2人の距離
ボフンッとベッドに横たわり、今日あったことを思い出す。
(本当に彼女だった…ってことはやっぱり20歳になると死ぬってことか…?どうすれば彼女を助けられる?)
額に手を乗せ「あぁ〜…どうしよ…」とぼそっと独り言ちる。
全くアイディアが思い浮かばない。
なにしろ、いつどこで死ぬのかも分からないのだから。
(確か…彼女は3年になったら付き合うって言ってたよね。
それなら3年になる前に付き合うことが出来れば何かが変わる?)
まぁ、そんなことはただの建前で本当は一刻も早く彼女を俺のものにしたかっただけだ。
皆が彼女の魅力に気付き始めていた。
だから、誰かに取られないようにすぐにでも彼女と付き合いたいというのが本心だった。
(そうと決まれば彼女に近づかなきゃ。幸い席は隣だからきっかけは多いはず…!勉強…はできていた。校内もクラスの女子達が案内すると言ってたし…何か共通の話題とか?やばい、全然思い浮かばない…女子と関わってこなかったツケがここで回ってくるのか…)
女の子が喜びそうな話題を提供できる自信が無い。
悶々と考え込んでいる内に、はぁ…と今日何度目かも分からないため息が無意識にこぼれる。
そのまま寝落ちしていた俺は、次の日いつもより早く目が覚めた。
準備を終えた俺は「いってきまーす」と声をかけ、普段の30分も早く家を出た。
時計を見て、まだ誰も来てないよな〜、一番乗りだなと思いながら教室のドアを開くと、次の瞬間俺は自分の目を見開いた。
(え…?明日香??なんで、もういるんだ?)
驚きながらも「おはよう。学校来るの早いね。」と挨拶すると、明日香も驚いた顔で挨拶を返してくれた。
「お、おはよう。なんかいつもより早く目が覚めちゃって…早めに学校に来て色々見てたの」
照れた顔で「一ノ瀬君もいつもこんなに早く学校来てるの?」とコテンと首を傾げ質問をしてくれた。
可愛いな、おい。
「いや、俺もいつもより早く目が覚めちゃって。」
「そっか。おんなじだね。」
えへへといった感じで可愛く笑うから気を引き締める。
もう一度言おう。
可愛いな、おい。
俺が席に着くと明日香も席に着いた。
「そういえばさ、昨日授業大丈夫だった?分からないところとかなかった?」
「うん!大丈夫だよ、ありがとう。」
「勉強得意なんだね〜」
「行きたい大学があって、いっぱい勉強してるんだ!」そう言って明日香は笑顔になりグッと拳を握った。
「そっか!難しいとこなの?」
行きたい大学という言葉から情報を集めようと話を聞く。
「うん。私ね、獣医になりたいんだ〜。だから結構難しくて…」
「すごいね!応援するよ!俺も勉強得意な方だから分からないところは聞いて!力になりたいから!!」
「ふふ、ありがとう」
俺たちはその後もたくさんの話をして笑いあった。
少しは距離が短くなったかな。
今日に限って皆来るのが遅かった。
グッジョブ!