バルドの報告
「……お兄様?――なぜ、そのようなお姿に!?」
赤子の姿になられた坊ちゃまを前にして、すぐにそれが兄君だと認められた王女殿下はバルドの許へと走った。
腰を落とし、王女殿下に坊ちゃまがよく見えるよう石床へ跪いたバルドの表情は硬い。
「書簡にも記したように、主は魔力を奉納した直後に枯渇状態に陥られました。赤子の姿をとることで最悪の状態にならずに済んだようです。……しかし、この姿になられてからは言葉を話す事が出来なくなり、魔力の保有量もほぼ底をついた状態になられております。今後、魔力の回復がはかれるようになれば、元に戻られるのでしょうが」
淡々とそう語るバルドにノディアクスからの叱責が飛んだ。
「なぜこのようになる前にお止めしなかった!そなたは何のために陛下のお側に仕えておったのだ!!」
王の護衛騎士でもあるバルドは唯一、坊ちゃまからお側にいることを赦されている側近だ。
騎士見習いのころより、どこへ行くにも必ずつき従ってきた。それは幼い頃から無茶をして魔力を高めてきた坊ちゃまについて行けるのが、この息子だけだったからということもあっただろう。
だが、坊ちゃまは人の話に全く聞く耳を持たぬ方ではない。御身を案じてのこちらの言葉には、ご自分の意思を抑えて下さって来たのだから。
激昂したノディアクスがバルドに詰め寄ると、それを止めるかのように声があがった。
「だぁぶっ、あ――だぅ」
愛らしい赤子の声に振り返り、坊ちゃまの姿を見て目頭を押さえたノディアクスは、その場に弱々しく膝をついた。
「陛下、なんと嘆かわしいお姿におなりに……!」
くず折れるように男泣きを始めたノディアクスを見て溜め息を吐く。
二十年以上の歳月を掛けてお育てしてきた陛下が赤子に戻り、言葉も交わせないとなれば彼にとってその衝撃は心折れるほどに大きかったのだろう。
その姿を見て苦々しい表情をしたバルドは、赤子の足をぶらぶらさせた状態でわたしの許へ連れてきた。
何も言わずに坊ちゃまを受け取ると、息子は安堵したような様子を見せる。
そのまま顔を背けて息をもらしたのを見て、まるで子どもの頃のように苦手な物を視界に入れたくないようなそぶりだと思い、はたと気付く。
……あぁ、そういえば子どもの頃に可愛がってた鳥のヒナを、転んだ拍子に握りつぶして以来、小さくて柔らかい生き物に触れるのが苦手になったんだったか。
強張った身体をほぐすように大きく息を吐いたバルドは、ベルニアでのことを語り始めた。
「ベルニアの地は予想以上に酷いありさまでした。王都近くにあった火山が噴火し、周囲一帯は灰で覆われている状態です。大分前から宮廷は機能していなかったのでしょう。王城内は廃墟のようでした。謁見の間に近づくほどに酷くなる瘴気は予想をはるかに超えていて、私ですら息苦しさを覚えるものでしたから。儀式の間はそれ以上……。おそらく、ベルニア王やその側近たちは狂っていたのではないかと思われます」
「狂っていたですって……!?」
バルドの不穏な言葉に顔を上げた王女殿下は、驚きに目を瞠っている。
「えぇ、なんとか儀式の場に行きついた我々は、おぞましい物を目に致しました」
それを語る息子の顔には、はっきりとした嫌悪が浮かんでいた。
儀式の場へと近づくほどに濃さを増す瘴気。
王宮に広がる瘴気の根源となっていたのは、儀式の場で無残に殺された者達の骸。神聖な儀式の場であったはずの白い床はどす黒く染まり、中央にある魔法陣は張り付けにされた人柱で覆い尽くされていたという。
中心に見える色は黄赤。外へ行くほどに赤、茶褐色へと変わるその色は血に染められたローブ。ベルニア王に選ばれた者のみが身につけられるそれは、ベルニアの王宮官吏が身に纏うものだ。
ベルニアの高位魔術師が朱色を身に纏うのは、鮮やかな朱銀の鬣をしていたと云われる自国の竜を表す色であるため。
ローブは魔力の強いものほど明るさを帯びた色になる。これは自身の魔力が吸収される魔法具であるため、一人ひとりその濃淡が変わる。
そして、我がティルグニアでも、王宮官吏には黒色のローブが支給されている。
坊ちゃまが正装した際に身につけられるものには、蒼穹を思わす鮮やかな青に銀の刺し色が入っていた。だが、同じ素材で作られているバルドのローブは黒に近い群青。
現在の我が国では、高位の魔法使いとされる者でも群青から青の中間色を出せる者しかいない。
「その場所も魔獣たちによって酷く荒らされたあとでした。すでに王城内には人の気配も魔獣もおりませんでしたが、我々が儀式の場から出て玉座の間に戻ると、そこに女人の姿がありました」
……女人だって?
