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間逆   作者: 菅野いつき
第二章   そして、始まった
4/14

四年生。前編『作り笑い』

おはようございます。

毎度読んでくださりありがとうございます。

         第四話



 この時から、私を取り巻く環境が大きく変わってきたのだろう。それまで、存在しない、幽霊などが怖かった私が初めて、存在するものに恐れを抱き出したのもこの時期である。


 ある、冬の日である。まだ、私が三年生の冬の日。父はおばあちゃんが無くなってから初めてお客様を連れてきた。それも、二人も。


 片方は若い女の人で、もう片方は三十代ぐらいの男性である。

 勿論、私は大歓迎だ。その夜、二人は私の家に泊まった。


 次の日。若い女性だけが泊まることになる。その次の日もその次の日も。

私は嬉しかった。しかし、二人の兄はそうでもなさそうで、感情を表には出さずにただ、その光景を見つめている。


 やがて、私は四年生になった。


 四年生の話は少し長くなる。


 私は、孤独になった。光は人気者になった。


 私が不安に思い考えていたことは、見事に的中した。


 ある日。私は学校の教室に入る。四年三組の教室だ。私のクラスだ。しかし、おはようと声を掛けるものは、誰一人としていない。これは、少し前からである。


 私は、席に座り教科書などを机に入れる。やがて、チャイムがなり、朝の会と呼ばれるホームルームが始まり、そして、終わった。


 私は一時間目の用意をし、宿題のプリントを机の上に置いて、お手洗いに出掛けた。三分後にトイレを出て、自分の椅子に座る。


 あれ?プリントがない?私は慌てる。宿題がないとなると、次の時間は地獄だ。先生の大目玉くらう。


 しかし、どこ探してもない。おまけに授業始まりのチャイムがなってしまう。地獄の始まりだ。


 いや、もしかしたら、地獄はもっと前から始まっていたのかもしれない。


 後からわかった話。あれは、クラスの人が隠したのだ。いや、隠したのではない。破いて捨てたのだ。


 そう、四年生になって、私に対するいじめが本格的に始まったのだ。理由はわからない。ありもしない噂が流れ皆が私を嫌った。ただ、一人を除いて。


 「はぁ......」


 いつもの帰り道。私は誰にもばれないように、小さく溜め息をついた。


 たんぼの前を通ると私は跳ねている蛙を捕まえてなんとなく、歩きながら観察をする。緑と白は綺麗にくっきりと別れている。なんだか、とても綺麗に思えた。


 前方では光が自分より年下の子達と遊んでいる。仕切りにみんなの笑い声が聴こえた。それは、光中心に広がっているようである。


 私は蛙を逃がし、ごめんね。と、呟く。この、『ごめんね』は蛙だけににいったのではない。その他の今まであった生き物達に言ったのかもしれない。これから、会うであろう人々に言ったのかもしれない。もっと、凄い人に言ったのかもしれない。それは、私にも良くはわからない。


 「お~い!光何やってんだ!早く来いよ。置いてくぞ。」


 前方から光の声する。置いていきたいなら行けばいい。


 すると、光は走ってきて、「何やってんだよ?」と、私の腕を掴んだ。


 私は無言。彼は私を引っ張った。


「何があったか知らねーけど。あまり、落ち込むんじゃねーよ。お前らしくない。」


 彼は言いながら私をグイグイ引っ張る。


 ああ……こいつにだけは、心配かけちゃいけないな。


「別に。蛙見てたの。色が綺麗に別れてて、面白かったの」


 私はとびっきりの笑顔で言った。勿論、作り笑い。人生で初めてした作り笑いに光は大いに騙されてくれた。



四年生前編です。

こんな、経験皆様にはありますか?

作り笑いって意外と大変なんですよ。

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