あの子と仲がいい彼は
「大事な話がある
だから帰り、教室でまってて」
見覚えがあるような、ないような。でも、悪口とかじゃなくてよかったかも。手紙で悪口言われたら心が折れちゃうもん。明日から学校来れなくなる。
「早く行かなきゃ」
その手紙を鞄にしまい、急いで階段を上っていく。4階まで上るのは慣れてはきたけどなんせ冬だから寒い。もともとボロい学校だから空調とか設備いいわけじゃない。もう一枚セーターが欲しい。
「あ、ゆうた」
「桜子」
「あーよかった。部長がおせーぞ!って怒ってたよ〜」
「連絡入れてなかったや。急いでいく」
「ううん。大丈夫だよ。私が探してくるって言ったらついでに台本コピーしてこいって」
「でも荷物置いてこないと」
「そっか、じゃあ待ってるー」
急いで部室に行くと案の定、部長に怒られたが、
「早く桜子とコピーしてきて!桜子、機械音痴なんだから!」
と言われたのでまたまた急いで桜子と合流した。私は桜子のお世話係ではないんだけどなー。
「大変だねーゆうた」
「遅れたのは私が悪いんだし」
「何かあったの?」
「うん、まあ」
「聞いたらダメなやつ?」
「いや別に…」
桜子は私にとって一番なんでも話せる存在だ。桜子もそうしてくれてるのを分かっている。
今回は一番に話さなかったな。いつも最初に相談するのに。昨日も部活でバタバタだったし、2人で帰ってないからかな。わざわざラインするのも気が引けちゃうし。
「実は、あんまりよく知らない人から告白されて。それを断ってたら」
「時間かかったってことかー」
「そう」
「誰?」
「中川創平君って子」
「あー下りの子じゃん!谷山君と仲がいい子」
「谷山と?」
「そうそう。よく谷山くんと一緒にいるよー。てか、私のクラスの子じゃん!」
谷山と仲がよくて下りの子…。確か、前に言ってた気がする。クラスでよく一緒にいて、石川から転校?してきて…。
「そっか、谷山と桜子は同じクラスだったね」
「え、忘れられてたのか…」
「どんな子?」
「うーん、優しい子だね。成績もそこそこいいし。あんまり目立ってる子ではないかな?でも体育祭とかで盛り上げちゃう子」
「どゆこと?」
「運動神経いいからみんながキャーキャーしてる」
「へー」
聞けば聞くほどなんで私を好きになったのか疑問になってきた。だって接点ないし、私はそんなに目立つわけでもない。一体どこで出会ったんだろう。
「そういえば。最近、他校の男子生徒にいじめられてた女子生徒を助けたって」
「……あ!」
「な、ななに!びっくりするじゃーん」
「わ、私!大切なこと思い出した!」
「何思い出したの!?」
なんで気づかなかったんだろう。あの子にすごく、すっごく失礼なことをしてしまってた。
「あの子、私を助けてくれたんだ!」
元サッカー部に囲まれたあの日、私を助けてくれたのは中川くんだったんだ。