たった今、人の気配が無かったと語ったその口で、女がいたと言うバルドの言葉にひっかかりを覚える。一度言葉を切ったバルドは坊ちゃまに視線を向け、一つ頷き口を開いた。
「その方は自分から名乗ることはありませんでした。だが、その容姿を見てその女人が誰か分からぬ者などおらぬでしょう。朱銀の髪に金の瞳。……そして、その者が我が主から魔力を根こそぎ持って行った張本人でもあります」
気がつくと手が震え、ぼっちゃまを抱きしめる腕に力をこめていた。腕の中の赤子を見れば、眉を寄せ心配そうにこちらを見上げている。
王女殿下のお側へと足を踏み出そうとした時、絞り出すような声が聞こえてきた。
「また竜の一頭が目覚めたというのか!」
ノディアクスの叫びが、隠れ塔の中に重く響く。
国の礎として彼の地で眠るとされている伝説の竜、ベルニア。
竜は昔語りとして人々の間で恐れられ、畏怖されている対象ではある。だが、竜が伝説の中に生きるだけの存在ではないのだと我々は身を持って知っていた。
よろけそうになる足を叱咤して王女殿下の許へ歩み寄り、坊ちゃまとともに腕の中へ抱きしめた。
震える頤を坊ちゃまの小さな身体に寄せる王女殿下の姿を憐れに思い、くしゃりと顔が歪む。
この寄る辺ない兄妹を守れる母はもう、ここにはいない。
すでに、持てる力の限りを尽くして子どもらを守り、亡くなられたのだから。
初代ティルグニア王がその名を戴くことになった建国の竜。
その黒竜はもう、我が国の礎には存在しない。
20年ほど前のある日突然に、ティルグニアを襲った彼の竜は黒雲のごとく城の上空に現れた。
次々と破られて行く結界と、容赦なく繰り出される攻撃魔法に我々は為す術もなく逃げ惑い、少なからず犠牲が出た。
雷鳴とともに宮城の庭に出現した黒竜を見上げた瞬間、我々は硬化の魔法にかけられていた。
後から考えれば、その魔法を行使したのは王妃だったのではないかと思う。
だが、それを確認することはもう叶わない。
我々の目の前で一人、黒竜へと対峙したのはその当時2人目のお子を腹に宿していた王妃だった。
我が国で最大の魔力を持つ王妃自らが矢面に立ち、そして、全身全霊でもって復活した黒竜を討ち果たしたのだ。
しかし、ティルグニアに生きる大多数の者にその時の記憶は残されていない。
王妃にはそれを可能とする魔力があった。
だが、体力と魔力は別物。
黒竜の雷撃や爆炎の攻撃に曝された王都は焼け崩れていた。だが、その惨状は見る間に修復されて行った。
やっと自分達が動けるようになったと気付いた時、そこには、地面に伏し腹を抱える王妃がいた。そしてそのまま、王妃は最後の力を振り絞るようにして姫を産み落とされたのだ。
『――…ホエァ、ホエァ、ホエァ……』
室内に響くのは新生児の元気な産声。
分娩室に割り当てられた清潔室には、出産を終えたばかりの王妃と宮廷医師のフィロン、侍女頭でありながら王太子の乳母も兼任していた自分がいた。
黒竜の言霊を受けた王妃の出産には必要最低限しか人員を置かず、外では前ティルグニア王陛下の指示で万全を期した受け入れ準備がされていた。
「……フィロン先生……これは……」
これが尋常な出産で終わらない事は覚悟していたつもりだった。
だが、羊水で濡れそぼった濃い紫の毛が、赤子の全身を覆っている姿は、フィロンにも当時の自分にも衝撃が強すぎた。
「……ううぬ、アニヤ殿、産湯は別室で行うがよかろう。急いで連れて行ってくれ」
どう見ても獣の仔でしかないその赤子が、人の子と同じ産声を上げて泣く。
