寝取られ属性
密かな怒りに燃える秋夫さん。
坂好きに、生き地獄を見せるプランはもうできている、後はチャンスを待ち実行するだけだ。
「あ~あ今日は本当にしんどいわ~ じゃあ車で仮眠取るから着いたら起こしてな~」
と言いつつ、バタンと車後部のドアを開け仮眠した振りをする秋夫さん、仕込みはすでにしてある、後はタイミングか…………
タイミングを確かな物にするため、少し窓を開け外の音が聞こえるようにしてある、しばらくすると坂好きの声が聞こえはじめた。
「この好き物が、もう下のほうが、びしょびしょだぞ!」
レインボーブリッジに対して、言葉責を始めたようだしかし、橋の下は海で当然びしょびしょなわけで。
バンバンバン…………
レインボーブリッジにスパンキングする音が聞こえる。
「こうやって責められるのが好きなんだろ!!」
ぺろぺろぺろ…………
今度は舌を使いだしやがった、しかし奴の性癖にはヘドがでる、乱暴にいたぶりながらなんてとんでもない話だ。
そろそろ聞いているのも苦痛になりだし、車内から出て止めに入ろうとしていたら、怒りに燃える奴の姿が目に入った。
坂好きめ、何てことを……………………
坂好きは二つの許されざる罪を犯した。
一つはパイセンをパイセンとも思わない所業の数々もう一つは、いや、それは当人同士で解決する問題か。
まずは、一つ目の罪に対して罰をあたえねば。
「おい!! 坂好き、お仕置きの時間だ!」
「えっ先輩、寝ていたはずじゃ? はは~ん僕のプレイを見にきたんですね」
「もう一度言う、お仕置きの時間なんだよ坂好き…………」
坂好きは、下卑た顔をしながらこちらを見ている。
「今までのお前のプレイはすべて、こっそり置いてたスマホで録画済みなんだよ!!」
「それが、どうしたんです先輩? 僕も良くプレイを録画しますよ」
「この動画を麻布台の彼女に見せてやる、彼女はどんな反応するんだろうな坂好きよ!」
坂好きは明らかに動揺した目で秋夫さを見ている。
「そっそれだけは、やめてくれませんか先輩…………」
「あ~ん? やめて欲しいのか? 坂好きさんよぉ~」
「そんな意地悪はやめてくださいよ、こんな事が彼女にしれたら…………」
そうだ、結婚を意識している相手に見せられるのは辛かろう。
まだだ、坂好きが受ける罰はこれからだ。
「この動画を彼女に見せられたくなければ、今後、しゃべる時は語尾に、でやんす、をつけるんだ」
「!?」
「でやんす、をつけるよな~坂好き~」
「!?」
「!? じゃなくて、でやんすだろ~坂好きちゃんよぉ~」
「…………………… でやんす……………………」
「あ~ん? 声が小さくて聞こえないなぁ~?」
坂好きは小さくプルプル震えている、もうひと押しだな?
「パイセンはちゃんと聞きてぇ~な」
「先輩! 調子に乗ってすいませんでやんすーーーー!」
「上手に言えるじゃないか、坂好きちゃんよ~ 今後もちゃんと
語尾にやんすをちゃんと付けろよ~ 」
「……………………はいでやんす」
良し、とりあえずはこんなもんだな、後はもう一つの罪は当人どうしで決着を付けさせるかと思う秋夫さん。
「おい、坂好き」
「はいでやんす」
「あそこを見てみろ…………」
秋夫さんが指をさすその先には、怒りに満ちた表情の非常階段の看板がある、そうだ、非常階段の看板とレインボーブリッジは、できていたのだ。
「…………先輩、まさか、そんな、僕どうしたらいいいんでやんす…………」
「やっと気が付いたのか、愚か者め、坂好きよぉ~ 寝取られ属性は?」
「創作物の中だけでやんす…………」
坂好きの奴め、やっと気が付いたのか、そうだよ寝取られ属性なんて物は創作物だけにあるものだ。
リアルにやったら、シャレにならないだろう、本当にダメな後輩だなと思う秋夫さんだった。
「先輩、僕、本当にどうしたらいいでやんす?」
「コラーーー! 坂好き、貴様そんな事もわからないのか?ヒントは、と、が付く物だよ、後は自分で考えるんだ」
秋夫さんは、ピーピピーと口笛を吹きしらばっくれた、やれやれ、本当に世話がかかる後輩だ。
だが、自分で考え行動するように、導くのもパイセンの大事な仕事。
坂好きは青い顔をしながら悩んでいる。
「と、と、都電モナカでやんす!」
「そうだ、坂好き、まずお詫びをする時は都電モナカだ、良く自分で気づいたな、えらいぞ」
「へへっ先輩がヒントをくれたからでやんす」
さてさて、これから先は坂好きじゃ荷が重いだろ、少し過保護かもしれないが、パイセンだから…………
「いいか坂好き! 今、先方さんは、相当に怒ってらっしゃる、とりあえずお詫びは日を改めたほうがいい」
「そっそれでどうするでやんす?」
「とりあえず、パイセンがお詫びしてくる、お前はちゃんと後日、都電モナカを持ってお詫びにいくんだ、いいな」
「ううっ先輩ありがとうでやんす」
先方さんは、今、何を言われても耳をかしてくれないだろう、当然な話だが、ここは秋夫さんが矢表に立って話をするしかない。
「あの~この度は後輩がとんだ粗相をしでかしてしまいまして本当に、申し訳けありませんでした、後日、本人にもお詫びに伺わせますので、どうかご容赦のほどを 」
非常階段の看板さんは、黙っておられる、それもそうだろう第三者の秋夫さんが、しゃしゃり出てきて気分を壊しているんだろう。
秋夫さんは、ここらが引きぎわだろうと思い、かるく会釈をした後、車に戻った。
「わかったか坂好き、こんな事があるから、その癖を直せって言ってるんだぞ」
「はい、反省したでやんす、でも僕、感激したでやんす先輩がそこまで僕の事を心配してくれるなんて、一生、先輩に付いて行くでやんす!」
やれやれとため息をつく秋夫さんだった。
俺、看板相手に何をしているんだろう………… このままじゃ俺。
本当にダメになりそうだ……………………