四年生。前編『作り笑い』
おはようございます。
毎度読んでくださりありがとうございます。
第四話
この時から、私を取り巻く環境が大きく変わってきたのだろう。それまで、存在しない、幽霊などが怖かった私が初めて、存在するものに恐れを抱き出したのもこの時期である。
ある、冬の日である。まだ、私が三年生の冬の日。父はおばあちゃんが無くなってから初めてお客様を連れてきた。それも、二人も。
片方は若い女の人で、もう片方は三十代ぐらいの男性である。
勿論、私は大歓迎だ。その夜、二人は私の家に泊まった。
次の日。若い女性だけが泊まることになる。その次の日もその次の日も。
私は嬉しかった。しかし、二人の兄はそうでもなさそうで、感情を表には出さずにただ、その光景を見つめている。
やがて、私は四年生になった。
四年生の話は少し長くなる。
私は、孤独になった。光は人気者になった。
私が不安に思い考えていたことは、見事に的中した。
ある日。私は学校の教室に入る。四年三組の教室だ。私のクラスだ。しかし、おはようと声を掛けるものは、誰一人としていない。これは、少し前からである。
私は、席に座り教科書などを机に入れる。やがて、チャイムがなり、朝の会と呼ばれるホームルームが始まり、そして、終わった。
私は一時間目の用意をし、宿題のプリントを机の上に置いて、お手洗いに出掛けた。三分後にトイレを出て、自分の椅子に座る。
あれ?プリントがない?私は慌てる。宿題がないとなると、次の時間は地獄だ。先生の大目玉くらう。
しかし、どこ探してもない。おまけに授業始まりのチャイムがなってしまう。地獄の始まりだ。
いや、もしかしたら、地獄はもっと前から始まっていたのかもしれない。
後からわかった話。あれは、クラスの人が隠したのだ。いや、隠したのではない。破いて捨てたのだ。
そう、四年生になって、私に対するいじめが本格的に始まったのだ。理由はわからない。ありもしない噂が流れ皆が私を嫌った。ただ、一人を除いて。
「はぁ......」
いつもの帰り道。私は誰にもばれないように、小さく溜め息をついた。
たんぼの前を通ると私は跳ねている蛙を捕まえてなんとなく、歩きながら観察をする。緑と白は綺麗にくっきりと別れている。なんだか、とても綺麗に思えた。
前方では光が自分より年下の子達と遊んでいる。仕切りにみんなの笑い声が聴こえた。それは、光中心に広がっているようである。
私は蛙を逃がし、ごめんね。と、呟く。この、『ごめんね』は蛙だけににいったのではない。その他の今まであった生き物達に言ったのかもしれない。これから、会うであろう人々に言ったのかもしれない。もっと、凄い人に言ったのかもしれない。それは、私にも良くはわからない。
「お~い!光何やってんだ!早く来いよ。置いてくぞ。」
前方から光の声する。置いていきたいなら行けばいい。
すると、光は走ってきて、「何やってんだよ?」と、私の腕を掴んだ。
私は無言。彼は私を引っ張った。
「何があったか知らねーけど。あまり、落ち込むんじゃねーよ。お前らしくない。」
彼は言いながら私をグイグイ引っ張る。
ああ……こいつにだけは、心配かけちゃいけないな。
「別に。蛙見てたの。色が綺麗に別れてて、面白かったの」
私はとびっきりの笑顔で言った。勿論、作り笑い。人生で初めてした作り笑いに光は大いに騙されてくれた。
四年生前編です。
こんな、経験皆様にはありますか?
作り笑いって意外と大変なんですよ。