17/28
感謝の言葉を彼に
今日も星は綺麗だ。私の大好きなオリオン座はそろそろ見えなくなってしまうんだ、三つ子の星。
「おい、笹原。上ばっか見てるとこけるぞ」
「いいのー。こけてもいいぐらい素敵な星だから」
そんなこと言ってもちゃっかり車道側を歩いてくれるあたり、優しさを感じてしまう。私が気づいてないとでも思っているのかな。
「ありがとう」
「なにが」
「車道側歩いてくれて」
「…別に」
「あと待っててくれて」
「…」
「なにその顔。あ、いきなり褒めたからあとで奢れって、たかられると思ってんの?」
「んなことねーわ!」
「じゃあなんだよー」
「なんでもないっつーの!」
この星を見ていた1年前は必死に勉強していた。塾の帰り道でよく見ていた。特に行きたい高校もなかったけど、周りに流されて勉強してた。
あの頃から比べたら私は笑うようになった。泣くことが少なくなった。カッターナイフを持つことがなくなった。苦手なことは少し増えたけど。でも、好きなこともその分増えた。
「谷山ー」
「なんだよ、さっきから」
「なんでもなーい」
「じゃあ呼ぶなよ」
一番嬉しいのはこんな風に谷山と話せてこんな風に帰れること。こんなにも幸せであること。
これで満足なんだ。
「私さー」
「なんだよ、さっきから」
「告白されたんだ」
本当は満足だと思ってないけど。
私はまだ、君に恋してるのかもしれない。




