―フカヒレの仕入れ単価の問題が勃発― (乗り切れるのだろうか)
人生ついてない時ってありますよね。何から何まで……。
何が起こるのか、この先予想だにしないことが。。
第六十八話
―フカヒレの仕入れ単価の問題が勃発―
(乗り切れるのだろうか)
十月に入った。みんなの身体が少しは慣れてきただろうか、などと見極める余裕さえなくなっていた。人手の手詰まり感が善幸のストレスを募らせていた。
今日は火曜日。店が休みの日だった。オープンしてからの九月分、といっても半月の営業だったけれど集計した結果を美乃里から報告を受けた。
「へえ、凄いじゃん! 思ってたより売り上げあったんだなあ、オッケーオッケー」
半月で、三百四十万円ほどの売上げだった。善幸は座った状態で、嬉しさのあまり身体を左右に動かし振り子のようにリズムを取りはじめた。売り上げ金額が疲れを癒してくれている。
「これが続けばねえ~、何の問題もないんだけど……」
「開店したばかりだし、チラシの効果もあるだろうしな。でも、想定外だったのは、酒代だな。こんなにでるとは思ってなかったよ。大きいよな。酒がすすむようなつまみを数品考えなきゃいけなくなったなあ……」
「あなた、一日平均で、お客さんが何人来てたか分かる?」
「そうだなあ、売上からすると、二百五十人は来てるんじゃないか?」
美乃里がクスッと笑って、
「あのね、二百八十八人よ。三百人まではいかなかったけど。昼間だけで、三回転超えてるのよ、凄いと思わない?」
「みんな、休んでいる時間なんて無かったもんな。由紀子さんも、あの身体でよく頑張ってくれた。休ませてあげなきゃって気にしてはいるんだけどさ……。最後まで言えなかったよ」
「もう一人パートさんを入れないと、このままじゃ誰かが倒れちゃう」
黙って二人の会話を聞いてたさよりが言った。
「あたし、塾のない日は手伝うよ。気晴らしにもなるし」
「手伝うとしても、おまえは日曜日の夜だけ手伝ってくれればいい。本当はやらせたくはないんだけどな。本格的に手伝いたいなら大学に受かってからだ」
「そうよ、さより、勉強に集中しないと」
「勉強なんて、店を手伝いながらでもできるって!」
さよりは、家に帰って来た二人の会話を聞いているうちに、気になってしまい勉強どころではなくなってしまうようだった。
「わかったよ、さより。どうしても手が足りなくなった時だけ頼むよ」
半月とは言え、来店客数が想定より四割増しだった。我々は忙しすぎて悩んでいる。本来、それは有難い悩み事。まだまだ気を抜くことはできないけれど、飲食店を営んでいく上で難しいとされている『客を繋ぎ留めておく術』は心得ていた。
「そうだ、お父さん、皆がね、時々食べに行きたいって言ってるんだけど、いい?」さよりが訊いてきた。
「そういやあ、色々手伝ってくれたのに、皆にお礼らしいことを何もしてあげられなかっよな。昼飯程度のものしか食べさせてあげられなかった。よし、今度メニューには載ってないもので、特別に何か考えてみよう。ご馳走してやろうじゃないか。さより、皆にそう伝えておいてくれよ」
「わかった。それとねえ、お父さん。土日って店が忙しいじゃない? それでさあ、優史がね……。その、忙しい時間帯に手伝いたいって言ってるんだけど、あたしと二人で……」
「それはダメよ。優史君のお母さんに怒られるわ。皆、大学が受かってからにしてちょうだい。どうしてもっていう時は、さよりだけ手伝ってくれればいいのよ」
「母さんの言う通り。人手が足りないから手伝ってほしいのは山々だけど、大切な時間を使わせるわけにはいかない。落ちたらどうするんだ!」
意気込んでいたさよりがしゅんとなった。
「分かったよ、そう伝えておく。けど、心配してくれてるの、優史……。お客さんが入り過ぎて困ってるって、あたしが言っちゃったもんだから」
