私は大人なんだ!!
……来夢です。今は王さまの面会待ちで待機中です。よく分からない高そうな部屋に一人でいます。ウォルフさんと離ればなれになってしまって泣きそう。
することも無かったので眼鏡の実験してました。しっかりかけていたら見えないけど、眼鏡がずれたり意識的にフレームの外を見たりすると光が見えるみたい。後、実験していて気が付いたのは、部屋に光の線があることぐらいですね。模様みたいでキレイ。
そんなことをしていたらノックの音がして、扉が開いた。
「失礼いたします。ツダ様でしょうか?」
「はい、津田です。」
様付けはゾワッてなるからやめて欲しいなー。まぁ、仕事だろうから言っても意味ないかな。
「では、私に着いてきてください。」
「わかりました。」
後ろに着いて歩いていく。耳と尻尾からして犬かな。でも赤い色の犬はいないし…なんかよくわかんない。世界が違うからかもしれないな。
しっかし、綺麗な赤だなぁ。赤や橙が風に揺られて姿を変え、火を見ている気がしてくる。
「……珍しいですか?」
「へっ?」
「ずっと視線を感じましたので…。」
後ろを振り向きもせず言われて驚いた。見てたのばれてたかー。少し悪いことしたな。
「綺麗な赤色だったから目が離せなかったんです。すみません。嫌、でしたよね。」
「嫌なんて…そんなことありませんよ。そんな風に言って頂いたこと無かったので、嬉しいです。」
大きな扉の前に立ち止まって振り向いた。
「この先に王がいます。くれぐれも失礼のないように。……心配しなくて大丈夫ですよ。」
最後に小声でそう言うと、扉に手をかけた。
音を立てて扉が開いていく。そして、目があった。
シーファさんと……。えっ!?またかよ!!なんで居るの?あっ、ウォルフさんも居る。良かった…。
「そなたがツダか。小さいな。歳はいくつだ?」
小さい?あぁ、皆背が高いからか。
「…歳は18になります。」
「えっ!?」
「マジで!?」
「そう見えないな…。」
今さらだけど、ライオンみたいな人誰だろう。まさか王さまなんてことないよね?王座に座ってないし、威厳感じられないし、違うよ。たぶん…。
「我はこの国の王である。そして、此奴等の友でもある!!」
王さまだったよ…。あとなんで最後の方を強調してドヤ顔してるの?ワケわかんないよ…。
「友が連れてきた者はそなたが初じゃ。」
「…いつまでその喋り方なんだ?」
「えっ!王さまってこんな感じじゃんかー!!威厳無いってよく言われるしー。俺なりに考えたんだよー。」
ウォルフさんの肩に腕を回しながら言った。素の方がしっくりきますね。
「あっ、本題なんだけど、ツダはどうしたい?こっちで生活保障するけどー。」
「どうしたい…っていうほどのことはないんです。ただ、出来ればウォルフさんと一緒に居たいです。知ってる人が居ないと不安で…。」
「そっかー。じゃあ、今の状態維持ってことで!!ウォルフには特別な仕事ってことで雇うねー。騎士としてじゃないから良いでしょ?」
「良かったなーウォルフ。無職脱退だよー。お祝いしなきゃなー!!」
「っ!就職してもお前らが邪魔しに来るからだろうが!」
「えー?人のせいにするんだー。ひっどーい!そう思わない?ツダちゃん!」
「はい、言い方がうざいなって思います。」
「面白い子やなー。気に入ったわー。」
頭を撫でられながら私は思った。これって、子供扱いされてるのでは?っと。
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