見るなら追いかけなくても大丈夫ですか?」


「大丈夫なのじゃ、 陸とやらの氣はお主らと一緒で強いからの すぐわかる、だからの…めろんくりーむそーだとやらを食べ終わってからでも大丈夫なのじゃ」


クレープを食べ終えたひめは、拓夢にきらきらした目で訴えかける…ついでに花もきらきらした目で拓夢を見つめる


「…はぁ、マスター、メロンクリームソーダ2つ追加でお願いします」


カウンター奥のマスターに声をかける。


しばらくしてマスターによって運ばれて来たメロンクリームソーダは、何故かいつもよりソフトの量がおまけされていた。






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