《庶民の殿堂・初体験!》〜恋路見守り隊のカルチャーショック〜
◆庶民の殿堂・初体験!
〜恋路見守り隊のカルチャーショック〜
須磨子様が自室で余韻に浸っていた、その頃。
街の片隅にある――きらびやかさ皆無の看板。
「……ここ、ですの?」 「……“ふぁみりーれすとらん”?」 「……庶民の……館……?」
4人娘(杖香・綾乃・瑞帆・加奈子)は、人生初の建物を前に震えていた。
「いいから入れっての。腹減ったんでしょ!」 美佳は慣れた足取りで自動ドアを突破する。
店内。 背景BGMは軽めのポップス。 空気は油の匂い。 家族連れと学生の笑い声が漂う。
――4人娘、即フリーズ。
「……席が……勝手に……回っておりませんわ……?」 「……メニューが……紙……!? 本ではなく……紙……!?」 「こ、この香り……! なんという……生活感……!」 「庶民は……毎日ここで……食事を……?」
「落ち着けえええ!!!」 美佳が全員の背中を押して、テーブル席に並べた。
◆◆どりんくばーの衝撃◆◆
「ではまずドリンクバー行こ。あそこ」 美佳が指差す。
4人娘、同時に青ざめる。
「ば、ばー……!?」 「お酒は……嗜みませんわよ!?」 「昼間から泥酔など……!」 「美佳様、まさか……わたくしたちを……!」
「違うわ!! あれは飲み物取り放題のとこ!! 未成年はジュース! シンプルぅ!!」
「と、とり……ほうだい……? 何杯いただいても……同じお値段……?」
瑞帆が震える。 庶民文化の合理性に。
「行くよ、ほら」 美佳が紙コップを渡すと、
「紙……!? しょ、食器が紙!? わたくしの家の銀製品は……!?」 「落ち着け綾乃」
コップを持った杖香が、なぜか両手で祈るように掲げる。 「……庶民の……知恵の結晶……!」
「だから何を崇めてんのよ!!」
◆◆サラダバー事件◆◆
「ついでにサラダも取っとく?」 「さ、さらだばー……!」
瑞帆が皿を取り、 フレンチのコースの如く “縦に” 美しく盛る。
「いやそれ高さ出すところじゃないって!!」 「……お美しゅうございますわ、瑞帆様……」 「やかましいわ!!」
◆◆メイン料理、衝撃の到来◆◆
ハンバーグ定食、到着。
ジュワァァァ……
「……っ!!」 「こ、これは……! お肉の……香り……!」 「食器が……陶器……!? 紙と陶器……使い分け……!?」 「庶民文化……奥深すぎますわ……!」
「普通に食べていいからね??」 美佳が言うと、
4人娘は全員 ナイフとフォーク を構える。
「……ど、どうしてフレンチスタイル!?」 「お肉とはかくあるべし、と教わりましたので」 「……庶民は、ナイフを使わぬ文化……?」
「いや箸あるよ!? そこ置いてあるやん!?」 「まぁぁ!? 桜の木の香りのような……!」 「いや普通の割り箸!!!」
美佳のツッコミが追いつかない。
◆◆ファミレスの真髄を知る◆◆
やがて落ち着き、全員がもぐもぐ食べ始める。
「……美味しゅうございますわ……」 「味が濃い……最高……」 「わたくし、庶民のお食事……侮っておりました……」 「美佳様……目が開きましたわ……!」
「だから崇めるなっつーの!!!」
美佳は頭を抱えながらも、どこか嬉しそうだった。
◆◆そして“本番”の話題へ◆◆
食後、4人娘が姿勢を正す。
「……では、美佳様」 「本日の……須磨子様の恋路のご様子……」 「ぜひとも詳しく……!」 「わたくしたち、全力で鑑賞いたしますわ!!」
「……鑑賞って言い方よ!!! でも……語るけどさぁ……!」
こうして、
“恋路見守り隊・本日の鑑賞感想会” が幕を開けたのである。