その異様に唇が震えた。
フィロンから手渡された赤子を清潔な布で受け取ると、手の平にすっぽりと納まる大きさでしかない赤子はその身を丸くし、産声は小さなものになった。
小刻みに震える小さな獣の仔。その目は閉じたまま、開くそぶりはない。
「……フィロン、赤子はどうした?産声が聞こえなくなったようだが……」
か細い声を上げ、己の子を心配する王妃の声を聞き、咄嗟に扉へと駆けだした。
弱っている王妃にこの子を見せるのは酷だ、とそう思って。その場を逃げるかのように……。
「ご心配なさるな王妃よ。赤子は元気じゃが、今から産湯につけるからの。対面はしばしお待ちくだされ」
「……アニヤ」
扉を開けようとしていた自分の後ろから、王妃の通常より幾分か低い声がかかり、びくりとその場から動けなくなった。
「……シルヴィア様、しばしお待ちくださいまし。すぐに赤子の体を清潔にしてやらねばなりません。ゆっくりとお休みになってお待ちになってください。貴女様は大仕事を終えたばかりの身なのですから」
平静を努めて言葉を並べるが、振り返ることはできなかった。腕の中にあるおくるみをただじっと見つめることしか出来ない、我が身の不甲斐なさよ。
妃殿下の目がこちらへ向いているのを痛いほどに感じ、身動きする事も出来ずにいた。
「……アニヤ、私にはあまり多くの時間は残されていないのだ。お願いだから、私の子を抱かせておくれ」
優しく諭すように紡がれる言葉に、喉の奥が引きつった。
込み上げてくる熱い物が頬を伝い、おくるみへとしたたり落ちていく。
この王妃の口から、そんな弱気な言葉が出る日が来るだなんて、考えた事も無かった。
いつだって自由奔放で、周囲を困らせ、それでいて皆から好かれていたシルヴィア王妃。彼女の驕ることのない強さに、ぶっきらぼうな優しさに、自分はずっと憧れていた。
背後に感じる強い視線、それに抗える事など出来る筈が無い。彼女はもう悟っているのだ。己の体に限界が訪れていることを。
とぼとぼと、部屋の一角に用意してあった湯桶へ向かうと、小さく笑う気配があった。
「アニヤ、そんなに落ち込むな。お前のせいではないだろう?」
「……ぐしっ……黙っててくださいよ。すぐに、連れて行きますから。お願いだから、安静にしてください……」
王妃の姿は満身創痍といった言葉でも言いつくせぬ程に、衰弱していた。
張りのあった肌は枯れたように赤黒く変色し、美しく長く伸ばされていた銀髪は焼け縮れてしまった部分が切り落とされ、無残なものになっていた。
深い熱傷を負い、炭化している部分はどんな癒しの魔法でも回復させることは叶わず、布で巻かれているのも痛々しさを隠すためだけの処置だった。
産湯につかり濡れた毛が乾かされた赤子は、フィロンの見立てによって姫であることがわかった。くるりと丸まっているその身体に、もう震えは見られない。
「ふっ、かわいらしいな……」
呪われた姫の姿を見ても、ただ、かわいいと微笑み、産んだばかりの我が子にたった一度、初乳のみを与えられ眠りについた王妃。
彼女の言葉を聞いたのは、それが最後になった。
坊ちゃまが王の名を、そして自分の幼名を厭い、呼ばれることを拒否される様になったのは仕方のないことだ。
大好きだった母君はその名を持つ黒竜に殺されたも同然なのだから。
けれど、その主張が許されたのも、王妃の後を追うようにして崩御された父王から王位を引き継ぐまでの事。
