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電車の喘ぎ声

今回は老人の性問題と、ビジネスモデルをテーマに書かせていただきました。

過去の浮気の清算のつもりかしらないが、よこマンの援助を考える秋夫さん、坂好きはこいつらに異界の化け物と戦うための戦力と勘定しているが期待している様子がある、それぞれの思いが交差する夜でございます


 まずは、金策を考えるべきだろう、借金は400万ほどあるそうなので秋夫さんの持つ謎玉は120程だ売却しても全然たらない、よこチンはあてがあるのだろうか? 秋夫さんは質問する事にした。


「よこチンは、どうやってここで金を作るつもりだったんだ?」


「鉄っちゃんが作る商品を売ろうと思ってるれす」


「えっ? 鉄っちゃんいるの? どこよ」


 赤羽のエリート実業家である、鉄ちゃんがいるなんてビックリだ金策も何とかなるかもしれない。


「鉄っちゃんは奥の電車の中で作業中れす」


「おいっ…………これってさっき見た暴走列車じゃねえか…………」


 異界の化け物をミンチにしていた、お肉屋疑惑のある電車が秋夫さんの目の前にある、少し前に見たスプラッターな現場を思いだし、ブルっと身震いした秋夫さん、この中に鉄ちゃんが…………



 よこチンが車両のドアを開け社内に入って行く姿を見て恐る恐る社内へと足を運ぶ秋夫さん、チラっと後ろの坂好きを確認すると、だっちゃとご歓談中なので放っておく事にした。


「鉄ちゃん~ 秋夫君をつれて来たれすよ~」


「鉄ちゃんお久しぶりだなおい!」


「シー………… 今、録音中だから静かにするっぺ」


おっとコイツはいけねぇ! 録音中に騒ぐと声が入ってしまい商品が台無しになっちまう、鉄ちゃんは列車の連結部分を手で揺らしていやらしい音を録音しているのだから。



 アァン…………アン…………アァン…………



 鉄ちゃんが連結部分を揺らすたびに車内に電車の喘ぎ声が響きわたる、正に職人芸である喘ぎ声に張りがない205系の車両に、ここまでエロスな声を出させる職人は都内中どこを探しても彼にしか無理な芸当だろう。


 少年のような目をした秋夫さんは、鉄ちゃんが作業終了まで黙って見続けていた…………


「ふい~ 終わったっぺよ…………」


「さすが鉄ちゃんだよ! あの気難しい205系を喘がせるなんて、アンタやっぱりプロだよ!」


「埼京線とは相性がいがっただけだべ! それよりさっき道で見たのはやっぱり秋夫君かなと思ったら、やっぱりそうだっぺ」


 この神の職人技を持つ男は、電車に愛される男と呼ばれている、鉄ちゃんだ。


 彼は実業家の多い赤羽でもトップスリーに入るほどの敏腕実業家だ、この街の実業家は他の街とはスタイルが違う、外国人実業家も多く、大丈夫と書いてあるの色紙を販売する兄に、大丈夫としか喋れない弟が占い師の店を切り盛りしているパキンスタン人兄弟や。


 元職人の老人達を使いスナックの内装工事をさせ、内装工事費用を0円ですませる店もある、何故0円かって? 材料費も老人達が払うからに決まっている、張り紙にスナックオープンのためボランティア募集と書いて老人を集める錬金術師は、麦茶一杯の対価しか払わない。


 スナックがオープンすると、またまたボランティア募集で老婆を集める、人件費0円の魔法がここでも見られる、内装工事をした元職人の老人達はスナックで現役の男アピールができ老婆にモテモテになり。


 老婆達も、たくましい爺様にトキメキ爆発でラブホテルに入り女を実感できたり、本物のWin-Winの関係が見られるビジネスモデルだ、スナックは儲かり、ジジイも嬉しい、ババアが再婚を考える、他の地域では考えられないビジネスだ、老人の人口が多く下町の特有のノリがあるからできてしまう錬金術である。


 そんな中でも鉄ちゃんは自分の技術を使い商売する本格派だ、彼は電車の喘ぎ声をラジカセでカセットテープに録音して販売を生業としている。


 常磐線のエアサス音 ンギ!ンギ!ギモジィイイイ! や


 高崎線の停車時の音 ふんぅ~ふんぅ~イグ! イグ!