「お客さんが来なくて頭抱えてるよりいいだろ?」
「そう言えばね、何度か和泉くんを見かけたのよ。多分、和泉くんだと思うんだけど……」美乃里が、何か思い出したように言った。
「あいつが、店の近くをうろついてたって?」素っ気なく、さよりが訊いてきた。
「交差点のところに居たの。ほら、道路を渡ったところにブロック塀があるじゃない、身体を隠すように覗いてたのは和泉くんだと思ったんだけど……」
「お母さん、声は掛けなかったの?」
「掛けようと思って、店の外に出たら居なくなっちゃったのよ」
「本当に和泉だった? 見間違えじゃない。だって態々店に来たんだったら入ればいいのに。混んでたからなのかな? まあ、明日訊いてみるよ。でも、和泉ってちょっと変な奴だからさ。あいつ、幼い頃からイジイジしてるところがあるじゃない、高校生になっても、優史みたいな男らしさが芽生えてこないんだよねえ~、そこが残念っ」
「イジイジって、おまえな、心配して和泉くんは来てくれたんだろうがよ、そんな言い方すんな! 和泉くんのことがそんなに嫌いなのか?」
「そんなことはないよ。幼稚園の頃から一緒なんだから、気心が知れた仲。大切な友達だよ」
「おまえの言い方聞いてると、そうは思えないぞ。なんか、腹が立ってくる!」
善幸は、最近、さよりの優史と和泉くんに対する接し方の違いが極端すぎるので不満を抱いていた。
「いいじゃない。和泉くんだとすれば、心配して来てくれたんだと思うわ。あの子はそういう子なのよ」
さよりと、いつも行動を共にしている友達は五人いるという。男の子は優史と和泉くんで、あとの三人は女の子。男女のバランスはどうでもいいのだが、受験という目的があり、それを達成するために彼らの友情が上手く働いているのか、何かが燻っているように感じるのは気の所為なのだろうか。高校生活が毎日愉しくて仕方がないさよりを見ていると、却って、トラブルが起こりはしないかと、善幸は心配になってきた。
外壁に貼ったパート募集の貼り紙は諦め、新聞折り込みのチラシで呼び掛けたら、隣駅の住民の主婦からすぐに問い合わせがあり「小学生の子どもが居るので、平日の十時から三時までしか働けませんけど、その条件では雇ってもらえないのでしょうか?」という問い合わせがあった。
翌日面接してみると、朗らかで人当たりの良さそうな二十九歳の女性だった。接客には打って付けのタイプだと思って「明日から来れますか?」と善幸は即決で雇うことにした。これで、やっと一番忙しい昼の時間帯の助っ人が見つかった。昼休みに食べに来てくれるお客さんの「時間がないから、早くしてくんないかなあ」という催促を気にすることもなく仕事ができそうだ。
十一月に入ると、多忙であっても美乃里は十月分の収支を三日には出し終え「はいっ!」と言って善幸に帳簿を手渡した。それを見て、
「おお、うちの店はもう安泰だな。俺の料理は人を惹きつける味のようだ。客は増える一方、よしよーし。これから更に味に深みを持たせていくぞっ、お客さんの舌が付いて来れるか、俺はそっちの方が心配だ」
「なに言ってんのよ、開店したばかりなのよ。浮かれた気持ちでいると痛い目に合うわ。あなたさ、分かってるとは思うけど、何が利益の足を引っ張っていると思ってる?」
「フカヒレだろ」
「それも、フカヒレ麺……ね」と美乃里が付け加えた。
自分の部屋で勉強していたさよりが話に入ってきた。
「みんな、フカヒレ麺には吃驚してたよ。あんな値段でフカヒレが食べられるなんて思わなかったって。和彩美なんか食べたのはじめてらしいよ。でも、優史が心配してた」
「なにを?」
「なにって、採算が合わないんじゃないかってことだよ」
「それなのよ、あなた。採算と言えばもう一つ、チャーハンにフカヒレスープを付けちゃってるじゃない。そんな店はないから」
