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ゴマちゃん(悪)

作者: くらいいんぐ
掲載日:2021/05/08

多摩川にゴマちゃんという愛称で親しまれた「ゴマアザラシ」が住んでいました。


天気の良い日は、近所の人が集まってきます。


「あ、ゴマちゃんだ〜!カワイイ♪」


しかし、ゴマちゃんは人間の言葉がわかっていました。


子どもたちが、餌を与えに来ると、ゴマちゃんはいつものように、陸に上がっていきます。


『おおぅ、やっぱ陸はしんどいなぁ。でも、食いもん食うためだ』


「きゃー、カワイイ。写真写真」


『おー、ホタテじゃねーか。缶詰みたいだけど、人間の缶詰はうめぇんだよな』


「あ、食べてる食べてる!」


ゴマちゃん人気は広まり、近所の人だけでなく、遠方から来る人の増えてきました。


「なんか、ゴマちゃん可哀想じゃないか?自然に返してあげたほうがいいんじゃないか?」


そんな声が聞こえて聞こえてきます。


『おい、ちょっと待て。写真ならいくらでも撮っていいが、この住み家を奪うようなこと言うなよ』


「餌だって自分で取るから、あげないほうがいいよ。だって野生だもの」


『ふざけんな、こっちはこんな汚い川に住むって決めたんだ。お前ら勝手に決めんな』


数日後、市の職員がゴマちゃんを捕獲に来ました。


どうやら、自然に返すのではなく、動物園に入れることに決めたようです。


垂れ幕まであります。


― ゴマちゃんを○○動物園へ ―


動物園の人も来ています。


「ゴマアザラシは、○○の習性があります・・・そこで・・・やって・・・捕まえましょう」


『聞いてられないや、身をかくすか』


テレビのニュースが流れました。


「本日、ゴマちゃんの愛称で人気のゴマアザラシを捕獲し、動物園に搬送する予定でしたが、ゴマちゃんは顔を出すことはありませんでした。心配ですねぇ」


「次、お天気です、宮本さん」


「はい、宮本です。明日から低気圧が停滞し、天気は荒れ模様です」


― ― 次の日 ― ―


朝から大雨で、多摩川は数年ぶりの大氾濫でした。


『くそー、負けてたまるか。こんなことで死んでたまるか。俺はここで生きるって決めたんだ。グホッ・・・ダメだ流されてる・・・てか、体中痛みも感じね〜。どこ怪我してんだ・・・グルグル回されて・・・アウアッ・・・』


― ― 数週間後 ― ―


氾濫後の川のゴミ清掃場にて


職員A「これ、アザラシじゃねーか」


職員B「もしかして、ゴマ?」


職員A「死んでるな」


職員B「まあこの氾濫だもんな」


職員A「燃えるに入れといて」


職員B「はいはい」

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