地下工場?
前回の続き。
国防省の会議室。
副長官ほかの幹部が数人。
情報収集担当の将校が発言した。
「今回の件ですが、疑問がないわけではありません。
結び付くかどうかはわかりませんが、
何かの強い毒物、ごくわずかの量で致死作用がある毒物は、
いくつかの国に研究機関があり、ひそかに製造されている可能性があります」
刑事は、「偵察衛星による捕捉は?」
「おそらく、地下工場と推定されます。地上にはふつうの工場があり、
そことエレベーターや広い通路でつながっていると推察しています。
地上の工場に、トラック全体が入れる倉庫があると、
原料や資材などの搬入、製品の搬出までは捕捉が困難です。
乗用車については、リアガラスやリアウィンドウにカーテンが引かれていると、
誰が乗っているのかを解析するのは至難です」
「わが国に、暗殺などを実行する要員を送り込んでいる?」
「それも否定できません。ここは大都市なので、すべての人が何をやっているかを把握するのは、容易ではありません」