あの人と比べた彼を
次の日の屋上。放課後。
「友達からってことでいいですか?私、まだあなたのことなにも知らないから」
「あぁ。んなら、ライン交換しよう」
「は、はい」
知らない人と話すのは胃が痛いし疲れるし精神が抉られる。
結局、友達からってことで体のいい断り方をした。中川創平くんって子。今回ばかりは友達に相談した。
「えーいいじゃん!試しに付き合ってみなよ!」
私には「試しに付き合う」って感覚がないから無理だ。そんなことしたら相手に迷惑だし私の胃がもたない。もしどこかにお出かけするってなったらどんな服がいいのか、どんなとこに行くのか。
もし嫌われたらどうしようとか、ネタのために告白されたんじゃないかとか、もしかしたら体目当て?とか。相手は全く思ってないことも考えてしまう。
「ラインのトプ画、ペット?」
「あ、うん。ハリネズミ」
「名前なんていうの?」
「タタっていうんです」
風が少し強め。タイツだけど少し寒い。
「あのさ、もしよかったらどこか行かない?今度の土日にでも」
「…ごめんなさい、しばらく部活が忙しくて」
「じゃあ帰りとか」
「帰り?」
「一緒に帰らない?」
「わ、私下りだけど。それにそっちにも部活の人と帰るとか」
「いや、それはどうとでもなるけど…覚えてないんやな」
え、どゆうこと。私、下りの電車で会ったことないのに。いつも谷山と一緒か1人かのどっちかだし、1人の時は、できるだけ同じ高校の人と同じ車両には乗らないようにしてるのに。
「どこかであったことありますか?」
「いいや、覚えてないならいいよ」
にっこり笑って誤魔化されてしまった。
「それに敬語もやめてほしいな」
「わ、わかった」
「俺のことは中川でも創平でもなんでもいいから」
じゃあ、と言って手を振って教室に帰ってしまった。
「はー疲れる」
ふと上を見ると真っ青な空が広がっていた。雲が少しだけある綺麗な空。こんぐらい自分の心も綺麗ならいいのに。
中学の時、あの出来事のせいで私は未だに人間不信になってしまう。中川くんだって本当は…、そんなこと考えてしまう。すごく人当たりのいい真面目そうな人なのに。
「早く部活行こう」
屋上から自分の教室からカバンをとりにいった。誰もいないと思ってた教室には友達がいた。
「あ、ゆうたー」
「部活は?」
「ゆうたを待ってたんだよー」
「なんでよ?」
「返事、どうしたの?」
あ、そういうことか。こういうの苦手だからそっとしておいて欲しかったのに。
「お友達からってことにした」
「えーもったいなーい!あんなにカッコいいのにー」
「私、人見知りだから。全然知らない人に告白されてもビビっちゃうだけだし」
「あ、本当は谷山くんと比べたとか?」
「そんなことないよ。なんであいつと比べるの?」
「だってゆうた、谷山くんとしか喋らないじゃん。あ、男子ね?」
もしかするとそれもあったのかもしれない。
「…ごめん、そろそろ部活行かなきゃ」
「あ、私もだー」
またねー!そう言って友達は下駄箱に向かった。忘れ物ないか確認してから行こう、そう思って机の中に手を入れた。
「あれ?」
ちょこっと入ってる私の机の中に手紙が入ってた。差出人は不明。




