問題なことか?
俺の名はウォルフ=シルフィン。狼族の男だ。
昨日の夜散歩していたら近くで魔力の淀みを感知したので様子を見に行った。そしたら、人族の女が転移してきた。
その女はツダというらしい。人族でもあまりにきかない名だった。辺境の者だろうか?人族が知らないはずの狼族の言葉をしゃべったのには驚いた。
しかし、転移してきたのに巻き込まれたとはどういう事だろうか?怪しい女だから手元に置いて様子を見ることにした。
朝なのにまだ起き上がって来ない。ドアをノックしても反応がない…まさか逃げた!?
ドアを開けて見たら女はいた。すごくしんどそうに汗を流しながら呻いていた。
急ぎ台所に行き水とタオル、それから塩分の入った飲み物を持ち戻った。
昨日はそこまでしんどそうに見えなかったのに…。
看病しながら原因を探すがここまで熱が出るようなことになった訳が分からない。
どうしたらいいか困っていたら人が訪ねてきた。こんなときに一体誰なんだ。そんなことを思いながら玄関に向かった。
「よっ、元気にしてたかい?」
俺の友人で狸族の男だった。病気に詳しい奴だ。
「良いところに来た。俺に付いてこい」
そう言って俺は女のところに行く。
「珍しいな。いつもなら俺を見たらすぐ扉を閉める癖に、女の子でも紹介してくれるのか?」
ニヤつきながら言うので睨んだらこいつは。
「えっ、マジかよ。女関連なのかよ…お前が!?」
一体こいつは俺をどんな奴だと思っていやがるんだ。
「朴念仁」
…心を読むんじゃねぇよ。
ドアを開けて中に入るとあいつは真面目になった。
「いつからだ?魔力の流れがおかしい。」
「昨日はこんなんじゃ無かった。だが力が入らないとかで立つことも出来なかった。」
考え込んでからあいつは言った。
「まるで目醒めみたいだ…。」
目醒め…産まれてから数日の間に起きる現象の事だ。それがないと自身の魔力が体を蝕むか、逆に自身の魔力が無くなって最悪死んでしまう。
「この世界に居るものならおかしいよな…。」
人族の国がきな臭かったが…まさかな。
「数日経てば良くなる。それまで安静にさせておけば問題は無いだろう。」
「助かった。」
「構わねぇよ。それよりこの子をどうする気だ?」
「当分の間、俺が面倒をみる。」
「その先は?ずっとは無理だぞ?」
「分かっている。問題が無さそうなら本人が生きたい場所で生きられるようにするつもりだ。」
「さいですか。ところでさ、この子の名前は?」
「…ツダ」
「ツダちゃんを襲うなよ」
「ニヤつきながら言うな気持ち悪い。お前じゃないから大丈夫だ。」
「ひどいな~でもまぁ、いつでも帰って来い、皆が待っているからな。」
あいつは言いたいことを言うだけ言って帰りやがった。
「今の人は?」
いつの間にか起きていたみたいだ。
「俺の友人だ。名は…「シーファだよ♪」
「まだいたのか!?」
「甘いぜウォルフ、この俺がカワイ子ちゃんと話さずに帰る訳が無いだろう!!」
「ウォルフ…?」
「…」
「…」
「まだ名乗っていなかったのか!?」
そういえば名乗って無かったな。まぁ問題無いだろう。
「嫌々、問題あるから!!」
また心を読まれた。名前ぐらい知らなくても問題ないのにな。