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夜空の下で帰り日々  作者: 玄米最中
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こんなにも素敵な彼女に

あの日、笹原が元サッカー部の奴らにいじめられた時から俺の中で何かが変わった。涙が溜まった目で俺を見た笹原は、とても弱々しかった。もし、俺の友達がいなかったら笹原はどうなっていたのだろう。その場で泣いてしまったかもしれないしあいつらを殴ってしまったかもしれない。もともと気が長い方ではないから。


「谷山」


そう呼ぶ声を守らないといけないと思い始めた。笹原の先輩から元サッカー部の奴らから。ただ、俺は笹原を守れるほど強くはないことも分かっていた。弱虫で逃げ腰で意気地のないヘタレだ。


「ミルクティー奢ってよー」


そう言ってくる笹原を面倒と思ったことはない。むしろ、頼られてるようで心の底では嬉しかった。1年前までこんなに喋れるとは思ってなかった。あんなに傷つけたのに、あんなに最悪なことをしてしまったのに。それなのに笹原は何も変わらずに接してくれた。まるで何もなかったかのように。


「いつも助けてくれるからありがたいよ」


そんなことはない。笹原だって俺のことを助けてくれてる。何気ない気遣いに何度も救われた。時々奢ってくれるあの優しさや、ただ黙って話を聞いてくれる心遣いに。無理をしてる時に声をかけてくれるところは本当にすごいと思う。


「先輩にさ、告白されたんだ」


聞きたくなかった。でも、断ったって聞いて本当に安心した。ただ、中3で男子嫌いになった笹原に手を出そうとしたのはどんな人か興味があった。会って話してガッカリした。あんな欲丸出しの奴なんかと笹原が付き合うわけない。笹原は簡単に人に心を見せるような子ではない。


「寒いんだから待ってなくていいよ。風邪ひいたらどうすんの」


違うんです。待ちたいから待ってるんです。笹原と2人で地元の駅から数分でもいいから一緒にいたいんだ。確かに寒いし風邪を少し引いたこともあったけど。でもそれでも、笹原とお喋りしたりよくわからないゲームをしたりしていたい。もちろん、1人で帰らせるような道でもないからそのことも含まれている。でも、明るい道であっても一緒に。


言い訳をつらつらと重ねるのはもうやめようと思った。素直に認めようと思った。女子慣れしてない俺が俺なりに出した結論なんだ。


笹原勇気に恋をしてしまったと。


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