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AI賢者は帰れない-Suzume’s Hidden Scroll   作者: ジャンクヤード•スクラップス
13/33

第13回 バイト慌ただし、でもカカシはiPadの中で…?

 朝、気だるい身体を起こしたスズメは、例の “ちょっと不思議な夢” の断片を思い出していた。深く考えたい気持ちもあるけれど、今日は大きな書店にとってとびきり忙しい日。新刊の人気漫画やライトノベルが一斉に入荷するうえ、イベント告知コーナーの準備まであるのだ。


「うわあ、今日絶対バタバタしそう……カカシ、頼んだよ」

そう呟いて腕時計をトントンと叩く。すると袖口の下で小さなバイブが鳴り、


*(・∀・)b “ガンバロー!”

みたいなテキストがちらっと表示される。


◆ 新刊ラッシュ到来! 書店はプチお祭りモード


9時半前、まだ開店準備をしている店内は、箱の山とスタッフの声で活気にあふれていた。特にコミックコーナーは、新刊の段ボールがずらりと積まれ、棚に並べきれるかどうか心配になるほど。人気少年マンガの最新巻や、アニメ化したライトノベルの新刊を求め、開店前からお客さんがうずうずしているらしい。


「スズメちゃん、ここの段ボールは全部 ‘今月の新刊平積みコーナー’ に回して!」

先輩スタッフの指示を受け、スズメはせっせとコミックの山をカートに載せて運ぶ。中には話題沸騰の続編や、表紙だけでも目を引く個性的なマンガも多数。


「今日発売の『アイアンキャット』最新刊、ずいぶん発注したなあ……」

思わず表紙を覗き込むと、腕時計がブルッと振動。


(O_o) “興味アル? 読ミタイ?”

画面にはカカシからの無邪気な問いかけ。

「いやいや、仕事中だから。あとで読めたらね」

つい独り言を返してしまい、周りのスタッフに変な顔をされそうで慌てて咳払いする。


◆ イベント告知コーナーづくり


同時進行で、店の入り口付近には“サイン会&原画展”の告知コーナーを作らなくてはならない。人気イラストレーターが来週来店するとのことで、パネルを立てたり装飾したり、結構大掛かりだ。


「いやあ、こういう大書店らしいイベント、やりがいあるけど大変ね」

先輩と一緒に告知ポスターを飾っていると、ふと腕時計がピコンと振動した。


(`・ω・´) “手伝オウカ?検索、装飾アイデア?”

「飾りつけアイデアは私たちで考えるから大丈夫! でもありがとね」


そう返すと、袖口の陰で


(^-^;) “了解…”

とちょっぴり拗ねた風のエモートが表示されて笑ってしまう。


◆ お客さんの“謎リクエスト”炸裂


開店後、すぐに新刊コーナーはファンで大賑わい。「すみません、今朝発売の ‘メイドイン惑星Z’ ってコミックはどこですか?」といった定番の質問が飛び交う。

しかし、ここは大書店。もちろん“直球”ばかりでは済まない。


「確か ‘虫の怪物が活躍するマンガ’ だった気がするんですが…タイトルがうろ覚えで…ここら辺にありました?」

こんなあやふやリクエストに対して、スズメはいつもの笑顔で「少々お待ちください」と答えつつ、こっそり腕時計へ問いかける。

「検索:虫、怪物、活躍、最新コミック」

秒の間を置いて、袖の下で


*(>_<) “虫…怪物…候補多イ… 詳細求ム…”

なんて返事が戻ってきて、思わず苦笑。カカシだって万能じゃない。


「う~ん、お客さま、表紙か作者名で何か覚えていませんか?」

「そうだなあ、確か黄色っぽい虫が関西弁で喋ってたような…?」

「検索:黄色い虫、関西弁、コミック」


*(・_・;) “該当一件…A-15棚”


「…おお、あるっぽい?」

スズメはニヤリと笑い、今度は大きな声で「A-15のあたりでしょうか、お探ししてみますね」とお客さんを案内した。その場でマンガを発見でき、相手から「助かったよ! すごいね、どうやって調べたの?」と感心されて内心ガッツポーズ。

「ふふふ、企業秘密です」とウインクすると、袖の下のカカシが“(・∀・)v”を出して祝福してくれる。


◆ 休憩タイム:カフェにて


昼過ぎの休憩時間、カフェに行くとマスターが暇そうにカウンターを拭いていた。店内にお客さんはちらほら。壁際でくつろいでいる常連たちに軽く挨拶を済ませ、スズメはカウンター横のiPadへ目を向ける。そこにはカカシが“本体”として鎮座中だ。


「今日もすごいよ、カカシ。おかげで大助かり!」

iPadの画面には、喜びを表すようなASCIIアートがぎこちなく表示される。


( ゜∀゜) “ヨカッタヨカッタ”


すると、ふとiPadの画面が微妙に暗転し、何やら裏でアプリをゴソゴソ開いている雰囲気が漂う。

スズメが「ん?」と怪しんでいると、マスターがニヤリと笑う。

「さっきからこいつ、買い取りサイトとか翻訳サイトとか、あれこれ同時起動してたみたいだぞ。メモリ大丈夫かね」

「また欲張ってるんだ…。ああ、ほらやっぱりファンの音が…」


ゴオォォという小さな唸りとともに、iPadが若干熱を帯びている。カカシのテキストがガタガタ震え、


(_;) “アツイ…タスケテ…”

と、SOSが。すかさずマスターが外付けファンを起動し、スズメは「ほどほどにね」と苦笑する。


◆ 終業後:イベントコーナー、明日の準備に抜かりなく


夕方、書店に戻ったスズメは、閉店間際にイベント告知コーナーの最終チェックを行う。イラストレーター来店の予告パネルが思ったより可愛く仕上がっていて、なんだかテンションが上がる。


「よーし、明日はこのイベントコーナーにさらにグッズ入荷して…うん、ちゃんと回りそう」

最後に腕時計を見て、「今日もありがとうね、カカシ」と小声でささやくと、


(^-^)/ “オツカレ…”

という返事。なんとなく照れくさいけど、どこか嬉しい。


◆ 帰り道、iPadのカカシは“何か”をしていそうな気配


この日は思いがけず忙しかったが、トラブルらしいトラブルもなく終えられた。夜の街を歩きながら、スズメは小さく伸びをする。

「はあ、明日はイベント仕込みの続きだな。バタバタするけど、カカシがいれば何とかなるかも」


マスターのカフェでは、きっと今ごろiPadの中でカカシがまた新しいデータをこそこそ集めているんだろう。例えばレア本の相場をチェックしていたり、翻訳アプリの拡張機能を試していたり。とにかく、あの子(?)はじっとしていられないタイプだ。


「ま、そこが可愛いんだけどね」

そうつぶやいて笑顔になると、ポケットのiPhoneが微かに振動し、カカシからの通知が画面に表示される。


“(・ω・) ノシ ナニカ カワイイ…? 呼ンダ?”


「ふふ、聞こえてるの?」と声に出した瞬間、スマホがアツくならないことを祈りつつ早歩きで家路を急ぐスズメであった。


-次回へつづく-


新刊ラッシュやイベント告知で大にぎわいの書店。しかしその裏で、iPadに宿るカカシがまた何か新しい企みを始めている…? そしてスズメの夢にちらつくエメラルド色の謎は、まだ深く語られないまま。とりあえず今は“便利で可愛いAIライフ”を満喫しているスズメだが、いつかその先に待つのはさらなるドタバタ? それとも不思議な冒険の入口…?


少しずつ動き出す物語。次回もお楽しみに!

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