3話 冒険者と受付嬢
今日は初めてギルドへ行く日。
私は家族に見送られながら、家を後にした。
「ギルドって一体どんなところなんだろう? 怖いところじゃなければいいんだけど……」
ギルドというと剣を持った人たちが戦いをするイメージがあったからだ。
そんなところに行ったら最後
「私、死んじゃうよ……」
と言いつつ、歩いていくうちに冒険者ギルドに到着していた。さぁここからどうなるかはもう私にも分らない……。あぁもう!! どうにでもなれ!!
ギルドの扉を開けた瞬間キシキシと嫌な音が響いた。音を聞いた冒険者たちが全員私の方をまじまじと見ている。
こいつ何しに来たんだ? お嬢ちゃんお遊びでもするつもりかい? と言わんばかりに眼光を鋭くさせている。
冒険者たちに緊張した私は、足がガクガク震え泣きそうになってしまった。
その時ひげを長く伸ばしはおじさんが私の方に接近した。背丈は私の倍以上、体つきもかなりいい。もしかしてホントに殺されちゃうの!?
「おじさん私の肉は美味しくないですよ……だから殺さないでください!! お願いします!!」
「お……おじ……だと?」
もしかしておじさんって言っちゃいけない言葉だった!?
おじさん……もとい髭の巨人は私に大して激怒している……
「マスター、新人さんを怖がらせないでください……」女性の声がした。
ふん……髭おじもといマスターは奥の方へ去っていった。
「すみません……マスターは初めての方にはいつもあんなふうなんです、でもああ見えてギルドの中で誰よりも冒険者思いの優しい方なのです」
「あなたは一体?」
「申し遅れました。私はこのギルドの受付嬢をやっておりますカルナと申しますこれからよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
カルナさんは私と違いかなり落ち着いた雰囲気を出している。年齢的に私と同い年か? もしくは年上のお姉さんのように感じた。
カルナさんはギルドに入会する為の手続きなどの説明をしてくれている。
因みに冒険者には剣士、魔法使い、回復役など様々な役職がある。
それぞれの役職には専用の武器、技、スキルが存在している。
各役職それぞれの特色を生かしクエストをこなしているそうだ。
ルナさんからいくつかの質問を受けた。
「ノアさんまずはノアさんがこれになりたいと思う役職などを考えてもらえますか」
「すみません……私これをやりたいとかって思ったりする役職がないんですよね。」
「問題はございません……そういう方もいらっしゃいますから。確かノアさんはルイく……冒険者ルイさんの妹さんでしたよね?」
あれ……? 今この人、兄の名前をくん付けで言おうとしたような。
「ルイさんもノアさんのように最初は役職が決まってなく焦っていらっしゃったのですが彼は剣士を選択され今ではこのギルドでは上位ランカーの剣士になっています」
「兄はそんなにすごいのか……」
「では……ノアさんもお兄様のように剣士を目指されてみてはいかがですか?」
「剣士ですか!? 無理無理私には絶対無理です!!」
「大丈夫ですよ! 剣士を目指す女の子も居ますし、今はブームなんですよ!」
「そうですか……じゃあ少し考えさせて貰えますか?」
とりあえず役職の決定については後日とする事にした。
その夜……私は必死に考えていた。一体どうすればいいのだろうって。
今まではそんな事全く考えてもいなかった。
そしてまたあの場所へたどり着いた……
「ノアちゃん……ノアちゃん」
この聞き覚えのある声は!!
「やぁ聞こえた? 今日もやって参りましたあなたのアリスだよ~!」
「なんですか? その挨拶ダサいですよ女神様……」
「うるさい!! これは私の渾身の挨拶なの馬鹿にしないでよ!」
「すっ……すみません」
「分かればいいのだ。それでなんか困ってるみたいだけど何かあったかい?」
「女神様……話すと長くなるのですが」
私は今日の出来事を女神様に話した。
「そうか~役職を決めるは難しいよね……それじゃあノアちゃんにいい事を教えてあげよう〜」
「女神様いい事って何ですか!」
「それはね……」
私は顔を赤くした。女神様の口からそんな言葉自体が出てくるとは想像もしていなかったからだ」
「分かりました……」
「頑張ってノアちゃん!!」
次の日、私はギルドへと向かった。そしてカルナさんにこう言った。
「私は剣士を選択します」
「おぉーノアさん決められたんですね……」
「えっ!?なになに……?」
「あなたは、このギルドの正式な冒険者となりました!! ようこそノアさん」
「ありがとうございます!!」
「これから大変な事に直面していきますが、私たちスタッフあなたのサポートとしっかりとさせていただきますのでよろしくお願いいたします!!」
「頑張ります!!」
という訳で私は今日から冒険者となりました。
これから……どうなんだろう?