「そこが狙いさ。俺はね、フカヒレ麺は、フカヒレって書いてあるから、そのようなものが出てきても愕きはないわな。まあ、喰ってみれば、その旨さで頷くことはあっても。ところがだ、お客さんは麵じゃなくご飯物が食べたい時もある。そこで、チャーハンを頼むとしよう。そこにフカヒレスープが出てきたらどうよ? えっ?」
「愕きがあるってこと? 百歩譲ってそれはまだ許すにしてもよ、あのスープの器、サービスで付ける大きさじゃないわ。他の店で出てくる、ほら、ご飯茶碗の小さいの、あれでよかったんじゃない?」
「バカ野郎がっ、あれじゃな、チャーハンの量に対してスープの量が少なすぎるんだよ。おまえの誕生日に中華喰いに行った時さ、おまえがそのことで文句言ってたの覚えてねーか?」
これ以上深入りしちゃいけないと思ったのだろう。美乃里は、何も言わず渋い顔になった。
「確認しておくけど、フカヒレ麺の原価率って分かってるわよね?」
これだけは言っておかないといけない、美乃里はそう思ったみたいだった。
「俺はな、料理人であり経営者だぞ。馬鹿にしてんのか?」
「へえー、それじぁ、言ってみてよ」
ここは、バシッと言わねばならないところだった。が、
「高めなんだよなぁ、六十パー、いや七十パーぐらいか?」全然バシッとじゃなかった。
「あなたの自慢の濃厚なスープ作りなんだけど、高価な昆布や魚介の干物と色々な材料をお使いのようで。それ、考えてないんじゃない? フカヒレの原価率だけの問題じゃないの。利益の出ないフカヒレ麺とそのスープを付けたチャーハンの注文の比重がこれ以上大きくなると、うちの店は間違いなくやっていけなくなる。忙しくなるだけで、その分の実入りは無いに等しいの。あなたの考えとしては、高級食材でお客さんを呼び寄せたいと思っているのは分かるけど、うちの店の所在地は、銀座でもなければ麻布でも青山でもないのよ、店としては目玉商品と言うだけで実益はないから。兎に角、原価率も濃厚だってことをお忘れなく!」
「まあな……」
フカヒレを使った料理の単価を今更変えられない。もう、うちの店は、フカヒレを安価に提供していて味も上々だという評判が立っているに違いない。実は、今後の展開として、もう一段ステージを上げ、客層次第なのだが、フカヒレの姿煮を提供したいと考えていた。そのためには、山下の親族会社である『極東商会』に、引き続き特価で質の良いフカヒレを出してくれるよう依頼しなければならなかった。
美味しいものであっても食べ続ければ飽きてしまう。B級グルメだって食べたくなるのだ。そのうち、お客さんは、他のメニューにも目を向けるようになってくるだろう。一口食べれば、そっちの旨さにも気づいてくれるはずだ。収支の最終着地点はそこだと善幸は考えていた。
うちの店の場合は、美味しいB級グルメをお客さんに提供していくことこそが、店の存続に繋がっていくのだと――。
善幸は、翌日、フカヒレの在庫がどのくらいあるのかを調べてみた。そうしたら、当初、四箇月分の在庫を確保したつもりが、あと半月も持たないことが分かった。次の日、山下に前回の三倍の量を注文しようと思い、電話を掛けてみることにした。取引金額が大きくなれば、もう少し単価を下げてくれるかもしれないと考えたのだ。
ところが、翌日の朝九時過ぎに山下に連絡を入れると、前回と同じ単価では出せないと言ってきた。あくまでも、新規開店のお祝いとして考えた上での特価なんだと言い張った。では、この先、同じ質のフカヒレを仕入れる場合、いくらでなら売り渡してくれるのかと尋ねたら「五割増しになります」即答だった。社長や会長に相談してみるとかの計らいも無く、突如くるっと背中を向けてしまったかのような対応に、善幸は驚きを隠せなかった。「そ、そんなあーっ」と、ひとこと言った後の言葉が出てこない……。沈黙のあと、善幸は、少し考えさせて下さいと言って再注文を保留にした。
