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明晰夢…?


俺は夢の中で目を覚ました。


時間にして、そんなにかからずに目は覚めたはずだ。

数分のうたた寝。









「……今、確かに起きた感覚があった。」




そう。普段ならありえないことだ。

夢 の 中 で 寝 て 起 き る なんてことは。

だが、現実で起きてしまった。間違えるはずがない。

思わず頬をつねる。やはり痛い。

俺は急いで立ち上がった。


「どうなってるんだ……嘘だろ?」



自分の足でしっかりと地面を捉える感覚がはっきりと伝わる。

恐る恐る右足で踏み出しても、その場でジャンプしても、その後には地面にしっかりと着地した感覚が伝わってきた。



普段そう頻繁に夢を見ることのない人にはピンと来ないだろうが、例え明晰夢だとしてもある一定の違和感というものは常に存在する。

それが手足の感覚だ。

夢というのはあくまでも脳の処理をする間のものなので、例え夢の中で走ろうが物を掴もうがそう言ったことに感覚は伴わない。

走ろうとしたのに上手く走れないだとか、ジャンプしたつもりなのにできてないとかそういったことが夢では多々ある。

所詮夢は夢なので脳の神経から手足に直接信号が出る訳では無いからだ。



多少動かす程度ならできるだろうが普段やるように交互に出すなんかの動きは高度な信号が出てて、意識せずともできるようになっている。

夢の中ではいちいちそれを思い浮かべたり、実行させようとしたりする必要があるし、そもそもできないことが大半だ。

だからそれを夢の中でやろうとしてもできないって訳だ。


普段から夢を沢山見ていて良かったと思う。

だがそれがここまでの絶望を与えてくるとは思いもよらなかった。


「なんで感覚があるんだよ……

ありえないだろ……!!」



そう。確かに俺は夢の中のはずなんだが、しっかりと自分の足で立っていた。

自身の体を触っても触った感覚と触られた感覚のどちらも存在している。



だがそんなことはありえない。

夢ではなくて現実だというのか?

あまりにリアルなので体が変に反応してるのか?



フラフラと玉座に座りこむ。

柔らかい感覚と金属部分の少しヒヤリとした感覚は変わらずだった。




「……冷たい……?」


まさに背筋を冷たいものが伝う瞬間だった。

夢の中で“温度“まで感じ取れている。



「どういうことだ?どうなってるんだ?

現実で起きてるってでも言うのかよ……」


思わず頭を抱える。

元々が夢だったのだから夢の可能性だってまだあるのだ。リアルな感覚の明晰夢だと思い込むしかない。

だが手から伝わる冷たさが、先程の出来事が、全て現実だと思い知らせるようで、震えが止まらなかった。





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