表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

僕が願うものは

気分で書いている作品です。は?ってなる部分も多いと思いますがご了承ください。

エピローグ


ここは神に願うことで誰でもひとつだけ特殊能力を手に入れることができる世界。ただし、自分の欲しい能力が絶対手に入るとは限らない。神の気まぐれで三択に絞られ、その内の一つを手に入れることができる。

もしあなたがひとつだけ、特殊な能力を手に入れることができるならばどんな能力がほしいですか?

 

 第一章


「神様、ぼくにも特殊能力をください。どんな能力でもいいです。人を助けられる能力をください。」

 まだ少年といっても怒られなさそうな身長の十六歳の男子が神に問いかける。生まれた時から能力を持っているわけではなく、神に会いに行き、願うことで能力を手に入れる。神に願えばだれでも手に入れることができるが、神と出会わなければ願うことさえできない。神に出会う条件などは解明されておらず、強い意志や善意を積み重ねることで出会うことができるのではないかと考えられている。

 神は少年の願いに問いかける。「私に出会って手に入れることができる能力、それを私利私欲に使うのではなく、他人のために使うのか?」

 少年は神の問に答える。「はい。ぼくのお父さんは国を守るために戦争に兵隊として行き、死にました。お母さんも僕を育てるために休む間なく働き、過労で倒れました。でも、ぼくは誰かのために何もできることがありません。どうか、人を助けられる能力をください。」

 少年はただ、誰かを助けたくて願っただけだった。しかし、能力は神が気まぐれで三択に絞る。

「わかった。では、お前に人を助ける能力をやろう。」

神は不敵な笑みを見せ、少年に能力を三択から選ばせる。

一つ目。武器を使わずに対象物を破壊する。

対象物は内臓なども指定できる。能力の使用量や範囲によって体力を消耗する。

二つ目。時間を巻き戻す。

制限はないが、巻き戻した世界は並行世界であり、元の世界はそのまま進んでいく。

三つ目。どんな怪我を負ってでも回復することができる。

自分だけでなく、他人にも使える。ただし、他人を助けるには自分の命を削ることになる。

 「さあ、選ぶがよい。敵を殺して仲間を助けるか。今の世界を捨てて助けるか。自分の命を削って助けるか。」

 少年は絶句した。純粋な少年は神ならば誰でも救うことができる能力をくれると思っていた。しかし、現実はそう甘くなかった。

 神は固まってしまった少年に話を進める。

「世界がそんなに甘くできていると思ったか。もしそうならば私の力で戦争など起こらせん。これだから人間は面白い。さあ少年よ、早く選ぶがいい。」

「…神様は、人間が争うことを楽しんでいるのですか?それとも、不幸な目に合うのを見るのが好きなんですか?」

「もちろん死ぬことは好きとは言えない。しかし、利益のためだけに同じ民族で争って不幸をばらまくなんて見ていて面白いであろう?人の不幸は蜜の味ってやつだ。」

少年は純粋な気持ちで人を救いたかった。しかし、少年も自分の命は大切にしたい。

「…一つ目の武器を使わずに破壊する力をください。代償が大きすぎます…」

 少年は仕方なく破壊能力を得ることにした。しかし少年はあきらめなかった。敵を殺さずに絶対助けてみせると。

 「よし、お前の願いをかなえよう。その能力は使い方を間違えれば何もかも破壊できる。気をつけよ。」

 神はちょっとした助言をはさみ、少年の目の前から消えた。

 少年は能力を手に入れた実感がなく、本当に能力を手に入れたのか不安ではあるものの、家に帰ることにした。少年は戦争で亡くした父親の墓参りに行き、神と出会ったのだった。                 

家は今ではボロボロの団地の一角にある。帰るついでに商店街に寄り、リンゴを買おうとしたその時だった。

―ドンッ

突然、大きな地震が少年のいる地域を襲った。パニックに陥って泣き叫ぶ子供達、崩れ落ちてくるコンクリートの壁。少年はうずくまりながら落ちてくるコンクリートの壁の下を見た。なんとそこには十四歳程度の少女がいた。

このままでは押しつぶされてしまう…!

少年は少女に向かって落ちてくる瓦礫に手を伸ばし、力いっぱいに右手を握りしめた。

―パァンッッ

ものすごい衝撃音が風を切り、瓦礫はバラバラに散らばった。

少年の能力によって瓦礫が破壊されたのだ。しかし、力を込めすぎた。破片は砂レベルにまで粉々になり、体力を完全に使い切った少年は視界がぼやけ、倒れながら少女が生きていることを確認した。

「…よ」

「…少年よ」

神が少年の目の前に現れた。

「…なんで…神様が僕の目の前に…?」

「安心しろ。ここはお前の夢の中だ。現実ではない。お前は、物を破壊する能力で少女を助けた。そうやって人を殺さずに助けるとは、さすがだ。だが、威力が強すぎる。お前まで倒れてどうするんだ。次からは気を付けるんだな。」

