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西園寺須磨子は未だ恋を知らない  作者: 天音紫子(著)×霧原影哉(構成・監修)
第11章 恋路は静かに、LIMEは騒がしく
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美佳を挟んだままの「遊園地デート約束」

 LIMEの通知が、また鳴った。


 美佳はベッドに倒れ込んだまま、顔だけスマホに向けて呻いた。


「……またすまっちとチーフから……同時に……?」


 画面には、ほぼ同時刻に届いた2件のメッセージ。



【桐生 → 美佳】

〈須磨子様との次のお出かけについて、ご相談があります。

 場所は……やはり、落ち着いた所がよろしいでしょうか〉


【須磨子 → 美佳様】

〈あの……美佳様。

 桐生様と……その……

 “遊園地”という場所へ行ってみたくて……〉



「……相談内容が真逆!!」


 美佳は顔を覆った。


(どっちかが先に言い出してよ〜〜!!

 なんで私が中央管理サーバーみたいになってんの!!)


 深呼吸し、まず須磨子に返信する。



【美佳 → 須磨子】

〈遊園地、いいじゃん! 絶対楽しいよ!

 ……で、その件なんだけど……〉



 続けて桐生にも返信。



【美佳 → 桐生】

〈落ち着いた場所……もいいけど……

 須磨子様、遊園地に行きたいって言ってたよ〉



 送信して十秒。


 2人から怒涛の返信が返ってきた。



【須磨子 → 美佳様】

〈そ、そそそんな……!

 無理を申し上げている訳ではなくて……!

 ただ、少し……夢見てしまっただけでして……!〉


【桐生 → 美佳】

〈遊園地……ですか?

 わたしに務まるでしょうか……。

 ですが……須磨子様がお望みなら……〉



「はい、決まりましたね〜〜!!」


 美佳は、半ば投げやりに宣言文を打った。



【美佳 → グループLIME(美佳・須磨子・桐生)】

〈はい注目〜!!

 今度3人じゃなくて“2人で”遊園地デートします!

 すまっちの希望です!

 チーフ、異議は認めません!〉



 一拍置いて、反応が来る。



【須磨子】

〈み、美佳様ぁぁぁ!!

 そ、その……“デート”だなんて……!〉


【桐生】

〈……デート……

 わたしに、その……務まるでしょうか……〉



(ああもう!! このバカップル……!

 なんで私がデート交渉の窓口やってんの!?)


 額を押さえる美佳。


 しかし、2人の次のメッセージを見た瞬間――



【須磨子】

〈……ですが、桐生様となら……その……

 わたくし、行ってみたいですわ〉


【桐生】

〈……須磨子様のご希望であれば、

 わたしはどこへでもお供いたします〉



 美佳はスマホを見つめて、ぽつりと笑った。


「……はいはい。

 もう、2人で勝手に幸せになってください」


 その言葉には呆れより、むしろ優しい諦めの色があった。



 こうして――

 まだ2人だけで会話もできないまま、

 遊園地デートだけが先に決まってしまう。


 美佳の胃痛と通知地獄を残しつつ、

 この章はゆっくりと幕を閉じていく。

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