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友情が愛情に変わる時



秋夫さんの目の前を電車が通りすぎた後、異界の化け物のミンチが残されている、化け物の死骸は時間が経つにつれ、次々と謎玉に姿を変えていった。




 電車の事も気になるが、坂好きを回収後にじっくりと考えればいい、まずは謎玉の回収を優先だろうと、拾い残しが無いように謎玉を回収する秋夫さん、一つ一万で買い取りされる謎玉が地下壕の分と合わせれば100個は軽く超えているだろう。


 異界に来て数少ない来てよかったタイムでございます。


 さてさて坂好きのアホ回収に行きますかと意識を切り替える秋夫さん、そろそろ日暮れも近いので足早でコンビニに向かいながら、坂好きの安否が気になる、坂好きの事だから無事ではいると思うが、あんな化け物の大群を見た後である、少々不安になりながらコンビニに着いた秋夫さんだが。


 坂好きの姿が見えない…………


「オラー!! これがいいんでやんすか!」


「!?………… まさか?」


 坂好きの叫び声が聞こえてくる…………どこからだ? 秋夫さんが叫び声がする辺り進みコンビニ店内奥に来てみると坂好きは、ドリンクなどが入っている業務用冷蔵庫のドアを開け閉めしていた…………


「ギヒヒヒー! パカパカ開いたり閉じたり、本当にいやらしい雌でやんすね~」


「おーい坂好き~ お楽しみもいいが飯にしようぜ~」


「あっ先輩! すぐに終わるから待っていて欲しいでやんす!」


 もう坂道が好きだから、坂好きとは呼べない次元の進化をしてる後輩をレジスターでしこたま殴って落ち着いた所でお食事タイムとまいりましょう。


「最近、殴られすぎて左手が痺れているでやんす…………」


「おー ウルサイぞとっとと飯を食え~」



 本日の食事はスープの缶詰にビーフジャーキーでございます、日も落ちてきて、たき火を前にする食事といえば缶詰のスープと干し肉と相場が決まっている、なぜならカッコイイから…………


「ヨネスケであります!!」


「おおうっ? 宇宙刑事も来たのか?」


「僕がLINEで呼んだでやんす」


たき火の火に誘われる虫のように宇宙刑事が来たわけだが、宇宙刑事はお得用アイスを抱えている、差し入れ持参で来るなんて以外に人間ができている。


「アイスを持参とか偉いぞ宇宙刑事!」


「ヨネスケーーーー!!」


 秋夫さんに褒められた宇宙刑事は白目をむきながら歓喜の叫びを上げている、改めて三人でいただきますをして食事を再開したのだが、宇宙刑事!はお得用アイスを一人で抱えこんで食べ始めた。


「宇宙刑事よ気持ちはわかる! わかるが、それはやっちゃいけないぞ!」


「そうでやんすよ、これだから一人っ子はダメなんでやんす!」


「坂好きよ、末っ子のお前も大して大して変わらんぞ!」


 お得用アイスを一人で食べるなんて、誕生日なら許せる行為だが、誕生日以外の平日にやるなんて神をも恐れぬ行為である、いいオッサンが三人も集まりそんな事で揉めるのもバカ臭い。


 坂好きは宇宙刑事の隙をみて、お得用アイスにスプーンを突っ込みアイスを一口頂戴した。


「宇宙ギャラクシー憲法に反する重大な犯罪でありますーー!!」


「一口ぐらいいいじゃないでやんすか!」


「そうだぞ宇宙刑事、それくらいじゃギャラクシー憲法に違反してないぞ、一人食いは誕生日にやれ」


「刑事長がそう申されるなら譲歩するであります!」


 アイス問題が解決され和やかに食事は進み、まったりムードの三人は、食後のコーヒーをのみながらたき火を見つめている…………


「先輩、僕は本当にこの先就職できるんでやんすかね…………


「親父さんの工場を継げばいいんじゃないか?」


 たき火を前にしんみりな二人は人生相談モードに入ったようだ、何故人はたき火を前にするとしんみりするのだろう?


「親父は、鳥キゾークがオープンする前の日から並ぶようなダサいオッサンでやんすよ、いっしょに工場なんてゴメンでやんす…………」


「坂好きよ、お前は親父さんを誤解してるぞ、よく思い出してみろ親父さんが帰って来た時に、何かおみやげを食べなかったか?」


「……………………はっ!? たっ食べたでやんす! 鳥つくねを食べたでやんす!」

  

「そうだろう坂好き、鳥キゾークはオープン記念で90円安いんだよ………… お前も赤羽の男ならわかってやれ、俺なんか二日前から並んだぜ…………」


「知らなかったでやんす90円も安いなんて…………バカな親父でやんす、一言ぐらい言ってくれればいいのにでやんす…………」


 赤羽の住人は何故か並ぶという行為が三度の飯より好きな人種である、並べるものなら文房具のオープンでも並ぶ、2月の雪がちらつく日に文房具屋のオープンにバスローブ一枚で待つオッサンを見た事があるが、まだ序の口である。


