土の学園試験の後……
クラス分けテストが終了し、 各自クラスへと分けられ教室へ向かう。
「諸君! 君達がこの特別クラスになった20名だ! 私がこのクラスの担任になるミノタウロスだ! よろしくたのむ!!」
試験官をしていたミノタウロスがマド達の担任として挨拶をする。
(わ、 私…… 特別クラスになっちゃったけど大丈夫かな?)
マドは1人周りをキョロキョロ見渡す。
(あの男の子同じ顔が6人もいる! 六つ子なのかな?)
「先生~! 今日はこれから何をするんっすか?」
六つ子の1人がミノタウロスに聞く。
「今日はクラスの顔合わせだけだからな! この後寮に戻ってもらう! 本格的な授業は明日からだな!」
「一兄! だったら早く帰ろうぜ!」
「二郎兄貴! その前に父ちゃんと母ちゃんに報告があるだろ?」
「三郎兄さんは真面目だなぁ~」
「四郎兄者! 報告を怠ると母さんにぶっ飛ばされるでござるよ」
「もう~ いいから早く帰ろうよ~」
六つ子はそう言うと教室から出ていってしまう。
(何かクセの強い6人だったかな……)
マドが六つ子の背中を見送っていると、 目の前にゴレとセキの2人が立ち塞がる。
「マドさん…… って言いましたか? ちょっとよろしくて?」
「……少し…… 話したい……」
「は、 はい! わ、 私でよければ! はい!」
2人の威圧感にビクビクするマド。
そして、 マドは2人の後をついていく。
(うぅ~ 何だろ? 何かやっちゃったかな? まさか! これから都会のヤンキーによるいじめってヤツが始まるのかな…… でも女の子だしな…… 貴族って言ってたしそんな事ないよね? 大丈夫だよね……)
「ちょっと! マドさん! 聞いていらっしゃるの?」
「ご、 ごめんなさい!! 私庶民な者でお金とか持ってないです! お小遣いも少ないのでカツアゲとか勘弁してください!!」
「は?」
マドの反応にゴレとセキは固まる。
「……プッ……」
「ちょ、 ちょっと何を勘違いなさっているの!? 私達特別クラスの寮で部屋が一緒になったから、 喫茶室でお話をしようとしただけですわ!!」
セキは吹き出し身体を震わせながら笑いをこらえ、 ゴレは慌ててマドに声をかけた理由を話す。
「なんだ~ よかった!」
ホッとしたマドは笑顔を見たゴレとセキは胸がキュンとなる。
「……かわいい……」
セキはそう言うと、 マドを抱き締める。
「ちょ、 ちょっとセキさん!! ずるいですわよ!! 私にも抱かせてくださいまし!!」
ゴレもそう言うとマドに抱きつく。
(よかった…… 2人共いい人ぽいや)
その日の夜。
「あらぁ~ 魔王様~ いらっしゃいませぇ~」
魔王はあるバーへと足を運んでいた。
「やぁ! ママさん! 久しぶり!」
「久しぶり~ って、 昨日いらしたばかりじゃないですかぁ~」
ママさんと呼ばれた女性はニコニコしながら応える。
「とりあえず1杯もらおうか!」
「はい~」
魔王はカウンターに座るとママさんは魔王の目の前に立つ。
「どうぞ~」
「あぁ、 ありがとう!」
魔王が酒を飲み始めるとママさんが話かけてくる。
「今日は~ 学園の入学式でしたよね~?」
「あぁ! ママさんの甥っ子も入学したよ!」
「そうなんですか~ それはお世話になります~」
「今年の新入生はなかなか面白いね! 特に土の学園の生徒は……」
「そうなんですか~?」
「ママさんの甥っ子の事はママさんの方が詳しいだろうけど、 ゴーレム貴族のゴレ! 彼女はテストでサンダーボルトを放ったんだ!」
「あれ~? ゴーレム族は魔法は使えないですよね~?」
「そうなんだ! これには試験官も見事に騙されてね! 彼女はただ拳を突きだしただけさ! その拳から繰り出された拳圧が真空を作りだし、 空気が元に戻ろうとする時に発生した静電気を電撃として繰り出したんだ!」
「へぇ~ なかなかできる事じゃないですね~」
「まぁ、 ママさんのお姉さんならできかねないとは思うけど…… 次に動く石像の王族のセキもなかなかの曲者だよ! 彼女は一撃しか拳を繰り出した様に見えたんだが1秒間に100発のパンチを打ち出していたんだよ!」
「それは凄いスピードですね~」
「まぁ、 何といっても一番凄かったのはマドゥハンドのマドって女の子なんだ!」
「マドゥハンドの子ですか~?」
「彼女の持っていた武器なんだがね! 巨大な両手なんだ!! しかも、 あの強度と輝きを見た感じ…… オリハルコンで出来ているだろうね! オリハルコンは扱いの難しい金属だ! あそこまでの力を出せると考えると魔力も相当高いと思える!」
「何か~ 魔王様~ 楽しそうですね~」
ママさんはお酒のおかわりを注ぐ。
「これだけの逸材が今回だけで入学したんだ! 成長が楽しみだよ!」
「そうですね~ でも他の学園の生徒も~ 見てあげないといけませんよ~」
「わかっているよ! これからの若き世代に乾杯だな!」
魔王はそう言うとママさんのグラスに自分のグラスを当てる。