えぴろーぐ
中学の時、私は色んな人に嫌われていた。
地味だし笑わないし無愛想で、ある程度勉強ができて、運動神経もそこそこで、全然可愛くない。
唯一、話せる相手は幼馴染だけだった。
中学2年、ある男子と隣の席になった。嫌われ者の私にニコニコとしながら話しかけてきた。戸惑いながらもゆっくり話せるようになった。
実はその頃、人間不信が酷くなり学校に行かなくてもいいと親にも言われていた。精神科にも少しお世話になった。
その男子のおかげで学校に行くのが少し楽しくなった。
そんなある日、私がその男子に告白したという噂が流れた。今まで話したことないような子にもそんなことを聞かれた。私は少し笑って否定をした。
そのせいで無視などのいじめが一部で始まった。
少し笑って否定したのが聞いてきた子達の癪にさわったらしい。そんなことでいちいちいじめてくるのも小さい人間だ。
今はそう言えるが、あの頃は随分と参ってた。自殺しようと考えたこともあったし学校を休もうともした。
ある日、いじめていた主格の女子が告白しなよと言ってきた。そしたらいじめをやめてあげるって。
すぐ手紙を書いた。でも、最後の方に小さく「嘘です」とかいたのを今でも覚えてる。本当は好きだったくせに。
結果、その文字は届かないまま勝手に付き合ってることにされ、勝手に別れを言われた。とにかくなんとも言えないような空気になってしまった。
いじめは終わったがみんなからの視線は痛かった。
そんな中学を卒業して、高校に入った。長かった髪をバッサリ切った。スカートもみんなと同じくらいにして、流行りのものも使うようにした。
世に言う高校生デビューだ。成功した例。
先輩に告白された時、昔の自分とは完全におさらばできた。もう地味な女の子はどこにもいないんだ。でも、付き合うということが恐く断った。
中川くんに告白された時はもう谷山が好きになってた。1度あんなことになった人をまた好きになるとは、思ってなかった。
「笹原」
珍しく部活が早く終わりいつもの階段で私が谷山を待っていた。今日はいつもと逆。髪飾りが月明かりに当たってキラリと輝いている。寒色系の花はすごく綺麗。
「松川さんは?」
「最近、カレピッピーが出来たんだってさー。そそくさと帰っちゃった」
「立花もカノピッピが出来たってさ」
「ふーん。興味ない」
「お前のクラスのやつだったぞ」
「それは興味ある」
そんな私たちは2年生になった。クラスは違うが廊下でよくすれ違う。
谷山に告白された日から私は幸せの中にいた。本当に好きな人とこんな風に付き合えるのは素敵なこと。
「土日も部活?」
「そう、大会近いし」
「応援行くよ、立花でも引き連れて」
「谷山だけでいいよ」
「…なら、俺の応援にも1人で来てくれないか」
チラリと横を見ると顔を赤らめている。こういうところは知らなかった一面だ。
「考えておきます」
「…ん」
たわいもない話をしながら駅までのロードを歩いていく。
電車に乗ってサッカー部の奴らがいても最近は無視するようになった。谷山も口喧嘩するようになったからだ。2人で口喧嘩をおっぱじめるから向こう側はそそくさとどこかへ行ってしまう。
最寄駅に着くと谷山は無言で私の手を取る。少し照れながら手をつなぐ彼を、後ろからニヤけてみるのが私の楽しみ。
「今度、どこか行こう」
「例えば?」
「…勇気の行きたいところで」
この帰り道だけ下の名前を呼び捨てしてくれる。
「それならカフェがいい」
「そんなところでいいの?博物館とかでもいいんだぞ。ほら、前にどっかの美術館行きたいって言ってたじゃん」
私がそういうところが好きなのも覚えてくれてる。
「博人と話すだけで私は十分だから」
「…探しておく」
呼ばれるとまた顔を赤らめてしまうところ。
「他に行きたいところがあったら言って」
「うん。博人はないの?」
「俺も話すだけで充分幸せ」
「ふーん」
「…お前はそういうこと言われても照れないからずるい」
そう言って少し不機嫌になる。そういうところも可愛く感じるのはゾッコンの証拠なのだろうね。そんなこと、本人には言わないけど。
「照れてるけど顔に出てないだけ」
「絶対今度は顔に出させてやる」
「無理でしょー」
「やってやる」
くだらない争いをしながら、前よりも輝く夜空の下の帰り道を歩いていく。
約1年、読んでいただきありがとうございます。
作者は現在、大学生です。授業中や寝る前などにぽちぽち書いてました。
このお話は私の実体験に基づいたフィクションでした。
どちらが作者かは皆様のご想像にお任せします。
更新が途中でなくなりなかなか続きが書けなくなってしまう時期もありましたが、皆様のおかげで最終回まで持っていけました。
次回も宜しくお願いします。