 などが駅前で路上販売されているのだが、どれも大ヒット商品だ。


 鉄ちゃん程の男が参謀になってくれれば安泰なのだが、録音したカセットテープは一つ90円での販売をしている…………謎玉を120万で買い取ってもらっても、残り280万はテープ販売では厳しいかもしれない…………



「なあ鉄ちゃんよ、この謎玉を知ってるか?」


「化け物を殺したら出る玉だべな? 」


「この謎玉って、一つ一万で売れるんだよ」


「本当だか? オラ知らなかっただよ!」


 謎玉が売却できると聞き鉄ちゃんは商売人の顔付に変わっている、謎玉を光にかざしたり指で弾いたりして、鉄っちゃんなりに商品価値を確認しているようだ。


「秋夫君、オラこの玉は電車の燃料に使う物だとばかり思っていただよ、だから必要な分以外はいつも拾わずにいただよ…………」


「知らないとは言え、もったいねぇ話だな鉄っちゃんよ、今から拾える物は拾いに行こうぜ!」


「いつも気分で走ってるから、よく覚えてないだよ………… 」


 走行場所を気分で選び場所を、よくおぼえていない鉄っちゃんは悩ましげにしている、確かによくおぼえていない場所を探すのは効率の悪い話である。


 事の成り行きを黙って見ていたよこチンが重い口を開き…………


「地道に化け物を倒して、その玉を拾うのがイイと思うれす…………」


「そうだな………… そうすっか、よこチンの借金も早く返したいから手伝うぜ!」


「秋夫君がそんな風に考えてくれてた何て感激れす…………」


「泣かんでもいいだろ よこチン」


 泣きながらよこチンは、ショートパンツの裾からチンチンを余計に出し秋夫さんにサービスしている、彼なりの感謝のあらわれだろうが。



 チンチンしまってもいいだぜ、よこチン…………


 

 つい、子供の頃から思っていた事を口に出しかかる秋夫さんだが、下町の男が思った事をそのまま言うのはヤボだ、黙っているのが下町人情ってもんである。


 このミッションの成功には多少の不安もあるが、やれる事からやるしかないのだ、せめてもう少しでいいから、ミッション成功の要素が欲しいと考える秋夫さんだったが、突然に頼もしいアイツが車両の入口から顔を覗かせた…………


「話は聞かせてもらったよ!化け物なら大量に自然公園の敷地にいるのを見たのだよ」


「宇宙刑事君どうしたっぺ? また頭を打っただか?」


「んなこたいい、宇宙刑事よ! 話は本当か?」


「私はウソとブックオーフが嫌いな男だよ! 作戦はすでにこの頭脳の中にあるのだよ!」


 イケる! 秋夫さんは、このミッションはイケると思った、赤羽の二代頭脳がそろったのだ、失敗する要素はどこにもない、おりこうモードの宇宙刑事の偏差値は36を軽く超える天才だ、それに赤羽一の実業家の手腕が加われば…………


「オメーらこの作戦イケるぞーーーー!!」



 決戦前夜の熱い男でありました…………




大丈夫しか喋らない、パキンスタン人の占い師は現在シシカバブの移動販売しています、何を質問しても大丈夫しか言わないので、るりをはキレて、じゃ~前世は何なのさって質問したら「ヒヨコ」って言われました! 電車のエロボイスは少し危なげな路地に入ると、兄ちゃんスッゴイのあるよって営業してきます、未だにテープ販売で90円なんて良心的です。

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