表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/80

須磨子様の恋路を見守り隊結成!

 ──その“不穏な視線”に気付いた者は、他にも五人いた。


 美佳。

 そして、ある事情で招集された四人のお嬢方。


 彼女たちはこの日、密かにこう呼ばれていた。


「須磨子様の恋路を見守り隊」


 ……隊名は美佳が飲み物を吹いた拍子に適当に言ったものが、

 なぜか全員に受け入れられてしまった。


 だが、結成にはきちんと理由がある。


 ──時は、少し遡って。



 場所は、数日前の西園寺家応接室。

 須磨子は不在。母・西園寺夫人が静かに紅茶を口にしていた。


 そこに、お嬢方四人が緊張した面持ちで座っている。

 美佳はなぜか巻き込まれ、末席で体育座りしていた。


「……で? なんで私まで呼ばれたの」


「美佳さんは、須磨子様の日常観察者ですわよね?」


「……どんな肩書き?」


 夫人が穏やかに笑った。


「美佳さん。あなた、須磨子の“異変”に誰より早く気付くでしょう?

 だから心強いのよ。頼りにしているわ」


「……あ、ありがとうございます?(なんか複雑)」


 お嬢方が口を揃えた。


「実は……最近、妙な噂を耳にしまして。

 須磨子を“じゃじゃ馬”呼ばわりしていた殿方のひとりが──」


 一拍置いて、


「……逆恨みめいた態度を見せている、と」


 夫人の表情が、ふっと陰を落とした。


「えぇ。わたくしの耳にも入っております。

 桐生様と過ごす須磨子を“監視している”ようだと」


「「「「「……キモいですわ」」」」」


 五人の意見が奇跡的に一致した。


 美佳が思わず手を挙げる。


「じゃあ何? 私たち……ストーカー対策班?」


「言い方ァッ!!」と全員にツッコまれた。


 夫人は優雅に微笑んだ。


「皆さまには、須磨子と桐生様をそっと見守っていただきたいの。

 不審な人物が近づいたら、即座にわたくしへ連絡を」


「お任せくださいませ!」

「恋路を守るためなら、わたくしたち一蓮托生!」

「愛ですわ、愛の協力ですわ!」


 なぜかテンションが上がる四人。


 美佳は頭を抱えた。


(……なんでだよ。なんで私まで“恋路見守り隊”なんだよ……)


 だが。


 このとき既に、美佳は気付いていた。


 ──須磨子のことを本当に大切に想っているからこそ、

 このお嬢方たちも本気で動いているのだ、と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