最愛の王妃を失くされた陛下の慟哭もまた酷いものだった。
嘆き悲しむ陛下はついにお身体を壊し、一年の時を病床ですごし最期の御勤めを果たされた後に身罷られた。
ついにあの方が姫をその手に抱く事は一度もなく、この世を去ってしまわれた。
戴冠式を終え王となられてからは、坊ちゃまも甘んじてその呼び名を受け入れた。
ただ一つの我がままとして、近しい者にだけはその忌まわしき名も王という尊称も呼んでほしくないと請われただけ。
「……坊ちゃまのこのお姿は、ベルニアから呪いを受けたせいではないのかい?」
弱々しい声しか出せぬままにバルドへ確認すると、違う、という答えが返った。
「ベルニアは主より捧げられた魔力で大地を鎮める礎の魔法を使うと言いました。あの方であれば、穢れてしまった儀式の場を使わずとも、大地への魔力の奉納が可能であると言われ、主はご自身の魔力を提供することを承諾されたのです」
バルドのベルニアに対する物言いが丁寧な事に苛立ちを覚え、思わず口調がきつくなった。
「……お前はベルニアが敵ではないと思っているのかい?自身が持つ膨大な魔力を使わずに、坊ちゃまから根こそぎ、それも枯渇で死ぬ寸前まで絞り取ったって言うのに!」
魔力を奪われたのが唯人だったならば、その場で死んでいたはずだ。魔力操作で体の燃費を抑えるなんて荒業を使える者など坊ちゃまの他にいないのだから。
「ベルニアは、既に崩壊を始めていた大地を支えていたのです。我々が到着した時には銀を帯びていた髪も、次第に光を失っていました。私にはあれが嘘だったとは思えません。主もそう判断されたからこそ、魔力を差し出したのでしょう」
言外に、黒竜とは違うのだと告げる息子に唇を噛んで言葉を呑みこむ。
言っていることは否定できないが、大切な子どもらをこのような姿にした竜達を肯定する事など、自分には出来なかった。
「……その竜は、今どうしているのだ。ベルニア王国は崩壊の危機を脱したのか、お前はそれを見届けてきたのか!?」
大陸を同じくする国のひとつが崩壊すれば、他の大地もただでは済まない。それを正しく理解しているノディアクスは冷静になろうと努め、バルドから情報を聞き出そうと立ちあがった。
宰相の名は伊達ではない。
昔から、彼は必死になってこの国を支えて来た。我らが、仕えるべき主と認めた王妃と王が亡くなったあの時から、彼もずっとここまで駆けてきた者の一人なのだ。
「ベルニアは、取り敢えずの危機は脱したと我々に告げました。だが、穢れてしまったベルニアの大地を元に戻すには時間がかかるとも言っておりました。なぜ精霊がいないのかと訝しみ、ベルニアが崩壊に至った経緯を知って……怒ってもいました。黒竜が滅されたと聞いて大層喜んでおられましたがね。この先は自分が対処されるから帰れと言われ、我々はすぐにベルニア城を出ました」
一度言葉を切り、バルドは深々と頭を下げた。
「……私ではあれ以上、あの場に漂う瘴気から主を護る術を持たなかったのです。申し訳ありません」
ノディアクスはそれ以上責めることをせず、押し黙る。
取る物も取らず出立を決めたのは坊ちゃまだ。バルドにはその場で坊ちゃまの命を護る結界を張るので精いっぱいだったのだろう。
見れば身につけている衣や鎧などの装備は、あちこち傷つき返り血を浴びて、どす黒く変色していた。
瘴気は魔獣を狂わせる。
こちらへ帰る道中も赤子になった坊ちゃまを抱え苦労したのだろうことが伺えた。
……あぁ、そうか。アズサを追い返したのはバルドが穢れていたから?
