土の学園入学式
15歳になったマドは美しく(?)成長していた。
マドゥハンド特有の肌は茶褐色、 髪の毛は黒髪のセミロングヘアー。ただし、 残念ながら身長と発育の方は中の下くらいだった。
「マド! 3代目魔王様から学園入学の案内が届いているぞ」
「お父さん! ありがとう!」
父親マドゥハンドはマドに手紙を渡す。
「しかし、 早いものですね この前まで子供だったマドがもう学園に入学する年になるなんて……」
母親マドゥハンドはどことなく寂しそうに言う。
「まぁ、 3代目魔王様になってから人間達との争いは無くなり平和になったからな! それに我々モンスターにもちゃんと教育をしてくださるんだ! ありがたいじゃないか」
父親マドゥハンドもしみじみ話す。
「お父さん! お母さん! 私、 学園に行ったら友達いっぱい作るから! そうしたら家に遊びに連れてきてもいい?」
マドは目をキラキラさせながら2体に話す。
「えぇ! 楽しみにしているわ!」
「はっはっはっ! マドは可愛いからすぐに人気者になれるさ」
「もぅ! お父さんの親バカ!!」
マドは、 父親マドゥハンドに頬を膨らませて言う。
「ところでマド! 『アレ』は学園に持っていくのかい?」
「……アレ? もちろん持っていくよ! アレはお父さんと一緒に作った私の宝物だもの!」
「そ、 そうか…… 持っていくのか! くれぐれも扱いには注意してな!」
「大丈夫! わかってるって!」
目をキラキラさせているマドに、 父親マドゥハンドは少し心配そうにマドに言う。
「それじゃ、 学園じゃあ寮生活になるから今のうちにご馳走をしっかり作って栄養つけておかなきゃね! お母さん張り切っちゃうわよ」
母親マドゥハンドは手首にエプロンを着けて台所へ向かう。
それから1週間マドは両親と一緒に楽しく過ごした。
学園入学当日。
マドは学園の前に立っていた。
(ここが魔王さまが理事長をやっている『土の学園』…… 土属性のモンスターが集まる場所なのね)
マドはドキドキしながら周りを見渡す。
(キャー! 色々な種族のモンスターがいっぱいだわ! 友達ができるか心配!)
1人興奮しているマドの背後が騒がしくなっていた。
「おい! 今年の土の学園入学にはゴーレム貴族のお嬢様や動く石像王族のお嬢様がいるらしいぜ!」
「それだけじゃないらしい! あのキラーマシンの子供もいるらし!」
「マジかよ!? 特別クラス行き決定みたいじゃんかよ?」
(へぇ~ そんな凄い人達が同級生にいるんだ…… 私なんか庶民だから不敬罪になったらどうしよう……)
マドが1人心配していたら校舎の上空に1人の男の姿が映し出された。
髪の毛はサラサラロングストレート、 右手は獣の様な手をしている。
「えぇ~皆さん! 聞こえますか? 私はこの学園の理事長をしています! 魔王です! 本日はお日柄も良く当校の入学式へ足を運ばれた事を心より感謝と祝福を……」
「魔王様! それは結婚式の挨拶ですよ!」
魔王の横から髭を生やしたおじさんが出てくる。
「あれ? そうだっけ? ごめんごめん! やっぱり人前だと緊張しちゃって! あはははは!」
「しっかりしてください! 魔王なんだから!!」
「オホン! これより土の学園に入学する諸君にはクラス分けのテストを行うよ! 土の学園の他にも姉妹校で『火の学園』『水の学園』『風の学園』があるからね! 他の学園の生徒とは学園対抗イベントで顔を合わせるかもしれないからその時を楽しみに待っていてくれたまえ! えーと 後何だっけ? ノーム?」
魔王の横にいたノームと呼ばれたおじさんが話し出す。
「ゴホン! ワシは魔王四天王の1人『土のノーム』じゃ! 諸君が通うこの土の学園の校長もやっておる! 先程魔王様より言われたクラス分けのテストを今から行う! 各自試験官の先生に呼ばれたら試験を受ける様に! それじゃ! 健闘を祈るぞ!」
ノームがそう言うと校舎の映像は消える。
(えぇ~ 試験あるの? 私勉強したことないんだけど…… 大丈夫かな……)