2話 冒険者
……ノアに転生してかなり時間と月日が経った……
少しずつだが新しい生活にも慣れてきた。そして前世の記憶も時間がたつにつれて忘れていっていた……
私は家事は得意だったから支障はなかった。
けど洗濯だけは慣れるのに時間がかかってしまった……
手洗いでしなければいけないからだ。
もちろん手もみで一から丁寧にしなければいけないし、おまけに疲れる。
けど、やってみると意外と楽しい。
……私は完璧にこの世界に馴染んできている……
この世界の家族は私に対して優しく接してくれている。
前の世界では家族から愛情を注いでもらってなかったもんな、というか私に家族いたっけ?
父のレイスは、村のギルドで働いており昔は冒険者をしていたらしく現在は指導係として冒険者を支えている家族思いの優しい父だ。
母のエレーナは家族のために毎日家事を頑張っている彼女の作るご飯はとってもおいしい。
そして私のほかに兄のルイと妹のカレンがいる。
兄のルイは、父の働いているギルドで冒険者として活躍しているらしく家にはあまり帰ってこないそうだ……
妹のカレンは村の学校の優等生で、学校の男子からも人気だそうだ。
そして私はというと、現在無職の身である……
私は、学校の中でトップクラスだったけど、自堕落な生活を繰り返していたので退学を宣言されたそうだ。何をやってんだよ私……
まぁ……そんなこともあったらしく現在は家で母の手伝いをしている。
いつも通りに家事をしていたそんなある日、母からいきなりこんなことを言われた。
「ノア、冒険者ギルドへ行きなさい」
「えぇ!?」私は母から言われたその一言に動揺を隠せていない。
「あそこへ行けば、あなたは人の役に立てるわ」と笑顔で母は答えた。
「いやいや、冒険者ギルドって魔物退治をしたりするところだよね、武器も何も持ってない私が生身の状態で行ったら死んでしまうわよ!?」私は焦りながら母に伝えた。
「でもずっと家にいるよりも外の世界に出ていろいろ経験するのもいいんじゃないかしら? それに今は冒険者になる女の子も増えてきてるのよ?」
「そうですね……ちょっと考えさせてください……」
とりあえず私はそう答えた。その事をずっと考えているといつの間にか夜になっていた。
「私はこの先どうなりたいの?」そう心に問いかけながら夢の中へと落ちていった。
「…アちゃん、ノア…ちゃん起きて」誰かが私を呼んでいる。
「誰…ですか?」謎の声に私は質問した。
「ちょっ……誰って私のこと覚えてないの!?」私の目の前に一人の女性が現れた。
「私よ、女神アリスよ! 君を新しい世界に送ったアリスよ! もう嫌になっちゃうわ」
女神様と名乗る女性は顔をふくらませながら私を見ている。
「もしかして女神様と私は一度会ったことがあるんですか?」と問いかけた。
「そうよ! 君は私と契約したのよ、新しい人生で生きていくというね」
「そうだったんですね、すみません覚えてなくて……」
「いいのよ~時間が経てば多少の記憶を忘れるから、でも私だけは忘れてほしくなかったわ」
私はなぜか女神様に怒られていて不思議な気持ちになった。
「それで、なんで女神様は私の前に現れたんですか?」女神様に質問してみた。
「いい質問だね! それはね……君をギルドへ入れるためだよ!」とニコニコ笑顔で説明した。
「はぁ、そうなんですね」私はめんどくさそうに返した。
「君って奴はホントにノリが悪いね! 転生する前の君もホントにノリが悪くて苦労したよ」
「へぇーそれはいいとしてなんで女神様はなんで私をギルドへ入れようとするんですか? 赤の他人じゃないですか」
「確かにそうだね~赤の他人の私が君に言うのもあれだけど…… 君には家族のために頑張ってもらいたいから? ちょっとそれは変かな?」
「母さんも女神様のようなこと言ってましたよ、私には頑張ってほしいって」
「そう! 君のお母さんも君のような子に狭い世界だけにとらわれないで広い世界を見てほしい、って思ったから言ってくれたんだと思うよ」
「そういう事だったんですね! でも私には武器とかもないですし、魔法とかも使えないし、冒険に出てもすぐに死んでしまうかもしれない恐怖があるんですよね……」
「大丈夫! 君には何事に対しても正義感があるじゃないそして胸もぐふふふふ……」
「女神様、一言余計です……」私は目を鬼にして女神様に言う。
「ごごご…ごめんノアちゃんが可愛くてからかっちゃった! てへ」
こいつ……今度会ったら覚えとけよ?
「それで君はギルドに入るかい?入るなら私が手助けしてあげてもいいのよ?」
女神様は嬉しそうに言った「じゃあ……ギルドとりあえず行ってみます」
「よし! 決まりだね。起きたらまずはギルドに行かないとね」
「分かりました。女神様よろしくお願いします!」「じゃあまた後で」
起きたらいつの間にか朝になっていた。私は家族の所へ向かってこう言った
「父さん、母さん、アリス私ギルドに行きます」
「うおぉぉぉぉぉぉ~ノアが…ノアが…父さんと一緒の仕事をする決心をしたんだな私はとっても嬉しいぞ!」
「流石ノア!」
「お姉ちゃんギルドで何するの?受付嬢にでもなるのかな?」
私は「冒険者を目指します」とだけ言った。
母は嬉しそうにしていたが父と妹はえっ?という表情だった。
私がてっきり受付嬢をやるものだと勘違いしていたそうだ。
しかし、父は冷静になり「ノアがやりたいようにやればいい」と言ってくれた。
妹も「冒険者のお姉ちゃんの姿を想像するといいかも~」とちょっと意味不明だけと多分いい言葉をかけてくれたのだろう。
というわけで私は、自分の足で冒険者ギルドへ向かうことにした。
そしてあんなことになるとは、私は思ってもいなかった。