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賢者タイム



 ジブ山をの行方を追う秋夫さんと坂好きは、街の北西に向かい移動中でございます。


 赤羽には二つJRの駅があり、赤羽駅と北赤羽駅があり北赤羽方面に進むと自然が豊富に残っており、この街最大の坂道があるのもこの辺りなわけで。


 パイセンはとても不安です…………


「先輩、歩き続けて疲れたでやんす、どこかで車でも調達したほうがいいでやんす」


「そうだな~俺のマットに坂好きを乗せるのだけはイヤだから歩いていたが、この辺りに車はなさそうだぞ…………」


「そうでやんすね~ もうすぐ長い坂道に入るでやんすから、しんどいでやんすが歩くでやんすよ…………」


 おやおや?? 坂好きが坂道に反応しない!? どうしたことだ、本来喜ばしい事柄だが、普段の坂好きの行動を見ている秋夫さんは逆に心配になってしまう。


「坂好き君よ、もうすぐ坂道だぞ? いつものようにゲヒヒっとか笑わないのか?」


「ゲヒヒってそんな下品な笑い方はしないでやんす!」


 坂好きは、心外とばかりにプンプンと怒っている、怒る後輩の姿を見てどうに納得できない秋夫さん、少々少ない脳みそをフル回転して考える秋夫さん…………………… まてよ? まだ仮説の段階だが、試してみるか…………


「坂好き君? 結婚予定の坂道とはうまくいってるのかい?」


「はぁ? 坂道と結婚とか、やっぱり心の病院に行ったほうがいいでやんす」


 間違いない坂好きの奴…………



 賢者タイムで性欲ゼロの聖人君子様になっておられる。



 賢者タイムの坂好きは何度か見ているが、性欲が満たされると人間はこうも変われるんだな、坂好きよパイセンは嬉しいぞ、そのままずっとまともでいてくれと願う秋夫さんだった。


 山林が辺りに見え自然の多い地域は実に気持ちがいいものだ、坂好きは無事に坂道の頂上まで登りつき後は楽な下りだけだ、目の前には公園の芝生が見え、そろそろ休憩をしたい秋夫さん。


「坂好き、そこの公園で休憩していこうぜ」


「そうでやんすね、坂道を登り足が棒でやんす…………」


「自販機があるが電源が入ってないのか? …………喉が渇いたな…………」


 自販機に小銭を入れボタンを押しているのにスポーツ飲料が買えない、苛立ちまぎれに自販機をドンドンと叩く秋夫さんだったが、自販機のドアが突然開きアイドル志望の

奴の姿があった。


「ギャギャー!」


「おおう!? お前はナガーイじゃないか! ここはお前の職場だったのか?」


「ギャッ ギャァーー !!」


「そうだな、確かにアイドルデビューするまで仕事しないと飯食えないもんな」


 自販機からナガーイがスポーツドリンクを二本出して秋夫に差し出した一本分の料金しか自販機に投入してないのに二本ドリンクを出すナガーイの気持ちに感謝の秋夫さん。


「あの~先輩、そちらの方はお知り合いでやんすか?」


「アイドル志望のナガーイだ仲良くしろよ」


「僕は坂崎でやんす、坂好きでいいでやんすよ」


「ギャァーー!」


 ナガーイから頂戴したスポーツドリンクを飲み一息ついた秋夫さんだが、坂好きとナガーイは二人でトランプのババ抜きをしている、坂好きの奴異界の化け物相手に恐れることなくすでに友人モードだ奴は意外に大物なのかもしれない。


坂好きとナガーイのババ抜き勝負を見学しているのだがどうやらナガーイの勝利でゲームは終わったようだ、二人でババ抜きして楽しいのか?


「ギャゥ!」


「おっそうか、あんまり休んだら時給減らされるのか? バイト中にすまんな」


「ギャァーギャゥ ?」


「んっ? 暇なら一緒にやるかだって、ふむ、頑張れば正社員様にもなれるのか」


 正社員、何て甘美で魅力的な言葉であろう、話を一緒に聞いていた坂好きは正社員様になれるの言葉にテンパリ地面に落ちているドングリを食べだしている。


「坂好き! メっだぞ、飲み込まずに地面にぺっしなさい!」


「ギャギャー!!」


「コラ! ナガーイも坂好きにおかわりを与えるな!」


 坂好きの気持ちもわかる、誰だって正社員様になれるなんて話を聞けば正気を失うだろう、甘い話には裏があると昔から言いまして、世の中そうそう甘い話が転がっていないのを秋夫さんは知っている。


「ナガーイさん! 週休二日制ですか?」


「ギャゥ!」


「ちっローテーションで週一休みかよ」


 危ない、危ないちゃんと聞いておいて良かったと思う秋夫さん、この分ではその他の労働条件もブラックな感じに違いない、少々ブラックでも働けるだけ幸せだなんて風潮が世間にはあるが、ここまで無職を貫いているのだからこそ好条件の職場で勤務したい心情は誰にも責められまい。


 そんな甘い考えだから未だに無職な秋夫さんだが、今はジブ山の捜索を優先するべきだろう、就職も一生の問題だが金玉の問題も一生の問題だ。


 テンパったままの坂好きはターザンロープの遊具で公園内を往復している、どうやら坂好きは就職する気マンマンらしいので、放っておく事にした秋夫さん。


「なあナガーイ、正社員の話は魅力的だが、俺らはしなければならない事があるんだ」


「ギャァー?」


「ナガーイはデッキブラシにまたがるオッサンを見なかったか?」


「ギャ!?」


 ナガーイは突然ブルブルと震え怯えだした、どうやらジブ山を知っているようだ、だがジブ山をここまで恐れるなんて何かあったんだろうか?秋夫さんがなんとかナガーイを落ち着かせ。


「なあナガーイ怖いのはわかるが、何か知っているのなら話してくれないか?」


「ギャゥ…………」


 ナガーイの話を聞いてみると、ナガーイ達は下級市民と呼ばれる存在で、どうやら相当に酷い目にあっているらしい、基本的に異界の化け物は死んでも100年ほどで復活できるらしいのだが、上級市民と呼ばれる化け物達が狩りと称して下級市民を虐殺してまわっているらしい。


 仮に死んでも100年程で復活できる異界の化け物でも、上級市民だけが持つ異界の遺品は異界の化け物を完全消滅させることが可能らしい、ナガーイは震えながら教えてくれた、上級市民達にそんな悪魔の力を与えた、異界赤羽の王の名前…………藤堂修一のなを。


 そんな恐ろしい奴らを相手にしないと秋夫さんの金玉は帰ってこないのだ、しかも偶然だがナガーイ達の現状を知ってしまった、秋夫はしばらく悩んだが、聞いてしまった以上やる事は決まっている。


「ナガーイお前たちを助けてやる!」


 坂好きの就職先が無くなっても困るしな…………


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