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西園寺須磨子は未だ恋を知らない  作者: 天音紫子(著)×霧原影哉(構成・監修)
第11章 恋路は静かに、LIMEは騒がしく
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須磨子、個別LIMEで迷子になる(そして美佳が巻き添え)

 カフェで令嬢4人からの猛攻を受けた夜。

 美佳は家に帰って布団に沈み、スマホの通知を切りながら天井を見つめていた。


「……今日は……ほんとに疲れた……

 LIMEだけで寿命三年縮んだ……」


 そう呟いた、その瞬間。


 LIME通知(1)


「……え、1件?めずらしい……」


 開いたら――


 送信者:須磨子


『美佳様 こちら おひとつだけの おへんじの ところで

 よろしいのでしょうか?』


「文章、途中で息切れしてる!?

 すまっちぃぃぃ、個別LIME初挑戦で迷子になってるぅぅ!!」


 美佳は頭を抱える。


 だが、ここで返信しないと後が大惨事になるのは経験で分かっていた。


『すまっち、それ個別の画面だよ。合ってるよ!」


 すぐ返ってきた。


『まあ……!

 では これが わたくしと 美佳様だけの

 “ひそひそ会話”で ございましょうか……?』


 ひそひそ会話 の破壊力。


「この人……ほんと方向性が令嬢なんだよなあ……

 かわいいけど……扱いがむずい……!」


 すると次のメッセージが届く。


『美佳様……

 こちらで桐生様とも お話できるのでございましょうか?』


「えっ、すまっち、それは……

 個別は“ひとり”ずつだから……!」


 急いで返信する。


『すまっち!ここは“美佳とすまっち”だけの部屋!

 桐生とは別の部屋になるから!』


『まあ……!

 では わたくし……

 桐生様と “二人きりのお部屋”を

 作らねばならないのですわね……?』


「言い方ぁぁぁぁぁ!!!

 “二人きりのお部屋”て!!

 それチーフのHPゼロになるから!!」


 しかし、遅かった。


 LIME通知(新規トークが開始されました)


 送信者:須磨子

 参加者:桐生


『桐生様

 こちら……わたくし達の

 “おふたり部屋”でございましょうか……?』


「ぎゃあああああ!!

 言っちゃったーーー!!!」


 美佳は、もう止めに入る気力が残っていなかった。



■その頃、桐生サイド


 桐生は自宅の机に座り、

 LIMEの通知音を聞いた瞬間、ビクッと肩を跳ね上げた。


「……またスタンプの嵐か……?」


 恐る恐る画面を開く。


 そこには、須磨子からの新規トーク。


『おふたり部屋』


 タイトルがもう駄目だった。


「……っ……!!?」


 桐生の耳まで真っ赤になる。


『桐生様

 あの……こちらで よろしかったでしょうか……?

 “おふたり部屋”と 伺いましたので……』


「誰に!?美佳か!?いや違う……これは……天然……?」


 桐生は震える手で返す。


『須磨子様……ここは“個別トーク”というものでして……

 決して……部屋というほど特別な意味では……』


 すると、すぐ返信が来た。


『まあ……!

 ですが “おひとりとだけ話せる”のでしょう?

 それは もう 特別なお部屋では……?』


 桐生は椅子にもたれかかり、顔を覆った。


「……言われたら……否定できない……

 あああ……心臓がもたん……!」



■再び美佳サイド


 美佳のLIMEにも桐生からメッセージが来る。


『美佳……助けてくれ

 これは……どう受け止めればいい……?

 俺は今……生きていていいのか……?』


「チーフ、落ち着け!

 ただの誤解と操作ミスだよ!

 すまっち天然なんだよ!!」


 だが、追撃が届く。


送信者:須磨子


『美佳様

 先ほど桐生様に

 “おふたり部屋”のご挨拶をいたしましたわ

 とても……どきどきいたしました……』


「ぎゃあああああ!!!

 言ったーーー!!堂々と報告してきたーーー!!」


 美佳はベッドの上で転げ回った。


 これで終わりかと思いきや、続いた。


『美佳様……

 わたくし……

 桐生様と この“おふたり部屋”で

 どのように……お話すれば……

 よろしいのでしょう……?』


「私に聞くなぁぁぁぁぁ!!

 恋愛相談、地獄の延長戦じゃんこれ!!」


 しかし美佳は友として返す。


『すまっち、普通に話せばいいよ!

 難しいこと考えなくていいの!

 “こんばんは”とか“今日はありがとうございました”とかで大丈夫!』


 すると。


『まあ……

 では さっそく 桐生様に

 “こんばんは おふたり部屋のかぜがここちよいですわ”

 と……』


「やめろやめろやめろやめろ!!

 詩的すぎるし表現が貴族!!

 チーフのHPがマイナスになる!!」


 美佳は急いでストップをかける。


『すまっち!

 それは……チーフが死ぬ!!

 もっと普通にお願い!!』


『……では

 “こんばんは 桐生様”

 に いたしますわ』


「よし!!ギリ一般語!!!」


 そして、桐生の元へ。



■桐生、死亡


桐生の画面:


『こんばんは 桐生様』


「っ……!!」


 桐生は机に突っ伏した。


「……これは……

 ダメだ……

 俺の理性の寿命……あと2日……」



■美佳、悟る


 美佳は枕に顔を押しつけながらつぶやいた。


「……これ……

 すまっちとチーフが個別LIME使いこなすまで……

 私が中継地点やるんだよね……?」


 通知がまた鳴る。


送信者:須磨子


『美佳様

 もしまた分からなくなりましたら……

 どうかわたくしに ご教示くださいませ……

 必ず……まいりますので……』


「可愛いけど重いのよぉぉぉ!!

 いや可愛いけどぉぉぉ!!」


 今日も美佳のHPはゼロになった。

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