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夜空の下で帰り日々  作者: 玄米最中
16/28

似た雰囲気を持つ彼は

今日は随分ハードスケジュールだったなって思いながら外階段を降りる。正直、もうクタクタで歩くのをダルい。桜子早く来ないかなー。教室に忘れ物したってベタすぎるドジでしょ。


「あ、谷山。まってたの?」

「待ってたっちゃー待ってたけど。立花が教室に忘れ物したっていうから」


こっちと同じだ。


「明日、そんなに大切な書類でもあったっけ?」

「修学旅行のやつじゃない?」

「あ、それか」

「確か明日までだよな。俺はもう今日出したけど」

「机の中に入れっぱなしになってたりしてね」

「あの2人ならありえるな」

「……私も忘れた」


全然、人のこと言えないや。忘れてたや修学旅行参加書。確か…北海道だったかな。先輩方は沖縄に行ってたけど。来年から台湾だって。海外とか絶対無理。言葉も通じないし何かと物騒だし。


「取り行かないと」

「もう外階段からは行けないか。一緒に行く」

「大丈夫だよ」

「暗いところ苦手なんだから。下手に時間かかったら面倒」


外階段の扉は夕方になると出ることはできるが入ることはできなくなる。マジックドアってやつなの。よく箒とかちりとりとか挟んで入れるようにするけどね。でも、こんな時間だとそんなことする子いないし、なかったし。


「ありがとう」


正面玄関、つまりは職員の玄関から教室に入っていく。靴は隅っこに置いて靴下のままツルツル廊下を歩く。


「これさ、スケートみたいで面白くない?」

「んなことしてると転ぶぞ。笹原は変なところで馬鹿なんだから」

「あ、でも靴下汚れるか」


声がしないから桜子達はもう外に出たのかも。ツルツルーって調子に乗って遊んじゃおう。


「あー楽しい。今日の疲れがなくなるー」

「今日はなにしたん?」

「いや?特に何もしてない」

「なんだよ、それ」

「でもさ疲れるんだよ。授業中に寝てて怒られたり、部活で気を使ったり」


まず、授業中に寝てて疲れるってもの可笑しい気がするけどね。数学とか眠くなるんだよね。本読んでたら取り上げられたりしたし。


「あと、毎日楽しいから」

「だから?」

「前より楽しもうって思うようになった」

「…前より無理して笑ってないか?」

「前より無理してでも楽しもうとしてる」

「ならいい」


谷山はいつも私のことを心配してる。私が私の中に引きこもってしまわないか。もう中学の私なんかあまりにも小さくなっているのに。


「おい、教室ここだろ?」

「ツルツルに夢中になってたらつい」


教卓の真ん前の列。その後ろから2番目っていう微妙な席。机の中をゴソゴソして無事にプリント発見。あーよかった、これで修学旅行いける。


「あった?」

「あったあった」

「ちゃんと親に出せよ」

「谷山は北海道、楽しみ?」

「なんで?」

「なんとなく」


無理に笑ってないかっていうけど、そういう谷山も無理に笑っているように私には見えるんだ。多分、谷山も私のことそう思ってるんだな。


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