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VS狼男



「さあ、ヤろうや」


狼男はニィっと口が裂けんばかりに笑うと、自然体でアルフレドに近づいていく。

アルフレドも剣を構え直し、じりじりと間合いを詰める。

先に動いたのは狼男だった。

高速でアルフレドに肉迫すると、鋭利な爪をアルフレドに振り下ろす。

それを剣で防ぐと、しゃがんで足払いをする。

狼男は跳んでかわすと、アルフレドに向けて、爪を振るう。

転がる様にしてかわすと、アルフレドは体勢を整える。


「——な、」


眼前には手を手刀の形にして迫る狼男の姿。頬に爪が掠り、血が滲む。

上下左右、様々な位置から、次から次へと繰り出される凶刃。

その一撃一撃はアルフレドのマントや衣服を擦り、擦過の後をつけていく。


「ハッハー! 守ってばっかじゃ、拉致があかねェぞォ!」


狼男が叫ぶ。

くそ、速いな!

アルフレドは内心で一人叫びながら、狼男の攻撃を剣で受け、かわし、いなし続ける。

狼男の猛攻は速さこそあるものの、単調で、アルフレドはすでに動きを見切っていた。


「オラ、そっちからも攻めてこいよォ!」


狼男が更に叫ぶ。その表情は焦りとも、怒りとも取れる色に染まっている。

徐々に攻撃が単調に、大雑把になっていく。

頃合いか。

そう思いながら、アルフレドは大振りで振るわれた凶刃をいなし、狼男の脇腹を裂く。


「ぐっ……!」


狼男が苦痛に顔を歪ませる。だが、まともに切れた感触が無い。

恐らく《マナ》で身体を覆い、身体能力を強化しているのだろう。

アルフレドは予測し、亜人の《マナ》との親和性に舌を巻く。

通常は強化の術式などを用いて、身体能力を強化する。《マナ》をそのまま身体に流すということは、人間の身体には毒であり、場合によっては死に至ることもある。

だが、直接マナを流しても問題ないもの達がいる。

それが《亜人》であり、《魔物》だ。

《魔物》は《マナ》に毒された生き物の慣れの果てであるため、《マナ》による毒は全く無いと言われている。その血が半分流れている《亜人》にも《マナ》を直接身体に流すことの影響は少ない。

術式を構築する手間を考えたら、《マナ》を直接身体に流す方が遥かに効率が良い。

そもそも《魔物》が術式を使えるかは微妙だよなぁ。

考えている間も、狼男の猛攻は止まらない。

しかし、アルフレドはそれらをいなして、小さなダメージを蓄積していく。


「くっそ、ガアアアアア!」


狼男が吠える。

その吠え声に焦りや苛立ちが乗っているのが、伝わってくる。

これを逃す手は無い。


「どうした? もうへばったのか?」


アルフレドは狼男に対して挑発する。

その言葉に反応してか、狼男の攻撃が更に速く、更に大振りになる。

速いが単調。単調であるがゆえに、よけやすい。

大振りだから、隙が多い。隙が多いがゆえに、攻撃の機会も増える。


「っらあああああ!」


一際大振りで振りかぶってきたので、振り下ろされる前に腹部に向けて、すれ違うように剣を振る。


「グオォッ……」


やはり手応えは固い。切れた感触がそこまで伝わっては来ない。

だが、今までで一番手応えがあった。

その証拠に狼男は蹲っており、出血の量も少なくない。


「く、そがァアアアアア!」


狼男が吠える。

そして、何故か距離を開け、クラウチングスタートをする時の様な姿勢を取る。

狼男の周りに《マナ》が集まり、やがて可視化出来るまでに密度が濃くなる。

狼男を中心に風が吹き荒ぶ。その風に煽られて、木々が揺れる。

これはヤバい。

アルフレドは剣を構え直し、来たる一撃に備え。


「ガアアアアア!!」


る暇もなく、狼男が放たれた。






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