 スーパーダ●エーのリニューアルオープンは未だに語り継がれる伝説だ、オープン前日の昼頃から街中の並びマニアが集結を始め、入院中の病院を抜け出し点滴パックをブラブラさせながら待つオッサンは周囲の人に心配され病院に帰るよう促されるたが。


「入院してる場合じゃねーだろ!」


 その言葉を聞き、納得してしまうこの街の住人もどうかしている、ほかにも対立している海外系のマフィアの御一行様と武闘派暴力団の御一行様が並び始め、抗争待ったなしの状況に並びマニア達は顔を青くして持参した段ボールに座り観戦を始める、残念ながら並びマニアの脳内は危険だから帰るという選択肢はないのだ。


外国系マフィア御一行様が携帯で何やら話している、ボス奴らがいるんでこれから殺っちまいますのお電話だろうか?電話の後15分もしてピザの出前が来た! 武闘派の御一行様は対抗するように、すしを出前して赤羽出前代理戦争が始まったり意味がわからん状態になっている。


 だが、混沌極めるこの現場で奇跡のハートフルストーリが一番の語り草だ、並び順で、前に本屋のお姉ちゃんの彼氏、真後ろに元彼だなんて、悪魔のイタズラとしか思えない並び順だが、元彼が今彼に缶ビールを渡し、親交を深め友情が芽生える姿に街の住人は涙したものだ。


 話はそれでは終わらず、深夜に入り冷えてくると、段ボールの上で寝ていた元彼を今彼が自分の寝袋に招き入れ、仲良く二人で就寝する内に友情がチュパチュパに変わり、一晩中寝袋の中から、オッス・オッスの野郎のいかがわしい声が聞こえる。


 二人でハッスルするために、寝袋のジッパーが壊れ白い尻が見え隠れしておりますので、イラついたオッサンが寝袋に二度三度蹴りを入れてるが、事の成り行きを見守る並びマニアが止めに入り。


「若けぇ連中のするこった、邪魔するのはヤボってもんだよ」


 下町の男はヤボと言われれば、どんな状況でも引き下がる魔法の言葉だ、止めに入った並びマニアは、目をトロンとさせ自分の人差し指をチュパチュパしながら、愛の営みを見学している。


 秋夫さんは、絶対違う! ただのモーホーですやんと思い、カップ焼きそばの捨て汁を寝袋の隙間から流し込んでやったが、逆にヒートアップしている、逆境に会うと愛は燃え上がる何て話を聞いた事があったが、本当のようです


 寝袋の雄二人は翌日には、この街一番のベストカップルに生まれ変わっており、周囲の人達から割れんばかりの拍手と喝采が送られ、未来溢れるカップルに、ご祝儀のダ●エーオープンの一番乗りの権利を与えられ伝説となった…………


 ダ●エーカップル事件の全容である…………


 坂好きのように並びマニアに反対の奴もいるが、そんな事で親子問題をこじらせるのもイカンと思い、ついつい口を挟んでおせっかいをしてしまったが、たき火があると不思議とできてしまう、普段は話せない事も話せるのは、たき火効果のおかげだろう…………


「先輩は子供の頃は将来、何になりたかったでやんすか?」


「んっ? 俺か…………俺は、ワニハンターかな…………」


「ワニハンターでやんすか?」


「おうっ ワニを素手で捕まえる仕事だ、時にはワニにパンチもするぜ!」


 少年の頃の将来の夢、ワニハンター…………遠い夢である…………


「かっカッコイイでやんす! 先輩なら今からでもなれるでやんすよ!」


「へへっよせよ、今更ワニハンターだなんて」


 「新卒でも難しいのに中途採用でワニハンターなんて、今更資格でも取れってか?」


 堅苦しいリクルートスーツに身を包み、中途採用のプレッシャーを感じながら面接なんてゴメンであるが、秋夫さんも妻がいる身だ、このモラトリアムのような無職の期間を卒業する必要はある。


「ワニハンターか…………面接受けるかな…………」


「そうでやんすよ! 先輩なら受かるでやんす!」


 後輩からの暖かい心使い素直に嬉しいと感じる感じる秋夫さんだった…………



 しかしワニハンターっていったい何だ…………ちゃんとした大人にならなきゃダメだ俺…………

 

鳥貴族のオープン4時間前から100人近く並ぶ住民性は異常ですたい!


ベストカップルですが本当は20番前後の入店権利がご祝儀でした、先頭集団は、著名な漫画家さん達でしたので

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