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パラノイア  作者: 颪金
9/22

 アドが目を覚ましたのは、数時間後だった。倒れた原因は、過労……とのことらしい。あの老婆が言っていたから、本当かどうかは解らない。でも、あの時、他に頼れる人がいなかったので、仕方ない。

 アド、と名前を呼ぶと、私を見てはぁ、と溜息をついた。

「お前、飯は?」

 食べてないというと、また溜息をついて、何やってんだよ、と呟いた。

 アドを心配していたこと、食事どころでは無かった事、目を覚ましてくれて嬉しい事を伝えると、心配かけて悪かったな、と不機嫌そうに言った。

 その後、療養のため、しばらく休むことになった。

 ベッドに横たわるアドは、顔色が悪く、昨日より弱弱しく見えた。

 そばにいようとすると、怪訝な表情をされるが、構わず居続けると、根負けしたのか、目を閉じた。

 まつ毛が長くて、鼻はスラッとしていて、童顔で……私は人の顔を覚えることが出来ない。さっきアドを助けてくれた老婆の顔も、もう忘れてしまっている。でも、アドの顔だけは、忘れない気がする。

 顔を近付けると、あのバケツの中身と同じ匂いがした。

「何やってんだよ、お前」

 ふっと目を開けた。眠ってはいなかったようだ。

 そばにいたい、と言うと、勝手にしろ、と言われた。

 勝手にしろ、か……。

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