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間逆   作者: 菅野いつき
第一章   小学生
2/14

小学二年生

おはようございます。


単語クイズ。片方はすでに出てきてますよ。

         第二話



 桜が色をつける季節になった。


 私達は、小学二年生へと進級した。私は少しばかり偉くなった気がしたのだ。だった、一学年上がったというだけなのに。でも、それは、他の人も同じだったようだ。初めて下級生が入って来たのだから無理もないもしれない。



      小学二年生



 二年生になったからクラスが変わる何てことはなかった。


 私の学校はこの辺の地域と比べると生徒の量が多かった。全校生徒で428人と聞いた。本当かどうかはこの頃の私には、確かめようがないことだが。クラスも、一学年三クラス六年生だけ四クラスあった。ちなみに、私は二年一組。光は一年三組。しかし、人数が多ければいいというものでもない。人数が多ければ、人間関係のギクシャクした感じもまた、多い。それ故、生徒はストレスを知らぬまに溜めていた。


  光は孤独だった。


 毎日の下校。まだ一年生が先に帰ってしまう時期なので私達は二年生だけで帰った。


 帰りのメンバーは12人。私達はいつもと同じ道で帰った。だが、なんか退屈で、帰りがつまらない。私は後ろの方でふざけて歩いている光を見た。


 彼はたんぼの前で立ち止まり、「蛙!」言っていた。私はその声に反応して駆け寄る。他のみんなも駆け寄った。 


 確かに蛙がいた。小さな蛙が、しかし、私は捕まえることはしなかった。蛙が苦手というわけではない。寧ろ、好きだった。しかし、今は下校中蛙と遊びたいなら庭でもたくさん見つかるからそいつらを捕まえればいい。


 どうにかしてこの人達をここから動かさなくては。


 しかし、この人達を呼んだところで、来ないのはわかっていた。50数メートルのところに子供が何人も乗れそうな大きな岩が一つあった。そこで私はその岩を指差しながら「あそこまで競走しよう」と言った。勿論みんな賛成してくれた。


しかし、いざ始めようとしても光は蛙に気を取られている。  


まぁ、置いて行かれれば来るだろう。


 そう思い、よーいドンっと言って一斉に走った。光は予想通り「待ってよー」といいながら走って着いてきた。

その走りは遅かった。  


 普段ゲームをして、遊んでるから遅いんだよ。


 私はそう心の中で呟いた。


 岩はどんどん近くなる。息もどんどん荒くなる。


 私は二番で岩に着いた。他の人も続々と到着。しかし、光が到着したのは、光るの前の子が到着して、十秒ぐらいは軽く経過してからだった。彼は当然のようにみんなに遅いよ。と言われた。

  

 次の日も、競走した。その次の日も次の日も競走した。


 次第に彼は足が遅くてみんなにバカにされていた。


 私は、当然の結果だろう。そう思っていた。



 夏が近くなり雨がいっきに増える季節。


 雷嫌いの彼は登校の時に毎日のように言っていた言葉がある。


「雷っておへそ出さなければ、僕に落ちてくることはないでしょ?」


 これは、私が教えたこと、まぁ正確には、「おへそ取られちゃうからおへそ隠そう」だが。


 私は、「だから大丈夫だって」といって毎回のように励ますのだ。


 しかし、この日は特にしつこかった。三分に一回は言っていただろうか。それも、仕方なかった。今日は空が暗かったから。


 やがて、学校へ着いた。


 それぞれの学年それぞれの教室へとわかれる。


 そして一時間目。いつもと変わらない。二時間目。雨が振りだした。三時間目。雨は強くなった。そして、四時間目。空は灰色に染まっていた。


 昼休み。


 私は今日は外でブランコに乗って遊びたかった。だが、この雨のせいで外には出られない。心なしかブランコも悲しそうにしているように見えた。

 

 私はそのまま外に置いてあるブランコを見ていた。


 すると視界の端に地味な、いや、シンプルといっておこう。そう、シンプルな半袖を着た、男の子が傘もささずに一人ふらふらっとブランコの方へいったのである。その人物が誰なのかはすぐにわかった。


「光くん....」


 私は小声でいった。


 光はブランコに座ると独りゆっくり揺らした。


 他の生徒も気づいたらしく。教室ないは騒がしくなった。


 「何あの子」「変なの」「気持ち悪い。」「怖い」などなど、教室ないは言葉が飛び交っていた。


 光くんのバカ。


 私は自分の傘を持って校庭へ出た。


 傘をさし、迷わずブランコに乗っている光のところへ。


 光の前へ立ち、ブランコを止めた。


 「光くん。何やってるの?」


 光は何も言わなかった。


 「いくら、ブランコが好きだからって、風邪引くよ。」


 やはり光は無言だった。


「ほら、早く戻ろ!」


「みんなの笑い者になっちゃうよ」


 「別に、いいよ。」  


 やっと口を開いた。それは、穏やかだった。とても、小学二年生とは、思えないくらいに。


「これは、みんなを楽しませるためにやってることだから。」


 私は、その時初めて気づいた。光は私のことを見ていなかった。ずっと地面を見ていた。

 

 私は光の手を掴んだ。


「ほら、意味わからないこと言ってないで、行くよ。」


 この時。初めて【意味がわからない】という言葉を正しく使えたような気がした。


 私は保健室に向かった。光を着替えさせるために。



 これが、小学二年のエピソードである

はい。

読んでくださり。ありがとうございます。


次回も読んでください

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