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リバースロード  作者: 貫先一弧
2/2

ここはどこでしょう?

 大男に抱えられるようにして室内にはいった、その男に纏わり付いていた血液が自分の室内着にもベッタリと付いたが、全く気にならなかった、むしろ気にする余裕はなかった。

 室内の明かりのある所に移動すると彼らの姿がハッキリと見えたが異質としか思えなかった、一言で言うなら、『コスプレ外人』だった。どう見ても剣と魔法のファンタジーの世界の住人のような姿をした、人物達だったが、その服はあちこち破れ綻び、返り血なのか本人達の血なのか分からないが血まみれであった。

 彼女は一旦出す物を出し、少し時間が経った事によって冷静さを取り戻しつつあった、テロリストがこんな変な衣装を着ているとは思えない、ビックサイトにテロを仕掛けに行くならこの姿も正解かもしれないが、今はコミケをやっていないのは知っている。異世界からワープしてきた人達?一瞬考えたが、自分の年齢を考え鬱になりそうになった、そんな妄想が許されるのは中二までだろうと、分からないなりにさらに観察して見た。

 一人はさっきから中心になってなにやらしゃべっている男、最も衣服に綻びはなくきれいな状態を保っている、顔をよく見て驚いた、ハリウッドスターと言われても納得してしまうような美形であり、年齢は30半ばだろうか?私と並んで歩いていたら、周りが羨望の目を私に向けるだろうと、あらぬ妄想に浸りそうになりながら観察を続ける。とりあえずナイスガイと心の中で命名した。

 一人は黒髪の少女、彼女もあまり衣服に損傷はないように見えた、何を話しているのか全く分からず、聞いた事すらない言語であったが、話している感じ極めて対等な感じで話しているように感じられた、同僚のような感じに見えたが、反抗期で大人ぶりたい娘なのかもしれないと思った。とりあえず魔女っ娘と心の中で命名した。

 一人は青年、これまた美形である、衣服の損傷は激しい、剣を持ちこちらを見張るようなそぶりを見せるが大きく欠伸をしたりキョロキョロと室内を見まわしたりと、少し落ち着きがなく、時折注意されて、こちらをみるようにしている、年のころは10代後半くらいであろうか?とりあえずイケメンと心の中で命名した。

 一人は巨人、アメフトの有名選手と言われればすんなり納得してしまうような見事な体躯の男である、たださっきからこの男、私がつけっぱなしにしたアニメをジッと見ている、さっき掲示板を見ようとした時にBGMがないと寂しいからつけっぱなしにしていた奴だった、『興味おありですか?』と気軽に聞ければどれだけいいだろうか、そんな度胸はない、丁度アニメのなかでは悪徳セールスマンがしきりに契約を勧めるシーンとなった『今来てくれりゃあ契約でもなんでもするよ!年齢制限オーバーでどうせ少女って年齢じゃねえけどな!』等と心の中で毒づいても何も変わらなかった。とりあえず巨人と心の中で命名した。


 しばらくすると、議論していた二人が疲れたのか座って何やら食べ始めた、他の二人もモソモソと食べ始めた、ジッと見ているとイケメンが手に持った物を私の方に持って来た、知識で知る干し肉のように思えたが、乾いた血のこびりついた手で持たれたそれを口に入れる気にはどうしてもなれなかった、必死に首を振るとなにやら言っていたが、不愉快を感じたイメージはなかった。

 しかし、食事を摂っているのはのは間違いなさそうだったので、意を決して話しかけて見ることにした、打開策を講じるにもとっかかりが必要であるだろうから。


「あの~」


 全員一斉に自分の方を向く、どうせ言葉は分からないのだから必死のゼスチャーで食べ物を作るという事を伝えようとした、10分ほど色々やっていたら、なんとか伝わったのだろうか?ノソノソと立ち上がり動き出しても何も言われなかった、ただし動き出す時に下半身に冷たい感触があり、さっき漏らしたのを思い出して、死にたくなった。

 私はお自慢じゃないが料理なんてほとんどしたことがない。準備したのはいざという時に備えて用意しておいたカップラーメンである、ポットのお湯を注ぎ3分待ってテーブルの上の置いた、それまでの動作を近くで一挙手一投足見られており半端じゃないプレッシャーの中で作ることになった、ここまで緊張するカップラーメン作りを経験した人間はたぶん私が人類初ではないだろうか?

 食べてくれない、というよりは、伝わっていなかったのだろうか?一つを少し食べてみせて、毒が入っていない事、これが食べ物である事をアピールして差し出した。みなゴチャゴチャ何かを話あっていたが、巨人が何か言うと受け取って食べ始めた、少し食べると何やら言い出し、つられるように他の者も食べ始めた。何を言っているのかはさっぱり分からなったが、わりと好評だったのではないだろうか?そんな表情をしていた。


 食事が終わると、ナイスガイと魔女っ娘が家を物色し始めた、やめて欲しかったが何も言えなかった、RPGでよくある光景だが、武装した連中が無言で家に入って来て物色していたら怖くて何も言えないでしょうからね、あのモブキャラの人達はたぶん今の私と同じ心境だったんだろうと思うと、今度からゲームとはいえ人の家のタンスや宝箱を漁るのはやめておこう、そんな事を考えたりしていた。

 二人は私が納戸部屋を改造したプライベート漫画図書館を占拠してしまった、巨人は見終わって画面が黒くなってしまっていたので別のを付け替えてあげた、言葉が分からないならアクション等がいいだろうか?と思ってが録画してある中に適当なものがなかったので、Faight/零にしてみた、うん、あなたには魔法少女よりこっちのが似合ってると思う、馬車に乗ってるのにわりと似てるし。イケメンもテレビを見出した、今なら携帯で警察とかに連絡できるかもしれないなぁとちょっと思ったけど、一瞬で首を飛ばされたるのではないかとか、警官が突入して来た時、私がどうなるか想像するだけで胃が痛んだので、やめておいた。

 

 気付いたら窓から差し込む明かりがあった、ああ人間って極限状態でも眠れるんだ、そんな事を考えていたら、声をかけられた、


「ココハドコダ」


と。

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