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お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。  作者: イコ


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20/29

久しぶりの学園は大変そう

 三角メガネをしまうエリザベートが「コホン」と咳払いをする。


 気の強いエリザベートだから、三角メガネも似合うね。


「随分と詳しく調べたんだね」

「もちろんです。フライ様の敵になるかもしれませんから」

「敵って、大袈裟だな。僕は、誰とも争う気はないよ」

「はい。もちろんです!」


 うん、とてもいい返事だけど、絶対にわかってないよね。


 まぁいいか、僕が実際に動かなければ意味はないですから。


 学園都市で繰り広げられるストーリーを邪魔するつもりはありません。


 この世界にはこの世界のルールや流れがあり、小説のストーリーを追体験したいとも思っていないので、そこは記憶を探りながら生き残る道を模索するしかないね。


 成長の聖痕を持つジュリアを仲間にできたことは、僕にとっては将来を生き残るアドバンテージになります。だから、大事に育てていこうと思っています。


 本来のジュリアは、アイス王子の陣営の一部である平民の英雄に救われて、彼に心を開いてもらうことになる。


 そして、その彼も入学式の時に入学しているのは確認済みだ。


 残念ながら、彼の特徴だけしか知らないので、似ている人物ということになるが、彼の横には幼馴染の彼女が付き従っている。


「一人、会いたい女の子がいるんだけど」


 僕の発言に三人の顔が強張りました。


「フライ様」

「はい?!」


 冷たくて低い声がエリザベートから発せられる。


「また、女の子ですか?」

「あ〜いや、これはね。大切なことなんだよ。別に口説くとかではなくてね。平民の特待生として入学している子なんだけどね。多分、入学当時は色々と苦労していると思うんだよ。だから、僕自身が助けなくてもいいから、陰ながら! そう、陰ながら助けるだけでいいから!」


 三人が不穏な雰囲気を出しているから、会わない方向で提案をしてみる。


「なるほど、その女性をどうして助けたいのですか?」

「う〜ん、気分?」

「気分ですか……わかりました。名前を教えていただけますか?」

「えっ?」

「わたくしが支援の手を回しておきます」

 

 ズイッと近づいてくるエリザベートに私は両手をあげて降参のポーズと取ります。


「わかったよ。なら、アイリーン」

「えっ? 私ですか?」

「うん。今回の支援はアイリーンにお願いしたい」

「なっ?! どうしてわたくしではいけませんの!?」


 う〜ん、これには事情があるんだけど、説明が面倒だからいいよね。


「エリザベートは、僕に女の子に近づいて欲しくないんだよね?」

「うっ?! ベッ、別にそういうわけでは」

「うんうん。まぁ、僕も空気が読める者として、なんとなくそれは理解したよ。だからね。アイリーンにお願いしたいんだ。それならエリザベートは僕が女の子に近づかなくて納得。僕も納得。どうかな?」

「わかりましたわ。フライ様には何かお考えがあるということですね」


 まぁ、エリザベートとその子の相性が悪いってだけなんだけどね。僕はアイリーンに、女の子の名前を告げて、支援をお願いすることにした。


 それが未来に繋がる布石になればいいんだけどね。


「さぁ、そろそろ授業に行かないとね」

「そうですわ! フライ様はなんの授業を受けられますか?」

「うん、そうだね。まずは、ブライド様と同じ授業を受けようかな?」

「えっ?」


 僕はニッコリとエリザベートに笑いかけた。


 意外な人物をチョイスしたことに驚いているようだ。


「どうして、ブライド様と同じ授業を?」

「それはね。久しぶりに学校に来て、帝国の直属であるブライト様にご挨拶をしておこうかなって。入学式以来お会いしていないから、どんな人物か、もう少し見極めようと思うんだ」

「わかりました。手配いたしますが、午後からはどうされますか?」

「うん。次はアイス王子と同じ授業を受けようと思う」

「えええ!!!」


 エリザベートにしては、いいリアクションをしてくれる。


 僕とアイス王子は面識がほとんどない。ブライド皇子と揉めている際に見かけた以来ですね。


「どうしてアイス王子と同じ授業を?」


 先ほどと同じような質問してくるエリザベートに僕は同じ答えを返します。


「アイス王子と交流をもつためだよ」

「しかし、ブライド皇子とアイス王子は犬猿の仲です。どちらにもご挨拶するのは、お互いの顔に泥を塗るようなものなのでは?」

「そんなことないよ。どっちも僕よりも位が高いから挨拶するだけ。他にも獣人国の王子に公女様、魚人族の王女様にも挨拶に行くよ」


 五人の派閥のトップ全員に会いに行くというと、エリザベートだけでなく、アイリーンさんも呆然とした顔をしている。


 固まってしまった二人の横で、ジュリアのモフモフな毛並みを撫でながら二人の回復を待ってみた。


「それは! 全員がフライ様に警戒を抱くのではないでしょうか?」

「そうかな? 僕は帝国の公爵の、お気楽息子だと、ここ数日学校をサボって、思われていると思うよ。不真面目な帝国貴族だってね」

「あっ……」


 やっぱり公爵家の次男はいいねぇ〜位は高いからそれぞれのキャラクターたちに会いたい放題。それにお気楽な貴族を装うことで、誰からも警戒されない。

 

 計画はバッチリだ。


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