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西園寺須磨子は未だ恋を知らない  作者: 天音紫子(著)×霧原影哉(構成・監修)
第8章 西園寺夫人、華麗に社交界を鎮める午後
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西園寺夫人の密かなエール

 殿方たちが青ざめた顔で静まり返ったあと、

 西園寺夫人はふう、と息をひとつだけ吐き、扇子を優雅に閉じた。


「……まったく。品位とは、己の振る舞いにこそ宿るものですわね」


 どこか冷たく、しかし誇り高い声音でそう言い残し、

 夫人は回れ右をして午後の光へと歩き出す。


 けれど、足音が遠のくにつれ――その横顔は、ふっと柔らかくほころんだ。


(須磨子さん……あなたはわたくしの誇りですわ)


(どうか迷わずに。

 あなたが選んだ“想い”を、胸を張って進みなさいませ)


 風に日傘の縁が揺れ、衣擦れが静かに響く。


 娘には聞こえない、小さな、小さな声。


「……応援しておりますわよ。――おほほ、母は味方ですもの」


 そう告げて、夫人は誰もいない回廊を華麗に歩き去った。


 ごきげんよう、と、春風のように。

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