第2回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞 への投稿作品
平成生まれの聖女
よく晴れたお昼時、公園を通り抜けしていた ゆいこ。
ゆいこ『あの娘は、何をしているのかしら』
ベンチに独り座って、特に何もしていないように見える若い女性を見付けた。
ゆいこ『もしかして 平成生まれの聖女かしら?』
話しかけようとしたら、何やら音がして平成の聖女が、消えた!?
咄嗟に辺りを見渡したら、視線の端にビルの屋上を跳んで行く姿が見えた。
急いで後を追ったが、見失ってしまった。
ゆいこ『新型だからってェ~!足が早ければいいってもんじゃないんだからねぇ~』
とぼとぼ、当てもなく歩いていたら、マンションから出たきた平成の聖女と鉢合わせ。
平成の聖女『終わったょ』
と言って、消えた。
ゆいこ『な!何なのあの娘はァ~』
次の日、昨日とは違う公園で平成の聖女を見付けた ゆいこ。
話しかけようとしたら、昨日と同じ音がして平成の聖女が消えた。
携帯電話を知らない ゆいこには、平成の聖女が取り組んでいることを知るよしもなかった。
ゆいこ『新型だからってェ~!足が早ければいいってもんじゃないんだからねぇ~』
負け犬の遠吠えにしか聞こえない。
ゆいこ『これが、旧型になったってことなの?』
不意に背後から
平成の聖女『貴女は昭和の聖女?』
ゆいこ『聞かれてたァ~』
とかって、驚いてしまった ゆいこ。
今更ながら毅然としてみる ゆいこ。
ゆいこ『私は、昭和生まれの聖女ゆいこ。貴女は?』
平成の聖女『アドレス送るから、携帯出して』
ゆいこ『ぁどぉれぇすぅ〜 けェ~たァ~いィ〜?』
平成の聖女『うわ~ これが、噂の昭和のぶりっ娘?!』
平成の聖女『始めて見たァ~ うけるぅ〜www』
凍りつく ゆいこ。
暫し沈黙。
平成の聖女『私は、平成生まれの聖女ひろ子』
我に帰る ゆいこ。
ゆいこ『ひろ子 宜しくネ( 〃▽〃)』
ゆいこ『ところで、公園で何をしているの?』
ひろ子『ゆいこは、電話を知らないの?』
ゆいこ『電話くらい知ってるわょ~。黒くて、ジーコジーコダイヤル回すやつ。それくらい知ってるわょ~』
気のせいか、ひろ子が後退りしたように感じた。
ひろ子『ァ~。黒電話ネ。』『そうじゃなくて』
と言ったところで、ひろ子の携帯が鳴った。
突然、手のひらサイズの何かに話しかけている ひろ子を茫然と見つめる ゆいこ。
話し終わったと思ったら!ひろ子が跳んだ。
必死に後を追うが、離されて見失った。
ゆいこ『新型だからってェ~!足が早ければいいってもんじゃないんだからねぇ~』
ゆいこ『ひろ子は、いったい何をしているの?』