誰にも取られたくない彼女を
「告白されたんだ」
正直、思考停止した。こんなにもモテる奴だったっけと思い直してから焦り始めた。このままでは取られてしまう。やっと気づいた、あいつに告白されて1年以上たってからやっと。
「そうなんだ。高校入ってから2回目じゃん」
「でも、あんま知らない人で。同じクラスとかならわかるんだけど」
「へー」
「石川から来た子」
「え?」
石川から来た子。それって俺のクラスで仲がいい、中川創平だ。
次の日、なんとなく暗い顔で教室に入ると中川が声をかけてきた。
「おはよーう、谷山」
「あ、おう」
「あんさ、話があるんだけどちょっといいか?」
どうせ笹原のことだろう。
「ああ、いいぜ」
「ちょっと屋上行こうや」
中川は顔もそこそこイケメンで、性格もいい。どっかの先輩みたいに喰ってやらうとなんか考えてないと思う。忠実で紳士的、俺とは違う。石川の方言はもう抜けたらしくほぼ標準語ではなす。
「で、話って?」
「昨日、笹原さんから聞いてないか?」
「いや、聞いた」
「どう思った?」
「どうって、それはお前の自由じゃないんか?」
「お前と笹原さんは仲がいい。それを俺が邪魔していいか不安だった」
今更だ。だったら告白する前に言ってくれれば。でも、それは俺が弱虫で意気地なしだから結局、「いいんじゃない?」とか言っちゃうんだ。
「邪魔って」
「単刀直入に聞く。お前は笹原さんのことが好きなんじゃないのか」
「…」
「俺は今回振られても何回でもアタックする。好きでいる間は」
なんで「好き」って言えないんだ。言えばいいじゃないか。俺が一番近くで見てきたあの素敵な彼女を。
「お前はどうなんだ。」
取られたくない。
あんな悲しそうな目を見たくない。傷つけたくない。
「お前が笹原さんのことなんとも思ってないならそれでいいんだ」
そんなことない。なんともなんか思ってない。
「もし付き合えたら相談してもいいか?好みとか知らないし。」
そんなこと聞いても俺は本当のことはきっと教えられない。俺だけの秘密なんだ。
「もちろん、本人から聞き出そうとは思うけど」
「あのさ、お前はあいつのこといつ好きになったんだ?」
言えよ、目の前のライバルに向かって。
俺はあいつが好きってちゃんと言え。
中学の頃から忘れられない人って。