山下が、元来持ち合わせている商売上の駆け引きの上手さや割り切りの良さが、何気に露呈してしまったのだろうか。それとも、俺が一方的な仲間意識を抱いていただけなのか……。
山下は分かっていたはずだ。特価で出すと言ってくれたフカヒレを使い、それを客寄せとして考えていたことを――。それなのに、次回からいくらになるのかを相手に伝えていなかった。これって不親切ではないのか? 相手を困らせるつもりだったのだろうかと勘ぐってしまうほどだ。せめて一、二割の値上げであれば、まだやり繰りで何とか対応できなくもないが、五割増しだって? 訊かなかった自分が悪いというのか? あの時も……。善幸は、開店資金の件で山下に融資の話を持ち掛けられ、借用書に署名捺印した日のことを思い出した。返済は三箇月後からでいい。しかし、金利分は――。もうこんな失敗はしないと美乃里に誓ったはずなのだが……。美乃里の憤怒の形相が目に浮かんできた。二人で疲れて帰った夜に、再び美乃里と揉めることになりそうだ。善幸に誤魔化しの策などあるはずもなかった。
美乃里が店に来るのは午前十時。今、胡と二人で空になった油の一斗缶を折り畳むのに苦労していた。
善幸は、何事もなかったかのように装うにはどうしたらいいものかと、それを眺めながら考えている……。
そこで、可能性は低いが、フカヒレが在庫切れになる前に、これまでと同じ単価で極力仕入れようと、善幸は、店が休みの日に美乃里には行き先を告げずに一人で築地の場外市場へ行くことにした。
フカヒレを専門に扱っていそうな店を見つけては価格交渉をしてみた。フカヒレに限らなかった。節類、貝柱、昆布、干し海老、どんこ、どの乾物も、今仕入れている『極東商会』の単価より高かったことに愕いた。取引がないという信用上の上乗せ分は、現金払いで解決できるとしても、それだけでは追いつかない開きがあったのだ。
特にフカヒレに関しては、山下の提示した五割増しの単価より高かったことに衝撃を受けてしまった。『極東商会』が利益度外視した単価で出してくれたのは確かなようだ。このことを考えれば、会長と山下は、うちの店の開業に対しての期待が半端じゃなかったということになる。
築地に行き、乾物類の相場を知ってしまった善幸は、後日、山下に連絡し、フカヒレと他の乾物類も合わせて注文を入れた。支払いは翌月の二十五日。フカヒレの五割増しの単価を美乃里に知られてしまい面倒なことになる前に、小細工を施しておく必要があった。それは単なる時間稼ぎなのだが、それでも少しは騒ぎを抑える効果はあるはずだ。
善幸は、サトシに頼んだ店の改修工事の費用一千三百万円の内、まだ八百万円しか払っていなかった。残金の五百万円は、十一月の末に支払うと言ってはあったのだが、サトシは都合が付いた時で構わないと言ってくれていた。支払いを年末まで延ばしてもらおう。善幸はこっそりと彼に頼んでみることにした。実は、これは、自転車操業で家賃や材料費支払いが二進も三進も行かなくなった時の、美乃里の知らない腹案だったのだ。
支払いの件は、サトシから良い返事がもらえた。これで『極東商会』から請求書が届き、美乃里がフカヒレの単価を見て仰天したとしても、支払いが出来ない状態に陥ることは避けられる。まさに、汗水流しながら、ともすると冷や汗たらたらの自転車操業。開店当初からこんな状況になることは承知の上だったとしても、根拠なく込み上げていた自負も、目の当たりにする厳しさの前では怯んでしまいそうになる。安易にフカヒレという高級食材を使ったことが、裏目に出てしまったということになりそうだ。
パートとして働くことになった野々村は、ランチタイムに来るお客さんを難なく捌いてくれていた。
