ゴレの家庭事情①
ここは特別クラスの教室。
黒板には『自習』の文字だけが書かれており、 マド達はいつもの感じで話をしていた。
「今日も実技の授業は自習かぁ~」
「そうですわね! 担当の『さ迷っている鎧』の先生、 初日の挨拶以降見ていませんわね」
「……確かに」
3人は初日の授業の様子を思い出す……。
「いいですかッス!? 今日から私が実技の授業の担当をしますッス!! さ迷っている鎧ッス! よろしくですッス!!」
教室には元気な声で明るい女性の声が響いていた。
「……」
少しの間沈黙した空気が流れる。
「君達! さ迷っている鎧の先生の話をしているの?」
キラーマジンの1人がマド達に話かけてきた。
「え……っと……」
「オレ? オレは一郎! それよりもさ迷っている鎧の先生の話なんだけど」
「何か知っているのですの?」
「まぁ、 ウチの母ちゃんが知り合いだったらしくこの前話をしたら『あぁ~! あの娘ですか? ワタシの知り合いです! 昔から迷子によくなってたですよ!』って言っていたから、 もしかしたら今もどこかをさ迷っているんじゃないかな?」
「……遭難しているかもなのね」
「そうかもしれないし、 オレの方も情報はこんなもんしか知らないんだ」
「先生…… お腹空かせてないかな?」
一郎の話を聞いてマドは心配そうに呟く。
「ちょっと~! なになに? 俺も話に混ぜてよ~」
一郎と同じ顔の1人が話に割り込んでくる。
「こら! 三郎!! いきなり話に入ってくるなよ!」
「なんだよ~ 一兄貴! 自分だけ可愛子ちゃんと話そうたってそうはいかねぇぜ!! お嬢さん方! こんな何にも取り柄のない兄貴なんかと話すより俺と将来について話しません……(溜め)っか!?」
三郎はチャラく話したかと思えば突然紳士ぽく話したりして忙しい。
「えっ……?」
そんな三郎を見てちょっと引く3人。
「ご、 ごめんな! ウチの弟がアホな事言って!」
「ちょっと待てよ~! 一兄貴! 今の言葉は例え兄貴でも聞き捨てならないな~!!」
「あぁ~? やんのか? コラ!!」
「2人共! やめなさい!!」
一郎と三郎の睨み合っている間にまた1人同じ顔が割り込む。
「二郎!」
「二朗兄貴!」
「まったく…… クラス内での暴力行為は停学になるかも知れませんよ? 母さんが知ったらどうなるか位は想像つきますよね?」
「「うっ……」」
二朗の話を聞いて一郎と三郎は黙る。
「すみませんでした! 僕の兄弟がお話の間に割り込んだだけでなくご迷惑を!」
「い、 いえ! 大丈夫だよ! 気にしなくていいよ~!」
二朗はマド達に頭を下げるが、 マドは笑いながら手をパタパタする。