アズサを追い払った坊ちゃまの意図が、すとんと腑に落ちた。
以前聞いた雑談の中で、アズサは魔獣の討伐にあたった騎士達が恐ろしかったのだと話したことがある。それは、ただ殺生を嫌っているという単純な話ではなかった。
あの子は肉も食べるし、調理を手伝う際には自分で絞めもする。……あまり、得意ではないのだろうに半泣きになっても手伝うと言いはり、捌き方を料理長から習ったのだ。
『うまく言えないけど、人が誰かを”殺してやる”って思ったときに沸き上がって来る感情が怖いんだと思うんです』
アズサは戦い争う者達の殺気を纏う姿が怖ろしいのだと言ったのだと思う。そして、争いが終わったあとの人間にさえ恐怖していたと同行した子どもらは言っていた。
その後バルドから聞かされた話では、騎士団の者達は相手を打ち負かし、仕留めようとする感情が起こる時、なぜだか心に言いようのない瞋りが湧くのだと言った。知らぬうちに自分では制御しきれない感情が心を占めているのだと語った彼らは、こう続けたという。
アズサの放った弦音を聞いてから、どうしようもない不安感や瞋りに翻弄される事が少なくなったのだ、と。
不器用でも、優しさに溢れている坊ちゃまを見下ろし、抱きしめる腕に力を込めた。
「坊ちゃま、ちゃんと言葉にしなければ、相手に自分の思いは伝わらないものなのですよ。元の姿にお戻りになられたら、アズサに謝ってやってください。あの子もずっと、帰らぬ二人を心配していたのですから。見ていたのだからお分かりになられるでしょう?」
いつまで経っても帰ってこない坊ちゃまとバルドを案じて、自分にも何かできないかと三日とあけずにシャムロック工房へ足を運んでいたアズサの姿が思い起こされる。
シャムロックさんを捜しに行こうかな、と呟いたアズサを全員が全力で止めたのだ。
「あーぅ」
嬉しそうに笑った坊ちゃまの表情は、赤子そのものの無垢な笑顔だった。でも、その笑顔は胸元にある妹姫の姿を見てすぐに曇ってしまう。
その後は、バルドの報告が終わっても震えの治まらない王女殿下をノディアクスが抱きかかえ、塔をあとにした。
今後、王の不在にどう対処して行くか。
言葉も発せず、頼みであった魔力さえ赤子同然にになった坊ちゃまでは、出来ることに限りがある。
フィフニアからの救援要請に対する判断や、折衝、ベルニア王国への今後の対応を考えていかなければならない。
国内の方を一時棚上げにしたとしても、坊ちゃまの代理として最終的な判断を下す権利を持つのは王女殿下だけだ。
全ての決済に必要な王印は宰相には扱えない。現王と継承を赦された者の魔力がその使用を認められる魔法具だから。
この後に行われた話し合いで、なんとか気持ちを立て直した王女殿下は、坊ちゃま不在の王宮を自分が支えるのだと気丈に振舞われた。
その健気な姿に胸は痛むが、どうしようもないのが現状だ。
自分の出来うる限りの力で王女殿下を支えることに心血を注ごうと決意し、今後の方針は決められていった。
心配なのは、遠く離れた地で今も苦しんでいるベルニアの民達。
一刻も早くベルニア王国が落ち着きを取り戻し、彼の竜が大人しく眠りについてくれることをただ祈るばかりだ。