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20歳の君から17歳の俺へ  作者: 暁 ひらり
終わりと始まり
5/8

転校生 2

月曜日。


彼女は担任に連れられて教室に入ってきた。


緊張した面持ちでクラスの皆を見ている。


クラスの皆は静かに彼女を見つめている。


いや、見惚れていると言った方が正しいかもしれない。


柔らかな雰囲気を纏った彼女は緊張からか大きな瞳を潤ませ頬を赤く染めて立っていた。


ダークブラウンの癖のない髪と同じ色をした瞳はより一層彼女の魅力を引き立てていた。


(あぁ…彼女だ。あの時の姿より幼く髪も短いが間違いない。本当に転校してきた…)


あの時出会った彼女は、腰付近まで髪を伸ばしていたけれど、今のボブの髪型もよく似合っている。


そう思って彼女を見つめていると目が合った気がした。


クラスの皆を見渡していたのだから目が合って当然なのだが、ドキッと心臓が跳ねた。


あぁ、彼女を死なせてはいけない。


助けなければ。


そう強く強く思った。


先生が黒板に彼女の名前を書き、自己紹介を促した。


「一ノ瀬明日香です。よろしくお願いします。」


彼女は少し震えた声で自己紹介をし、深くお辞儀をした。


やっと知ることが出来た彼女の名前に嬉しくなり思わず目を細め拍手をする。


皆が拍手をするとホッとした顔をして彼女は微笑んだ。


その笑顔が俺を含めた皆を魅了することを知らずに…


先生に空いている席に座るように言われ、彼女は俺の隣の席に座った。


「佐々木千尋です。よろしくね」そう言って微笑むと、彼女は少し頬を染め恥ずかしそうに「よろしくお願いします」と答えた。


俺は浮き足立つ心を静めながら言葉を紡ぐ。


「何かわからないことがあったら聞いてね。授業のことでも学校のことでも。」


「ありがとうございます。」


「いえいえ。ねぇ、俺たち同級生なんだから敬語じゃなくていいんだよ?」


「あ、うん、そうだよね。ごめんね、ちょっと緊張しちゃってて敬語になっちゃってた」


そう言って照れたように笑って答える姿にまた心臓が跳ねる。


(やばい、どうしよう…まだ初日なのに…落ち着け俺!)


"明日香"に会ったのは今日が初めてなのに好きだと思う。


"彼女"の笑顔に一目惚れして、明日香に出会って、また恋に落ちた。


あぁ、きっと俺は彼女じゃなきゃダメなんだろう。


この先彼女しか愛せないだろう。


そう確信した。


だからこそ俺は明日香に関わっていく。


例えそれが好きになった彼女との約束を破ることになっても…

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