とある高校生達の非日常
ゲームセンターを出てから 2分かからず駅に着いた拓夢達は、1階にある迷子センターに向かっていく。
「じゃあ、みんなはここで待ってて、僕が行ってくるわ」
「よろしくね♪」
「おう、頼んだ」
迷子の子がいた ということを報告するため拓夢は迷子センターの受付に向かう。
「あの、すいません」
「はい、こちら迷子センターです、どうされましたか?」
受付のお姉さんが優しい笑顔で聞いてくる。
「はい、先ほど 迷子の女の子を見つけまして、ここまで連れて来ました」
「ありがとうございます、その女の子は今どちらにおられますか?」
「あー、今後ろ方ににいます」
拓夢は、少し離れた所で待機している3人のほうを指を指す。
受付のお姉さんは、指された方を見た後、少し困ったような表情になる。
「あのー、後ろの方にいる人達ですよね…どう見てもお友だち様のようにしか見えませんが?、制服も同じようですし…」
「ん?…はいそうですよ、あの2人は友人ですよ」
「では、女の子はどちらに?」
拓夢は、質問の内容があまり解らなかったが、聞かれたので答える。
「あの2人の間にいる、白い服着た小さい女の子です」
受付のお姉さんの顔が固まる…
少し間があったあとに
「…少々お待ち下さい」
そう言って受付のお姉さんは、近くでパソコン業務をしている職員達に話しかけ仕切りに3人の方に目をやり何か話している。
戻って来た受付のお姉さんは、少し呆れた表情で戻ってくる
「申し訳ありません…こちらは、仕事をしています。いたずらはしないで頂けますか?」
拓夢に淡々と告げる。
「えっ…」
予想外の言葉に今度は拓夢が固まる…
「拓 どうかしたか?」
待ち時間が少し長かった為か様子を気にした陸が寄ってくる
「はっきりと言わせていただきます、何処にも白い服を着た女の子なんて見当たりません。」
ちょうどその話しが聞こえる位置に来てたのか
陸が答える。
「はぁ?あそこにいるだろうが」
少し語尾を上げて、何言ってんだコイツと少し睨む…
「あなたもですか…これ以上続けられると業務の妨害になります。お帰り下さい。」
あくまで淡々と拓夢達に告げる
「あ゛…人が親切に連れてき「陸、ストップ」
拓夢は、少し怒ってる陸を止めて、受付の女性に軽い会釈をした後、陸を連れて花とひめの元に戻って行った。
「タックン、どうしたの?」
「どうもこうもあるかよ…迷子を預かるのがあいつらの仕事だろうが」
拓夢に聞いたのに、なぜか陸が答える
「ちょっといろいろあってね、 考えたいことがあるから近くのカフェに行こうか…」
「私はいいけどひめちゃんは大丈夫なの?」
拓夢は、じっとひめを見つめた後しゃがみこみ話しかける。
「ひめちゃん、今から喫茶店のほうに行こうと思うけどついて来てくれるかい?」
「きっさてん、じゃと!よいのか?」
目を輝かせる喜ぶひめ
「そう美味しい御菓子がある所よ、大丈夫、陸が奢ってくれるから♪」
「えっ?」
陸の声を無視してひめは、ちょっと考えた後に
「もちろん、行っても大丈夫なのじゃ」
いい笑顔で答える。
「じゃあ行こっか♪」
ひめの手を引き花は喫茶店へと歩きだす。
それについて行く男2人、1人は考えごとをしながらひめを見つめ、もう1人は奢らされる事を考え財布の中身を見つめていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~
喫茶店『ハピネス』、表通りから裏のほうに入り少し行った所に、ゆっくりとした時間が流れ落ち着いた雰囲気を纏うそのお店がある。
拓夢は珈琲、花はクレープがお気に入りで、いわゆる行き着けの喫茶店である。
カラン、コロンと扉についてあるベルが心地よい音色を奏でる。
「いらっしゃいませ」
初老の男性が笑顔で迎えてくれる、ここの喫茶店のマスターで、行き着けの喫茶店なだけあり、今ではすっかり顔馴染みだ。
「今日も3人かい?、相変わらず仲が良いな」
「…はいそうですね…」
少し間を開けて答えてしまう拓夢
「ん?どうした?何かあったのかい?」
「いえ、大丈夫です」
心配かけまいと自然な笑いを作り答える。
「そうかい?、ならいいんだが…注文はいつものでいいかい?」
「いつものに、クレープをもうひとつ追加でお願いします」
「分かった、いつもの席で待っててくれるかい」
そう言ってマスターは調理の準備に取りかかる。
もうすでに店の奥のほうに座っている2人とひめ、花と陸は不思議そうにじっとひめを見つめていた。
「注文してき「タックン…これどういうことなの?」
マスターへの注文が終わり、席に来た拓夢に食い気味で 質問する花、喫茶店にくる道中に、迷子センターであった出来事を話していた。
「それが分かれば苦労しないよ…」
拓夢は、力なく答える。
迷子センター、ここに来るまでの道中、先ほどのマスター反応を見て考えられる事がある…それは、
今のところ3人意外にひめの姿が見えていないということ…
現実離れした空間に2人は考え込んでいた…
「アニメ見たいだな」
陸は、けらけらと笑いながらその言葉を発した、どうやらこの不思議空間を楽しんでいるようだ。
マスターが不思議空間に割って入るように、先ほど注文した料理を机に並べて行く、陸はメロンクリームソーダ、拓夢は珈琲、花はクレープ、いつものメニューだ。
「もう1つのクレープは誰が食べるんだい?」
マスターは、いつものメニューに無い追加注文の行き先を確認する。
「僕の前にお願いします」
拓夢はマスターに答える。
「拓夢くんが甘いもの食べるのは珍しいね、では、ごゆっくりと」
メニューを配り終えたマスターが遠ざかって行くのを確認した拓夢は、クレープに目を輝かせるひめにクレープを差し出して、質問をし始める。
「食べながらでもいいから質問に答えてくれるかな?……ひめちゃん、君はいったい何者なんだい?」