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殺人徘徊  作者: urara
第1章 はじまり
4/5

2夜目 発見と恐怖

死亡者 0人


朝、目覚めれば知らない場所にいた。

僕はどこにいるんだ?早く家に帰らなければ。

昨日のことを思い出し、ふと我に返る。


「まだ昨日のことが信じられない…」


だが、本当に信じられないのは部屋の様子である。

まるで僕たちが来ることを把握しているようだった。

部屋の数も、家具も。

ぴったりであった。


僕の家には、僕が日ごろから使っていたノートと、使ったいたものと全く同じ参考書があった。

茶華道家だという野菊さんの部屋は一人だけ座敷で、和菓子屋だという茶川さんの部屋には、和菓子作りの道具が一式そろっていたらしい。


昼間は館内であれば何処にいても良し。何をしても良しというゆるさ。

それを聞いた一部の人たちが外に出ようと、壁を壊したらしいが、壊してから1時間と立たないお昼時にはもう治っていたらしい。

僕は、一日中勉強に明け暮れていた。


そうこうしているうちに時間は経ち、夕暮れ時になっていた。


「あ、夜宮くん!」

「…えっと失礼なんですが、どちら様ですか?」

「あ、ごめんなさい。私、天月カナです。よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします。カナさんでいいかな?」

「うん。」

「何か僕に用?」

「そうそう!実は貴重な情報が手に入ったんだ。」

「ほんと?…でもなんで僕に?」

「いや、みんなに伝えようと思って。一番近いところにいたのが夜宮くんだったから…」

「貴重な情報って?」

「これだよ。GPS。全員のスマホにいつに間にか入ってて、みんなの居場所が分かるみたい。」

「あ、だからか。カナさんが『一番近いところにいた』って言ってたからカナさんがどうして僕が一番近いって分かってんだろう…って考えてた。」

「みんな、なんか最初のところに集まってるみたい…」

「なんだろう。僕たちも行ってみようか」


みんなが集まっていた。


「みんな、どうしたの?なにかあった?」

「あ、これだよ。」


指さされた場所には大きな穴が開いていた。

なんだこれ…


「河島が見つけたんだが、やたらと大きな穴が開いててな。もしかしたら出口かもとか思って調べてたんだが、今のところ情報なし。」

「そうか…」

「時間があるならお前らも手伝ってくれねえか。力のあるやついれば、穴の中に入ってみてほしい。」

「夜宮、お前行けるか?」

「うん。大丈夫。」


そうして僕らは穴の調査を始めた。


「誰かが掘ったんだろうな。ほら、見ろよ。シャベルかなんかで掘った跡がある。」

「たしかに…少なくとも元から開いてたって感じの穴じゃないね…」

「ハスターが言ってたとうり、私たちみたいに閉じ込められていて人がいたってことだよね。」

「うん。」

「たしかに。そう考えられるな」


「よし。まあ穴調査は今日のところはこれぐらいにしといて、また明日続きやろうぜ。」


そんなこんなで今日の穴調査は幕を閉じた。


「ごめんね、夜宮くん。大変だったでしょ…。私も途中で抜けたのに、最後まで頑張ってたし…」

「いやいや、カナさんが謝ることじゃないじゃん。」

「でも、私が行こうとか言ったから。」

「僕がすきで手伝っただけだよ」

「そう?ならいいんだけど…」

「カナさん、今日はお疲れ様。」

「お疲れ様、しっかり休んでね。」


一瞬、背後に殺気を感じた。

すごい速度で僕の顔面にガラスの破片のようなものが直撃する。

痛い…

腕を大きく切られた。

すぐに気づいたから、擦り傷で済んだが。

本当に当たっていたら大怪我だ。

忘れかけていた。ゲームが行われていることを。

僕の頭をとある考えがよぎる。

もしかして…今日の殺人対象者はカナさんなのか…

カナさんの方角から飛んできた破片。

カナさんが狙われているのかもしれない…


今日は本当に疲れたな。

自室に戻ってベッドにダイブすれば途端に眠気が襲ってきた。

もういいや、このまま寝るか…


気が付けば僕は眠っていたらしい。

だが、僕は飛び起きてしまった。

何故、僕の部屋にカナさんがいるんだ。


「カナさん?どうしたの、こんな夜中に…」

「夜宮くん…たすけて…」


泣きそうな顔に、荒くなった息。

なにがあったのだろうか。


「なにかあったの?」

「…あのね」

「急に…私の部屋のドアが…ノックされて…なんだろうって…ドアを開けたの…そうしたらね…急に私の後ろに回ってきて…なにかは分からなかったんだけど…なにかを向けてきて…怖くって…」

「いま、そいつはどこにいる?誰かわかる?」

「わからない…」

「わからないけど、きっと…私を待ち伏せてる…」

「わかった。」

「じゃあ、1.2.3でドアを開けるから。いい?」

「うん…」


「1.2.3…!」

「えっ!?」


ドアを開けても、扉の向こうには誰もいない。

僕はカナさんに背中をドンっと押された。

よろめき、しりもちをつく。


「カナさん!?」

「あははははははははっ!」


カナさんの高笑いが聞こえる。


「この程度の演技に騙されるとかちょろすぎww」

「どういうことだ、カナさん。」

「全部演技よ。演技。」

「最初から最後まで。」

「今日の殺人者は私なの。ごめんね、私も死にたくないから、君には死んでもらわなくちゃいけないの。」

「今は真夜中。誰も起きてない。誰も見てない。誰にもバレない。」

「これで私は逃げ出せる…」


カナさんは、ナイフを僕に向ける。


「ばいばい、夜宮くん…」


もう、ダメだ。

そう思った時だった。


「天月カナ!そこで何してるんだ!」


ドアをバンッと開け、星川さんが出てきた。


「静かにしてるからって、みんな寝てるとは限らないんだぞ!」

「お前の言動、行動、全部。ビデオに収めさせてもらった。」

「そろそろ、観念しろ」

「なっ…なんで…こんなはずじゃなかったのに!!」


暴れまわるカナさん。

声を聴いてぞろぞろと出てくるみんな。

カナさんの殺人は、失敗した。

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