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中堅モンスターのほのぼの世界無双録  作者: 虎徹っちゃん
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ラブレター

翌日……。


マドとゴレ、 セキが談笑していると1人の男子生徒が近寄ってきた。


「お、 お主がマドか!?」


男子生徒の身体は大きくガッチリした体型。 口には笹の葉を咥えてマド達の前に仁王立ちしてきた。


「は、 はい…… そうですが?」


マドが恐る恐る返事をすると、 男子生徒はマドに何か手紙の様な物を差し出す。


「よ、 読んでくれ!! それじゃ!!」


男子生徒はそう言い残すとそそくさとその場を後にする。


「何ですの? 一体?」


「……今のは『アースドラゴン』族のアスね…… 同じ特別クラスの同級生ね……」


「えぇ~? そんなドラゴン種の人が私に何の用なのかな?」


ゴレとセキの説明を聞いて怖がるマド。


「あの雰囲気を見る限り…… アスはマドに惚れてラブレターを渡したのじゃありません?」


「……その可能性は高いわね……」


「えぇ~? そんな~ まだ話した事もない人にラブレターなんてもらっても~」


ラブレターの話にマドはまんざらでもなく照れる。


「ねぇ! 何て書いてありますの?」


「……早く読もう……」


ゴレとセキはワクワクしながら、 アスの手紙を開ける様にマドを急かす。


「えっと…… 『放課後、 体育館裏へ来たれ!!』…… だって……」


「ほほぅ…… 愛の告白は直接言うと言う訳ですわね~」


「……入学翌日にラブレター貰って告白されるとは…… やるわね! マド!」


「ちょ、 ちょっと待ってよ~ まだ告白されるなんて決まってないよ~」


マドは2人に冷やかされてあたふたする。


(どうしよ…… 告白なんてされた事ないからどんな返事していいか分からないよ)


マドはそんな事を考えていても、 時間は進み放課後になる。


「ねぇ…… 本当に行かなきゃダメ?」


「何を言ってますの? 殿方がくれたラブレターを無視するなんて淑女のする事ではありません事よ?」


「……私達も陰で見ているから……」


「でも~」


2人に背中を押されながらマドは体育館裏へと向かう。


体育館裏ではアスが両腕を組んでマドが来るのを今か今かと待ち構えていた。


「あの~ お待たせしました……」


マドが恐る恐る声をかけると、 アスは目をカッと見開く。


「待っていたぞ! マド!!」


「あの…… その…… ご、 ごめんなさい! わ、 私まだ貴方の事よく知らないからどう返事していいか分からなくて……」


「ん? 何を申しているのだ? 今からお主と我は決闘をするのだぞ?」


「えっ?」


「……」


「……」


互いの間に微妙な空気が漂う。


「オ、 オホン! さ、 さて気を取り直して…… マドゥハンドのマドよ!! お主はクラス分けテストの時にとてつもない力を見せて特別クラス1位の座にある! よって我はお主に決闘を申し込んで我こそが特別クラス1位だと言うことを証明してくれようぞ!! いざ!! 勝負!!」


アスは構える。


「あ、 あの~ 私…… 1位じゃなくていいので…… 1位が欲しいならあげます……」


「そうはいかぬ!! 我が種族は力こそ全て!! もらってはいそうですか…… なんて事はない!!」


アスは聞く耳を持たない。


「ちょっと!! 貴方!!」


マドとアスの間にゴレが割り込む。


「ぬ!? お主はゴーレムのゴレ!? それに動く石像のセキも? 何用か!? 今はマドと話をしている所!! 邪魔立ては許さぬぞ!?」


「貴方ね! 純情な乙女心を無視して何を決闘などおっしゃっているの!? 普通、 殿方が女性に手紙を送ったらラブレターでしょうが!!」


「ラ、 ラブレターだと!? 我がそんな軟弱な種族が行う様な事するわけないであろうが!?」


「……果たし状なら果たし状って書けばこんな事にはならなかった」


「ぐっ……」


ゴレとセキに責められて、 アスは言い返せなくなる。


「う、 うるさい!! 問答無用!! 行くぞ!! マド!!」


アスはマドに殴りかかる。


しかし、 マドのメタルハンドがアスの拳を受け止める。


「ぬぅ!?」


「わ、 私は戦う事は好きじゃないの…… だから、 もうやめませんか?」


アスの拳はメタルハンドに掴まれてピクリとも動かなかった。


「このままでは…… 引き下がれぬ!! 喰らえ!! アースドラゴン最大奥義!! 『地を這う竜の咆哮(アースドラゴンブレス)』!!」


「きゃっ!!」


アスの口からビーム咆が放たれるも、 マドはアスの攻撃をかわす。


「え!?」


「……まずいわ……」


マドがかわした先にはゴレとセキがいた。


「ゴレちゃん! セキさん!!」


それに気がついたマドはメタルハンドの腕の部分からバーニアの噴射口を出す。


「間に合って!!」


マドの叫ぶ声にメタルハンドが反応したかの様にバーニアの噴射口から勢いよくロケットの様に2人の元に飛んでいった。


「な、 何ぃ!?」


マドはアスの放ったビームを追い越し、 ゴレとセキの前に到達する。


「えい!!」


メタルハンドがペシッとビーム咆を軽く叩き、 ビームの軌道を逸らす。


「ま、 まさか我の最大奥義が…… 片手であんなハエを振り払うかの様な感じで破れるとは……」


アスは膝をつく。


「2人とも大丈夫だった?」


マドは2人の安否を確認する。


「え、 えぇ…… 大丈夫ですわ……」


「……今…… 何が起きたか分からなかった……」


あまりにも一瞬の出来事に2人も現状を理解できていなかった。


「ちょっと!! アス君!! 危なかったじゃない!! 怪我したらどうするの!?」


マドはアスに怒りながら近づくと、 アスは顔を上げて


「す、 すみませんでした!! まさか…… あそこから2人を助けに行っただけでなく我の奥義まで軽くいなされてしまうとは!!」


「へ?」


「マド…… いや! マドの姉御!! 本日からアースドラゴンのアス!! 貴女様の舎弟として仕えさせていただきます!!」


アスの突然の発言にマドは困惑する。


「ちょ、 ちょっと? しゃ、 舎弟って…… それに姉御って……」


「やりますわね! マドさん! 入学式翌日にはアースドラゴンが舎弟だなんて!」


「……ドラゴン種は強い者に従う習性があるから」


ゴレもセキもニヤニヤしながら現状を楽しむ。


「全然嬉しくないよ~!!」


夕焼けにマドの声が響き渡る。

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