1.いつもの様に始まる幸せな登校
もし、あの子にもう一度会えるなら…賭けても良いのだろうか………
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ピピッピピッピピッ
聞き慣れた電子音がいつもの調子で私を起こす。
「………ん〜………ねみぃ」
おはよう、とベッド脇に積んであるぬいぐるみ達に言い、欠伸を1つ。
ああ、もうあと5分眠っていたい…が、ウカウカしていると、こわ〜い鬼が部屋に入ってくるからそう言ってもいられない。
近くの椅子にかけてあった制服を掴み、もぞもぞと着替え始める。横着をして、布団の中で寝間着を脱ぎ、制服のスカートを半分ほど履き終えたところで、
………ああ…これ、このまま寝れる…
そんな感じで中途半端な格好で居ると、ドンドンとドアを叩く音と共に、件の鬼がやって来てしまった。
鬼?「シャル!朝よ!…コラ!そんな格好で寝るな!」
私「ひゃい!」
首根っこを掴まれ、私はベッドから引きずり出されることとなった。
私「………くそぅ、今日こそは鬼が来る前に着替え終えようと思ったのに…」
鬼?「誰が鬼ですって?」
私「な、なななナンデモナイデス…ハイ」
さて、この目の前にいる鬼ゲフンゲフン…もとい超美人の女性はシルビア。私の母である。料理洗濯掃除裁縫と、家事全般大の得意と、所謂スーパーママである。ひそやかな自慢でもあったりするが、そんなスーパーママも朝っぱらから鬼も泣いて逃げるほどの怒気が出ているのは、私のせいではないと…言いたい。
ママに見張られつつそそくさと着替え終え、リビングへと朝食を食べに行く。今朝のご飯は…チーズ入りベーコンエッグとトースト!やった!大好物!
シルビア「早く食べて学校行きなさい。そろそろクレハちゃんが来る時間よ」
私「ふぁーい(もぐもぐ)」
大好物をもぐもぐと食べ、鞄と運動着を持って玄関を飛び出すと、家の門の前で私と同じ制服を着て、背中に天使の翼を持ったゆるふわな少女が笑顔で右手を振ってくる。
天使ちゃん「シャルちゃ〜ん!おっはよ〜!」
私「おはよ!クレハ!」
私はこんな天使ちゃん、もといクレハのお胸へダイブする。クレハは苦笑しつつも受け止めてくれるのが友情というものか。
クレハ「行こう、シャルちゃん。遅刻しちゃう〜」
私「そうね!なら、今日も今日とて全速力よ!」
クレハ「と言いつつ飛ぶのは私っていうね〜」
私はクレハの腰を背後からがっしりと掴む…というか抱きつく。そして一言、
私「『風よ(ウインド)』」
次の瞬間、私が抱きついたクレハはまるで万有引力の法則から抜け出したかの様に、フワリと地面から脚が離れ、浮かんでいく。
そう、私は魔法を使って、クレハを浮かし、風に乗れる様にしたのだ。
クレハ「んじゃ、いっくよ〜!!」
それはまるで放たれた1本の矢の様に。真っ直ぐ飛んでいく。そして徐々にその飛ぶ高度が高くなるに連れ、私が住むこの街、クラリスタの様々な建物が一望できる毎朝の楽しみな時間になる。
ここクラリスタは、聖クラリスタ学院を中心に発展してきた、所謂学園都市である。住民は様々で、クレハの様な天翼族、ケモ耳尻尾のある獣人族に、耳の長い妖精族。羊の様な角を持った魔族だったり、着物のよく似合う鬼人族も居る。もちろん私の様に人間も住んでいる、多種族が共存できている数少ない都市でもある。
街並みはわかりやすく地球で例えるなら中世ヨーロッパの様にレンガ造りの家が立ち並び、そこかしこに魔族や妖精族の研究塔があったり、大きな図書館、教会もあったりする。そんなクラリスタの中心に、私の通う聖クラリスタ学院がある。
クレハ「は〜い!とーちゃくでーっす!」
私「ぴぎゃっ」ズルッドチャッ
急停止しないで…は、鼻が……
女教師「…………はぁ、そこの二人。早く入れ、じゃないと門を閉めるぞ?」
私「あ、待って。待ってください!」
学校の正門前に居た女教師…ラン先生にいわれ、私たちは慌てて門をくぐる。先生は苦笑しながらも私達を通してくれた、と同時に門を閉じてしまった。登校時間ギリギリだった様だ。
ちなみに、このラン先生は私達2人がいるクラスの担任でもあったりする。また後でホームルームの時間で会うだろう。挨拶もそれなりに、教室へと向かう。
今日から私達は中等部2年生。
始業式前の、そんなひと時だった。




