表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/80

静かな午後、お誘い

 胸の高鳴りがようやく落ち着きはじめたころ、

 チーフは須磨子の歩調に合わせて、少しだけ速度を緩めてくれた。


「……須磨子様」


「は、はいっ」


 思わず背筋が伸びてしまう。

 須磨子の返事に、チーフはわずかに目を細めた。


「先ほどは驚かれたでしょう。

 もしよろしければ……この近くに、静かなお店がございます。

 少しお休みになりませんか」


「お……お休み……?」


「ええ。歩きづめでいらっしゃいますし。

 ご無理をなさらぬようにと」


 “ご無理をなさらぬように”。


 その言葉は、

 やさしく包むようでいて――心の奥をそっと撫でられたような感覚だった。


「……では、少しだけ。

 お邪魔にならないのでしたら」


「もちろんです。

 ……むしろ、わたくしのほうが、お側にご一緒できて光栄です」


 え。


 い、今……なんと……?


 顔を上げると、

 チーフはほんのわずか――本当にわずかに、表情を和らげていた。


(……どうして、こんなにも心がざわめくのでしょう)


 理由はまだ、わからない。

 けれど、

 並んで歩く距離が、さっきよりも少しだけ近いように感じてしまうのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