軽めな気持ちの彼女に
「で、返事はどうしたん?」
「あ、昨日のこと?」
「中川にきいたぞー」
「どんな子かわかんないからとりあえず「お友達から」って伝えようかなと」
「ふーん」
「なに?」
「今回はあんまり恐がってないから」
「何にも知らない人だからだよ」
何も知らない人だと恐がらないのか。じゃあもし笹原に俺が告白したら恐がるのかな。
「そういや先輩はどうなったん?」
「彼女できたらしいよ?」
「え、あんなのに」
「だからもう触ってこないから何にも心配ないし胃も痛くないよ」
だから部活が楽しいんだ、と言わんばかりに笑っている笹原。数週間前までは嘘のような笑顔だ。
「笹原的には彼氏とかいらないん?」
「うーん。いたらいたらで大変だしでも、なんだか楽しそうかなっても思う。そういう谷山は?」
「欲しいけど、俺コミュ症だし。あんま女子の扱い上手じゃないから」
こうやって逃げてばっかじゃダメって分かってるんだけどな。でも、好きな人本人を目の前にしてしまうとやっぱり逃げてしまう。
中学の頃、あんなに傷つけてなかったら勇気さえあればすぐに告白するのに。またあんなことになったらって思っちゃうと、俺より中川の方が笹原を幸せにしてあげれるのではと思う。もちろん、高校生の恋愛だからいつまで続くか分からないけど。
「そうかなー?谷山は女子の扱い上手だと思うけど」
「は?」
「だって私に対して上手じゃん。泣いた時とかしょんぼりした時とか。どうしたら相手が機嫌を直すか分かってるし」
「…」
「気になる人がいるんなら告白してみればいいのに」
「無理だよ」
俺がお前のことを好きだと思っているのにそんなこと言われたらなんだか悲しくなってしまう。
「…俺なんかが告白しても迷惑じゃないのかね」
「相変わらずネガティヴだね」
「自信がないんだよ」
「勇気もでしょ?」
「…まあ」
前を歩いていた笹原はくるりと後ろを振り返ってこう言った。
「私の名前の気持ち、ちゃんと持ってよ」