 神はそう言って消えた。

「んん…」

 少年は目が覚めた。ゆっくり目を開けると少女の顔が目の前にあった。

「!!起きましたか!!!どこか痛くないですか!?」

突然話しかけられた少年は驚き少女から離れようとした。そこであることに気づく。

「あれ、ここはどこ?僕はたしか商店街で倒れていたはずなんだけど。」

 少年はベッドの上にいた。しかもどこかの家の。

「ここは私の家です。瓦礫が降ってきて、もう駄目だ…とあきらめた時に瓦礫が爆散して。それを見ていた人があなたを助けたと。恩人を置き去りにはできなかったのでここに運びました。」

「わざわざありがとう。ところで、君の名前は?」

 どう返信すればいいのかわからない少年はこう答えるしかなかった。

「私の名前は友里です。あなたは?」

「友里ちゃんか。僕は直人。わざわざここまで運んでくれてありがたいが、母のいる家を見に行きたい。あの商店街の近くなんだ。」

 そう話した時、ドアが開き、友里の父親と母親が部屋に入ってきた。

「娘を助けてくれてありがとうございます!この恩をどうお返しすればいいか…」

「いえいえ、ぼくのできることをやったまでです。母に会いたいので帰らせてもらいます。わざわざここで休ませていただきありがとうございました。」

 直人は挨拶を済ませると急いで友里の家を出た。彼女が何か言おうとしていたが、あの地震では家が崩れていてもおかしくないのだ。

 しかし、家のあたりを見て固まってしまった。

「ここはどこだ…見たことのない景色だ…」

 すると、友里が飛び出してきた。

「待ってください!ここから商店街は十五キロ近くあります!」

 直人は耳を疑った。彼女は十五キロも離れた彼女の家までぼくを運ぶことができるのか!?

「どういうことだ!?どうやってぼくをここまではこんだ!?」

すると友里は落ち着いて話しはじめた。

「私はあなたと同じように特殊能力を持っています。空間移動でここまであなたを運んできました。今すぐにあの商店街に戻るのであれば、私につかまってください。」

 直人は早く母親に会うためにすぐに友里の手を取った。

「それでは、いきますよ!」

目の前が真っ白になる。めまいがしたような感じだ。めまいが治り、目を開けると、滅茶苦茶になった商店街のど真ん中にいた。その光景に言葉を発せなくなるも、母に会う、その思いが強く、瓦礫の上を走り始めた。

「あっ!ちょっと待ってください!」

 友里の言葉が聞こえたが、それどころではなかった。

 瓦礫の上を走り続けて数分後、自宅についた。しかし、目の前に広がった光景は崩れた家だけだった。

「お母さん!大丈夫か!?聞こえるか!?」

 直人は叫ぶ。しかし、返事がない。母親がどこにいるのかわからないため、うかつに能力が使えない。

「はあっ、はあっ…おいていかないでください…あれ、直人さん?どうしました?…まさか、目の前の家が…」

「そうだ…でも、どこにいるのかわからないから能力が使えない!空間移動で瓦礫を動かせないか!?」

「残念ですが、瓦礫が重すぎて動かせません…」

 直人は付近にいた人と友里で瓦礫をどかし始めた。

 数十分後、ようやく母親を見つけた。お腹に柱が刺さった状態で。

「うっ…」

 その場にいた全員が何も言うことができなかった。

「この…柱のせいで…お母さんは死んだ…この柱がなければ…お母さんは生きていたのかもしれない…なんで…なんでっ…!」

 直人は柱をにらみつけた。柱がなくても死んでいたかもしれないことはわかっていたが、何も悪いことをしていない母親が死んだことに納得がいかなかった。そのせいで感情が高まってしまったのだ。

「ちょっと!興奮しないで!能力が暴走するわよ!!!」

友里がそう叫んだ瞬間、柱が一瞬膨らみ、母親がいた場所も含めて爆散させた。

―能力の暴走。

感情をコンロロールできなくなってしまい、自身の持っている能力が自分の意思とは関係なく最大エネルギーで放出される現象だ。

友里の言葉はぎりぎりで間に合わなかった。

直人は今持っている体力すべてを使って柱付近を吹っ飛ばし、再び倒れてしまったのだった。

「だから、能力の使い方には気をつけろと…と言いたいところだが、母親が死んだんだからしょうがないか。だが、母親が死んだからとへこむな。その代わりにお前は彼女を救うことができたのだろう?」

「なぜ神様はいつも僕の夢に出てくるんだよ。こんな時くらい何も考えさせないでくれ。」

「今のままではまた暴走する。今度暴走したら彼女まで巻き込むぞ。そろそろ目を覚ますがいい。彼女が待っている。」

「うぅ…」

「直人さんおきましたか?」

どうやら神が言っていたように、友里は直人が起きるのをずっと待っていたらしい。

目を開けると、以前見たことがある屋根が。どうやらまた友里の家に運ばれてきたようだった。

「直人さん、お母さんが亡くなってしまったことは残念ですが、能力を暴走させると周りを巻き込んでしまうかもしれません。落ち着いて、現実を見ましょう。家もなくなってしまったのですし、一時はここに泊まりませんか?」