由紀子さんは、小上がりに座り、ボリュームを絞り気味にし、テレビを見ながらの餃子包みの姿は内職でもしているかのよう。そんな姿を垣間見ることが、善幸の気休めにもなっていた。
オープンから二箇月半が過ぎ十二月に入った。フカヒレの原価の値上げも美乃里に知られてしまい、一悶着ありながらも、サトシが改修工事の残金の支払いを延ばしてくれたお陰と、忙しさも手伝って、彼女のストレスが幾らか軽減されているような気もした。
仕事の役割分担は、指図するまでもなく必然で決まった。食材の下拵えは胡が率先してやってくれるので、善幸としては大助かりだ。それに、現在のところ想定していた以上の来客数を保っている。思惑通り、お客さんの注文は、フカヒレの食材メニューから他のメニューへと移行していった。薄利ではあるが多額の借金を返しながらも経営は成り立っていた。
ある日、仕事を終え、自宅の玄関ドアを開けると同時に鳴った受話器を美乃里が取った。
「ああ、お久しぶりです! お店、順調ですか?」と、弾んだ声で話しはじめた。
悠さんからだった。先月送られて来たオープン時の写真には、通りから見る外観と賑やかにお客さんが食事をしている光景と、厨房で鍋を振る悠さんの姿が写っていた。厨房での写真に写り込んでいる様子から繁盛ぶりは一目瞭然だった。あちこちで五徳から鍋を浮かす瞬間の激しい炎が立ち上っているのが写っていたからだ。世界有数の観光地香港だから客層も国際色豊かで、朝も昼も夜もなく二十四時間賑わいを見せているのではないだろうか。
美乃里が悠さん宛てに書いた手紙には、出来きることなら二人で手伝いに行きたかった旨を書かせ、申し訳程度のお祝い金を一緒に送っておいた。
美乃里との電話での受け答えの内容を推測すると、悠さんは、何度か電話を掛けたが誰もでない、どうしてなんだ? と疑問に思い心配していたようだ。火曜日の定休日以外は、さよりも塾だったり図書館で勉強していたりと帰ってくるのが遅かったのだ。
善幸は、いい加減自分の店をやりはじめてしまったことを話さなければいけないと、このとき強く感じた。そうしなければ、美乃里が電話を受ける度に嘘を付いているというストレスから解放してあげることができないからだ。店の経営が軌道に乗ったら打ち明けよう、などとタイミングを計っているのは意味が無いような気がした。
善幸は、美乃里に電話を代わるよう手で合図した。何を話すにしても、先ず〝これ〟を打ち明けなければならない。
「ところで、悠さん……、これまで、黙ってて申し訳ありませんでした」
「何の話だ?」
急に改まった謝罪の言葉に、受話器の向こう側で眉を顰めている様子が窺えた。
「俺、実はもう店をやってるんですよ。心配を掛けないようにと思って、経営が安定してから話そうと考えていたんです。先を越しちゃってましたね……」などと冗談も交え話した。
一瞬、悠さんは、愕いて言葉に詰まったようだが、その後「善幸、相談ぐらいしろよぉ……。しっかし、おまえのやることはいきなりで大胆だな。前の店で何かあったのか?」と鋭い指摘をしてきた。それに関しては何も話さなかった。というより話せない。ただ、自分の店を持ちたかったからとだけ言い、その後に〝申し訳ありません……〟と、もう一度付け加えた。
善幸は、開店するに当たり、山下に助言や食材の調達や開店資金の融資にも相談に乗ってくれ、そのお蔭でオープンまで辿り着けた経緯を話した。すると、悠さんも山下が話していた通り、食材は山下の父親の会社『極東商会』から高級食材を仕入れているとのことだった。悠さんは、来年の春頃には、休暇を取って家族全員で善幸の店へ行くぞ、と言ってくれた。また、それまでに「俺が試食して合格だ! と言われるような店にしておけよ」とも。 (つづく)




