1話 美少女に配達
俺は20歳の大学生の佐藤駿。ピザ屋で配達員のバイトをしている。特に特技はない。唯一、趣味でアニメが好きだ。彼女もできたことがない。いわゆる彼女がいない歴=年齢なのだ。一つ言うなら1番時間を使っているのはバイトだろうか。そんな俺はいつも通り今日も配達をしている。晴れの日も雨の日も雪の日も。
「おーい!佐藤君!これ配達お願いして良い?」
10個も上の先輩の三木さんだ。大学を卒業してからずっとここでフリーターとして働いてるらしい。
「あ、はい。行ってきます!」
ピザ屋のバイトは良い。接客するのは、着いてからの数分だけで良いし、バイクにまたがって捻ってれば1日が終わる。たまにチップも貰えるし、飲み物も貰えるし。でも急げば事故るかもしれないし、遅すぎても怒られる。めちゃくちゃ可愛いお客さんもいれば、めっちゃくちゃヤ◯ザみたいなのも頼んでくる。まあ辛くないから続けてる。
「よし着いた、インターホンインターホン」
「はーい!」
最近の流行りは、インターホン越しの声で可愛いか可愛くないかを当てること。今回はめちゃくちゃ可愛かったな。だけど2ヶ月前ぐらいめちゃくちゃ可愛い声だったのに50歳ぐらいのおばさん出てきたな。
「お待たせしましたー!ピザーノです」
ガチャッ…
「お待たせしました〜、お先に商品の…」
これはびっくりした。めちゃくちゃ可愛い、金髪のショートカットの子が出てきた。同い年ぐらいだろうか。こんな美少女見たことないぞ。俺は5秒ぐらい見つめてしまった。
「どうしました??」
「あっ、すみません!!お先っに商品っの、お渡しになりまっすっ!」
めちゃくちゃテンパってしまった。有名人と話しているつもりになってしまって、めちゃくちゃ緊張している。こちらを少し笑いながら見ている。
「ありがとうございますっ!クレジットカードでもう払ってありますよね?」
くそ、こんなときにクレジットカードか…現金だったら手が触れられたのに…そんな少し気持ち悪い妄想をしながら、クレジットカード支払いにキレていた。まあ今日はラッキーだったな。
「そうですね。またのご注文お待ちしておりますっ」
「あ、ちょっと待って!!」
なんだ?今流行りのニンスタ交換か?それともRINE交換か?ある訳ないけど。
「こんな暑い日に配達ご苦労様です!!これ、、よかったら!」
なんとキンキンに冷えたお茶を渡してくれた。たまにあることだがそれに俺は心を打たれてしまった。この美少女の笑顔だけでも水分補給なのに。
「あっ、、ありがとっございますすす!!」
「はーい!」
めちゃくちゃ嬉しかった。また頼まないかな?俺は早速キンキンのお茶を飲んだ。
美少女のお茶は味が格別に違う。俺はルンルンで飛ばしながら店に帰った。