 友里は直人のために親に事情を話し、立ち直るまででも支援しようとしてくれていた。直人はこれに甘えることにした。

 翌日、二人は直人の家があった場所に行き、何か残っているものがないか探した。昨日の暴走でほとんどのものがなかったが、父親と母親と直人の三人が写っている写真がボロボロになりながらも残っていた。

「懐かしい…お父さん…」

写真の中の父親は笑顔だった。国のために戦い、散った父親。そんな中涙も見せずに直人のために働き続けた母親。直人は歯を食いしばり、決心した。

「友里、ぼくは町中の瓦礫を粉々にするから運んでくれないか?」

「なんか顔が引き締まりましたね。わかりました、私も手伝いますよ。」

いつまでもくよくよしていては何も変わらない。僕は街の復興を手伝うことにした。

しかし後々、能力を幾度も使ったことを後悔することになるとはこの時は思いもしなかった。


第二章

 

 あれから数ヶ月が経過した。二人の活躍により、道路の障害物が素早く取り除かれたため復興がどこの街よりも早かった。

「なんか私たち、能力の相性が良かったね」

「ああ。俺もここまで早く復興が進むなんて思いもしなかったよ。」

 直人と友里の関係も良くなり、タメ語で話すようになっていた。また、友里から「顔も大人になってきたんだし、ぼくより俺のほうが似合うんじゃない?」と言われ、自分のことを俺と呼ぶようになっていた。

 あの商店街の周りと友里の家の近くは復興が早かったものの、まだ他の場所はそこまで進んでいなかった。地震で失職した人たちがこの付近にきては物を盗むなどの犯罪が多くなっていた。

 二人が元商店街を歩いていた時、近くの銀行から非常ベルが鳴った。

「何事!?直人、いってみよう!」

友里がそう言って直人の裾をつかみ、銀行前にテレポートした。

 銀行はすでに警察が囲っていた。どうやら強盗が入ったらしい。しかし、強盗は二人で人質を複数人とっており、うかつに警察が突入できる状況ではなかった。

 この状態が数分経過したとき、強盗が車を要求した。しかし、警察はこれを無視した。

 結果、強盗は野次馬にも見えるように人質を一人殺した。

 そのとき、野次馬の誰かが大声で言った。

「おい、そこに能力者が二人いるじゃねぇか!強盗を殺せよ!」

「!!」

この一言に警察も含め、一斉に直人と友里は注目を浴びることとなった。

「そこの男!お前物を破壊できるんだろ!強盗の近くを破壊しろ!」

「そこの女もテレポートできるだろ!人質を助けろよ!」

彼らは言いたい放題言ってくる。仕方なく、直人は友里に話しかけた。

「俺は目の前にいるやつの腕を吹っ飛ばす。友里はもう一人を警察の目の前にテレポートさせてくれ!」

 しかし、友里はこの状況が相当怖かったのかパニックに陥っていた。

「け、警察の前ね、う、うん、わかった」

その言葉を聞いて直人は人質をとっていた強盗の腕に照準を合わせ、骨から破壊した。腕はちぎれ、犯人がうずくまった瞬間、友里がもう一人を警察の前にテレポートさせた。

させたはずだった。しかし、目の前で起こったのは強盗が地面にめり込み、あたり一面が血まみれになっていた。

「え…なんで…?友里…?」

 友里を見ると、友里は顔を青ざめて失神しかけていた。

 パニックに陥っていたのが原因で移動先の座標を間違えたのだ。

あまりにも残酷すぎたため、警察はおろか、野次馬たちはパニックに。一部の人たちは友里を非難しだす始末だった。

能力の使い過ぎによる悲劇だった。

友里はすぐに直人の裾をつかみ家にテレポートした。その後、友里は自室にこもるようになってしまった。

友里がひきこもるようになってから数ヶ月が経過した。突然インターホンが鳴った。

「はーい」

 直人がドアを開けると、そこには警察が立っていた。

「友里さんと直人さんのお宅はここであっていますか?」

「どうして警察がここに?」

 どうやら、警察は以前の強盗事件の時の能力を見て、その能力を生かした特殊部隊に誘おうとしていたらしい。

「以前から能力者による犯罪に困っていまして、能力者には能力者を、と考えているのです。」

 直人自身はこの部隊に参加することは問題なかった。しかし、友里にはつらい思い出でもあり、何より母親と父親がいる。彼らが賛成するとは考えられにくかったのだ。

 とりあえず警察には両親が帰ってくるまで待ってもらい、友里に事情を話して全員での会議となった。

「娘が危険な場所に行くのならあまり賛成したくない。しかし、このまま家でこもっているよりはましだろう。あとは彼女の判断にまかせる。」

 意外なことに、両親は完全に否定するのではなく、友里に決めさせることにした。

 友里は直人に問いかけた。

「…直人は行くの?」

「俺は行く予定だ。俺は人を救うためなら危険でもいい。」

 友里はこの言葉を聞き、数分迷ったものの、「行く。」と答えた。

「私だけでは何もできないけど、ほかの能力者と一緒なら…」

こうして、二人の活躍は世界へと広がっていくのであった。


最後まで読んでくれてありがとうございました。批判でもいいので評価をくれるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