表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。  作者: イコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/50

戦闘風景

 レンナの鋭い視線を正面から受け止めた。


 赤龍王の娘とは、口上として素晴らしいと思うが、本当に彼女が赤龍王の娘ならば、奴隷などなっていないだろ。


 竜人族の姫君が奴隷など、流石に戦争になる案件だ。


 ただ、竜人族は、この世界で最強種の一角であることは間違いない。


 彼女のプライドはそれに見合うだけの高さを誇っているということだろう。


 だからこそ、彼女の言葉が軽い虚勢ではないことも理解できます。


「レンナ、君が言いたいことはわかるよ。でも、強さを証明する方法がただ力比べだけだとは限らないんじゃないかな?」


 僕が冷静に言葉を返すと、彼女の眉がピクリと動いた。


「言い訳か? 貴様のその自信なさそうな顔が何よりの証拠だろう。戦う気がないなら、その口を閉じろ! 弱者に従う気はない!」


 部屋の空気が熱を帯びた。まるで目の前で火を吹きかけられる直前のようだ。周囲の奴隷たちも息を呑み、状況を見守っている。


「ハァ、先に言っておくよ。僕は平和主義者であり、誰かを傷つけるときには、それ相応の理由が必要だと思っているんだ」

「ふん、適当なことを言うな。貴様のような弱い者はすぐに口に頼ろうとする」

「聞く耳を持ってくれないか、いいだろう。君が望むなら、力を見せるよ。でも、一つ約束してほしい。もし僕が君を倒したら、これからはみんなと協力して、この新しい生活に馴染む努力をしてくれるかい?」


 彼女は鼻を鳴らして、腕を組み直した。周りの奴隷たちも僕が戦いを受けるとは思っていないようだ。


 実際に僕は平凡だから強いわけじゃない。


 だけど、まだ幼い竜人族なら相手にできるだろうとは思う。彼女が本物の竜人族の戦士なら絶対に勝つことはできないけどね。


「望むところだ。私が勝ったら、貴様にはこの場で跪いて、私に仕えると誓ってもらう!」


 僕は小さく笑みを浮かべ、軽く頷いた。


 奴隷に仕えるか、それも悪くないかもしね。


 僕は彼女の実力がわからないので、学院が用意している魔法を放っても破壊されない結界の張られた訓練場を借りて対決することにした。


 見学者は奴隷たちと、エリザベート、アイリーン。審判はボートレース場のお爺さんに頼むことにした。


「ふん、何事かと来てみれば、ワシに審判をさせるとはな」

「お爺さんが押し付けた奴隷だからね。もしも、僕が負ければ彼女の奴隷になると誓ったんだ」

「くくく、小僧。貴様はどこまでもギャンブラーじゃな。竜人族と戦って勝つと?」

「まぁ、相手は幼い子供だからね」

「はっ? くくくあははははははは。あれを子供というか、よかろう。見届けてやる」


 何やらお爺さんは楽しそうに笑っているから喜んでくれて良かったよ。


 レンナは訓練場に仁王立ちしている。


 その身体からあふれる魔力がはっきりと周囲に伝わる。赤龍王の娘と名乗るのにふさわしい圧力はあるかな。


「いくぞ!」


 僕が彼女の前に立つと、彼女は雄叫びを上げると共に突進してきました。


 地を踏み砕く力強い一撃が僕に向かって迫る。だが、その動きは単純なので、僕はギリギリのタイミングで横にステップを踏み、彼女の拳をかわす。


 そしてすかさず反撃を放ちました。


「へぇー」

「ふん、ドラゴンの鱗を舐めるなよ!」


 竜人族が最強と言われる所以は様々あるが、一番の理由としてどの種族よりも強固なそのボディーにある。


 ドラゴンの鱗を纏った尻尾や四肢は、攻防一体であり普通の攻撃ではダメージを受けない。


「なるほど、どの程度試せるか、これはいい実験になるな」

「何をゴチャゴチャ言っている!」


 僕は魔力を練り上げていく。最初は小さな衝撃波を彼女に向けて放つ。


 レンナはそれを腕で防いだが、衝撃で数歩後退した。


「何だ、その程度か!」


 小さな衝撃波では、彼女を下がらせただけ、彼女の挑発に僕は笑みをこぼしてしまう。


「まだ始まったばかりだよ」


 次の瞬間、僕は彼女の背後に回り込んで、彼女が驚いて振り向いた瞬間、無属性魔法で彼女の動きを止める。


「影縫い!」

「なっ?! 卑怯な!」


 彼女はすぐに魔力を爆発させて、次の動きに入ろうとする。だけど、一瞬だけでも動きが鈍ったその瞬間を僕が見逃すはずがない。


 先ほどよりも大きな衝撃波で彼女を吹き飛ばす。


「ガハッ!?」


 壁に激突したレンナに無属性で強化した拳を、装甲の厚い腕や足を狙って攻撃を仕掛ける。


「ッッッ!!!」


 どうやら鱗であっても力を入れて防御しなければ痛みは感じるようだ。


「これで終わりだね」


 どの程度まで鱗の上から攻撃するのか、良い実験になった。


 だから、動けない彼女を地面に組み伏せる。彼女は苦々しい表情を浮かべながらも、その目には若干の恐怖を感じているようだった。


「くっ……確かに貴様は強い。だが、これで終わりだと思うなよ!」


 苦し紛れであることは間違いない。だけど、何をしたいのか見てみたくて、彼女を離して起き上がらせる。


 レンナは距離をとって、力を溜め始めました。


 どんな攻撃が来るのかワクワクしながら、待つことにした。


「死にやがれ! ドラゴンオーラ!」


 竜人独自の魔力と生命力を合わせて放つことができる一撃。


「それが君の切り札かい?」

「何っ?!」


 無属性のバリアを張った僕にレンナの攻撃が当たることはない。


 世界が止まったように静まり返った訓練所の中で、僕はゆっくりと歩み寄って、彼女に握手を求めた。


「君が僕の力を認めてくれたならこの手をとってほしい。これからは共に協力しよう、レンナ」


 彼女は戸惑いと呆然とした顔をして頷いた。どうやら納得してくれたようだ。


 観戦していた奴隷たちも驚きと歓声を上げて、拍手を送ってくれる。


「カカカ、竜人族のドラゴンオーラを防ぐ人種など、魔族や精霊族でも聞いたことがないぞ。本当に面白いやつじゃ。お主は、真のギャンブラーよ。今日は面白いものを見せてもらった。だから、今度はワシが面白いものを見せてやるぞ」

「え〜それはいいや」

「年寄りの楽しみを取るでない! 付き合え! 付き合え」

「なんで駄々っ子になるのさ。もう、仕方ないね」


 これからは奴隷たちに認められたことで、賑やかな生活になるでしょうね。僕の「モブライフ」が、気づけば周囲に仲間たちが増えて楽しいと思えています。


「まぁ、これも悪くないか」


 僕は仲間たちの笑顔を見ながら、そんな風に思うのでした。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