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幕間①
本編とは全く異なる場所の誰かの夢の中です。
………………夢……か。
柔らかい光が降り注いでいるのを感じ、ゆっくりと瞼を開けてみる。
青々とした新緑の若葉がいくつも付いた大きな木の根元にいる様だ。
木漏れ日が気持ちいい。
まるで、あの日、あの子と過ごした場所と錯覚してしまいそうだ。故に…夢と断言できる。
思わず空に向かって手を伸ばしてしまう。ナニカを…取り戻さなければならなかった…様な気がする。
つい、さっきまで手の中に確かにあった…温もり…、が……薄れていく感覚…。
だんだんと重くなる瞼を、流されるままに一度閉じてみる。
…そうだ、思い出した。私は確かに、願ったのだ。
もう一度、あの子に、あの子の魂に会いたいと。触れてみたいと。
だからこそ私は払ったのだ、その願いに見合うだけの対価を。
私は…出られるのだろうか……
このまどろみの様な牢獄から
……目が覚めるのだろうか……
この果てしない、懐かしい夢から
やがて、だんだんと意識が薄れ、深く、深く、奥底まで堕ちていく。
夢の牢獄を壊すきっかけが、まだ足りなかったのだ。
ただ、彼女は眠り続ける。